第72話「最先端テクノロジーの極地！アフターブースト！！」
銚子市犬吠埼。
ダントツウィナーズVSTSインテリジェンスの二戦目は波乱の展開となった。
荒れ狂う波と風の中で安定するインテリジェンスを前に早くもバンが撃沈。大ピンチに陥ってしまった。
『さぁ、いきなりバン君を失ったダントツウィナーズ！ここから挽回できるのか！？』
「バン！！」
「悪い！足元掬われちまった」
「けっ」
「あとは私たちに任せて！」
ダントツウィナーズのターン。
「いけっ！プロミネンスウェイバー！」
「ダークネスディバウア！！」
安定したシュートでサイバネティックアバターへ向かっていく。
『おおっと、さすがにこのフィールドに慣れてきたのかダントツウィナーズのシュートが安定している！』
バキィィィ！！！
マインを弾き飛ばしながら、サイバネティックアバターへアタックする。
『ここでようやくダントツウィナーズの攻撃がヒット！！ダメージが通ったぞ！！』
「やったぜ二人とも！」
喜ぶバンだが、リサとザキは怪訝な顔をする。
「あいつら……」
「わざと避けなかった？」
先程とは見違えるシュートをしたとは言え、それでもサイバネティックアバターならば避けられた攻撃だったはず。
それを、敢えて受けたように見えたのだ。
「GO！サイバネティックアバター！！」
インテリジェンスの攻撃。
しかし、マインも近くになくその攻撃力も大した事はないのであっさりと受け止められる。
「……この程度か？」
「とにかく、反撃しなきゃ！」
マインからは距離をとりつつも、ダントツウィナーズの攻撃を受けやすい位置にいるインテリジェンス。
素直にそこへ向かって攻撃を仕掛けるが……。
バキィ！！ガッ、ガッ！！
いい当たりはするものの、耐えられてしまう。
そんな、ダメージの通らない小突き合いが何ターンか続いた。
「なんだこいつら、さっきから無意味な攻撃ばかりしてきやがる」
「マインヒットを狙える場面でも、わざわざぶつけて来るなんて……何か企んでるのかな」
「知るか。こっちももうこのステージには慣れた。次で決めるぞ！」
ドンッ！！
ダークネスディバウアとプロミネンスウェイバーの攻撃をインテリジェンスはフォーメーションを組んで耐え抜く。
「ちっ！」
「衝撃充填率100%」
「これならフルパワーで発動できます」
「よし、このターンで決めるぞ」
「「ラジャー！！」」
インテリジェンスのターン。
バシュッ！
三人一斉にシュートし、ダントツウィナーズの二機を狙う。
「けっ！緩い攻撃だな！」
ガッ！
その攻撃はこれまでと同様に大した事はなく、あっさりと耐え切られてしまう……と思いきや。
「「「レディ……アフターブースター・オン！！！」」」
インテリジェンスが叫ぶと、サイバネティックアバターの後方から白煙が立ち上り、タイヤが急激に回転速度を高める。
そして、猛烈に地面を蹴って急加速し、ダークネスディバウアとプロミネンスウェイバーを弾き飛ばしてしまった。
「なにぃ！？」
「そんなっ！！」
『す、す、すんばらしいいい！！！TSインテリジェンス、奇跡の猛加速でダントツウィナーズを撃沈！！勝利を掴み取った〜！！！』
「バカな、なんだ今の技は……！」
「急に加速した……」
何が起こったのか分からずに呆然とする。
「なるほど、ブーストコンデンサーか」
そこへ伊江羅博士がやってきて解説してくれた。
「ブーストコンデンサー？」
「恐らく、衝撃を受けるたびにエネルギーを充填するシステムを組み込み、過充電する度にコンデンサーへ溜め込んでいたんだ。それを一気に解放させる事であそこまで加速を得た」
「そ、そんな事が……！」
「ほんとに可能なんですか！？」
「理論上はな。だが、フリックスのレギュレーションに組み込むとなると相当なテクノロジーが必要だ」
「ちっ、あそこならやりかねねぇな」
「ザキ、なんか知ってんのか？」
「知るか」
訳知り顔で呟くザキへ質問するバンを、ザキは無視して歩き出した。
「ま、待てよ！」
バンも慌ててその後を追いかけた。
「……イルミナスクールか」
ザキは脳裏に過去の記憶を思い浮かべながら複雑な表情で歩いていった。
つづく
CM