第83話「誕生!ストライクビートヴィクター!!」
ダントツウィナーズVSデザートハンターズの試合当日。
試合開始は午後になるので、午前中いっぱいまでダントツウィナーズは研究所で新ヴィクターの開発に勤しんでいた。
ウィーウィー!と言う電子音とともにマシン製造機が開き、中から新型ヴィクターが現れる。
「よし、成功だ。新素材の分子結合は問題ない」
「おお、ヴィクター!」
バンは待ちきれんとばかりに機械の中にあるヴィクターを手に取った。
「くぅぅ!かっこいいぜ!これが新型、ストライクビートヴィクターだ!!」
新機体を掲げてポーズを取る。
「カッコつけてる場合か。とっととテストするぞ」
「いや、もうその時間はない。早く出発しないと試合に間に合わなくなる」
「へっ?」
「じゃ、じゃあテストもなしでいきなり試合へ?」
「無茶だが、棄権になるよりはいい」
「大丈夫だぜ!ヴィクターならぶっつけ本番でも問題ねぇ!!」
って事でバン達は急いで試合会場へ向かった。
今回の会場は成田山公園だ。
『さぁ、この霊験あらたかな地で行われる試合はダントツウィナーズVSデザートハンターズだが、まだダントツウィナーズの姿が見えていない!情報によれば、バン君のビートヴィクターは再起不能レベルの破損をしたとの事でしたが、前回のユーロフリッカー騎士団のように不戦敗となってしまうのか!?』
刻一刻と迫る試合開始時間。
しかし、あと数分といった所でダントツウィナーズが登場し、フィールドについた。
「ふぃー、間に合った〜!」
「ぎ、ギリギリだったね」
『おおっと、ここでようやくダントツウィナーズが到着!どうにか間に合ったぞ!』
「バン!ヴィクターは大丈夫でしたか?」
「おう、この通りバッチリ復活だぜ!ストライクビートヴィクターとしてな!!」
バンは自信満々にストライクビートヴィクターをマルコに見せつけた。
「オー!新しいヴィクターとの戦い、楽しみデス!!」
『さぁ、両チーム揃ったところで、今回のルールを説明するぞ!今回は各チーム順番を決めて1人ずつが戦い、先に2勝したチームの勝利だ!そして、バトルのルールは上級アクティブで行う!』
「上級アクティブか」
「今回は実質個人戦みたいだね」
「その方が都合がいいぜ。で、順番はどうする?」
「最初は俺にいかせてくれ。早くこいつを使いたくてウズウズしてるんだ」
「でもバン、初戦でいきなり新型は……」
「いや、逆に万が一上手く使いこなせなくても、後ろにリサやザキがいるって思えば心強いしさ」
「そっか、そういう事なら」
両チームとも選出順を決めて選手が前に出る。最初はバンvsマルコだ。
「勝負だぜ、マルコ!」
「その新しいフリックスと戦うの楽しみデス!」
2人が機体をセットする。
『3.2.1.アクティブシュート!!』
「ぶっ飛ばそうぜ!ストライクビートヴィクター!!!」
バシュウウウウウ!!!
『おおっと、新型のストライクヴィクター!凄い勢いだ!!』
バキィィィ!!
パイライトファングを一瞬で弾き飛ばす。
「おお、やっぱすげぇぜ!」
「ワオ!さすがデス!!」
が、勢い余ってヴィクターも場外してしまった。
「ありゃ?」
「勢いつけすぎだ。バカが」
『おおっと、パイライトファングを弾き飛ばしたまでは良かったが、ストライクビートヴィクターも場外!これは無効だ!』
ダメージが無効となり、仕切り直し。
「うー、やっぱいきなりじゃ無理か」
「少しずつ慣れていこう、バン」
「あ、あぁ」
『3.2.1.アクティブシュート!!』
「頼むぜ!ストライクビートヴィクター!!」
バシュウウウウウ!!……ボテッ。
今度は普通に自滅。
「あ、あれぇ〜?」
また仕切り直し。
『3.2.1.アクティブシュート!!』
「こ、今度こそ!!!」
しかし、またも自滅。
「なんでじゃぁぁぁ!!」
頭を抱えながらも、すぐにヴィクターを拾う。
「あーもう、どうしちまったんだよヴィクター!せっかくのデビュー戦なんだから言う事聞いてくれよ」
「バン……バンは、ストライクビートヴィクターと戦おうとしてマスか?」
ふと、マルコに言われた。
「へ?そんなの当たり前だろ!俺とヴィクターはずっと相棒なんだ!」
「違いマス。ストライクビートヴィクターですケド、ヴィクターではないデス」
「え?」
「ストライクビートヴィクターは、きっとバンと一緒に戦いたいと思ってるはずデス!僕も、ストライクビートヴィクターと戦うバンと戦いたいデス!!」
真っ直ぐな笑顔で言うマルコを見て、バンはハッとした。
(そうか。ストライクビートヴィクターは、ビートヴィクターからそこまで変化してないから今までと同じように考えてたけど、でもやっぱり違うんだ。違って、新しいんだ!)
そう、旧知の仲とは違う。これから新しい絆を育てていかなければいけないのだ。
「ごめん、ストライクビートヴィクター……俺たち、まだ出会ったばかりなんだよな。お互いの事、知ってかないとな」
バンはそう語りかけて、精悍な顔つきになる。
『さぁ、仕切り直しいくぞ!3.2.1.アクティブシュート!!』
「いくぜ、ついてこられるか!?ストライクビートヴィクター!!」
迷いのない強シュート。
真っ直ぐに突き進み、パイライトファングを突き飛ばして停止した。
「よしいいぞ!そっか、お前はこんな感じのシュートが動きやすいんだな!」
少しずつ、少しずつでいい、お互いが一番戦いやすい形を探っていこう。
「凄いデス!でもバン、僕も負けまセン!!」
「おう、望む所だぜ!!」
『それじゃいくぜ!3.2.1.アクティブシュート!!』
「これが俺達の新しいスタートだ!ストライクビートヴィクター!!」
つづく
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