弾突バトル!フリックス・アレイ FICS 第71話「荒波を越えろ!犬吠岬の決闘!!」

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第71話「荒波を越えろ!犬吠岬の決闘!!」

 

 千葉県銚子市犬吠埼。
 今回の開催地はここだ!荒波に打ち付けられる岬の岩が大迫力である。

「うわぁすげっ!なんか映画とかで見たことある!」
「実際、映画のプロローグでよく使われる荒波はここが撮影地らしいよ」
「へぇ〜!で、会場はどこにあるんだよ?」
「あそこだ」

 伊江羅博士が指差す。
 そこには海の上に設立された浮島があった。

「あ、あんなとこで戦うのか!?」
「あの揺れの中で……」
「けっ、上等じゃねぇか。スクールでも似たような訓練施設はあった。大した事はねぇな」
「油断するなよ、ザキ。今日の風は意外に強い。波も想像以上に激しくなりそうだ」
「そんなもんにビビる俺じゃねぇよ」
「ああ!どんな波だろうと超えてやるぜ!!」
 自信満々で警戒心が全くないザキとバンに、これ以上の忠告は無意味と思ったのか伊江羅はため息をついて話を進める。
「ならいいがな。フィールドの状態はウェットになる事は確実だ。シャーシの選択を誤るなよ」
「あったりまえだぜ!」

 バン達はシャーシを濡れた路面でもちゃんとグリップするタイプに変更した。

 ……。
 ………。

 そして、対戦チームが浮島に上がり対峙する。

『さぁ、今回の舞台は凄いぞ!銚子市の犬吠埼に特設されたこの浮島!荒れ狂う波に揺られながらのバトルとなる!
対戦カードはダントツウィナーズVSTSインテリジェンスだ!波に負けないホットな戦いを見せてくれよぉ!!』

「TSインテリジェンスには一回勝ってんだ!またぶっ倒してやるぜ!」
「油断しないでバン。相手はデータ分析のエキスパートだから、きっと前回の戦いから私達への打開策は完璧に練ってるはず」
「その上を行くのが俺たちだぜ!な、ザキ!」
「知るか。俺はただ勝つだけだ。お前らはそれに合わせればいいんだよ」
「ちぇ、言ってくれるぜ。俺だってダントツで勝ってやる!」

 そんなダントツウィナーズの様子を見ながら小声で話し合うインテリジェンス達。
「システムインストール完了」
「いつでも使用可能です」
「では、システム常時起動。タイミングを見て発動する」
「「ラジャー」」

「あいつら、またこそこそ話してやがる」
「けっ、どうでもいいだろ」

 そして、両チームとも試合準備を終える。

『では、はじめます!3.2.1.アクティブシュート!!』

「いっけぇぇぇ!!!」
 バーーーーン!!
 両チームが同時シュートし、激突する。
 先手を取ったのは……。

『さぁ、激しいぶつかり合いを制したのはビートヴィクター!ダントツウィナーズが先攻だ!』

「へっへーん!ぶっちぎってやるぜ!!」
 バンが勇足で攻撃に入る。
「あ、待ってバン!」
 リサの制止も間に合わず、バンはシュートした。
「いっけええ!!!」
 サイバネティックアバターへ向かってヴィクターが突き進む。

『さぁ、バン君の力強いシュート!しかし、ジェームズ君はノーガードでこれを受けるつもりか!?バリケードを構えない!!』

「……風速南西へ2m、波による振幅……全て計算通り」
 グラッ……!
 突如フィールドの浮島が揺れてヴィクターの軌道が逸れる。

「いぃ!?」
 このままでは攻撃が逸れて自滅してしまう。
「プロミネンスドリフト!!」
 そこへ、リサがとっさにプロミネンスドリフトを使ってヴィクターを受け止めた。

『リサ君、ナイスアシスト!波の動きに翻弄されたバン君を見事に救った!!』

「大丈夫、バン!」
「あぁ、悪いリサ」
「けっ、バカが。フィールドをよく考えシュートしろ」
 偉そうにいうだけあり、ザキはしっかりと波のタイミングを読んでシュートする。
 そして、サイバネティックアバターへアタック。

『さぁ、ザキ君はウィリアム君へアタック!!この勢いならフリップアウトか!?』

 キュッ!
 しかし、ウィリアムのサイバネティックアバターは波と風の動きに合わせてサスペンションを可動させて耐え切った。

「ウィリアム、機体への負担率はどうだ?」
「想定以上の衝撃でしたが、むしろ僥倖です」
「なるほど、システムは正常に作動しているようだ」
 攻撃を耐えた事よりも受けた衝撃について話しているインテリジェンスには違和感があるが、ダントツウィナーズは攻撃が通じなかった事を悔やんでそれどころではない。
「ちぃ!」
「あいつら、こんな波の中でなんであんな平気なんだ!?」
「多分、コンピュータで揺れや風の動きを計算して、機体にフィードバックしてるんだと思う」
「なんだよそれ、ずっりぃ〜!」
「仕方ないよ、それが彼らの戦い方なんだから」
「そんな事より奴らからの攻撃が来るぞ、備えろ!」

 バン達はバリケードを構えてインテリジェンスの攻撃に備える。

「「「GO!サイバネティックアバター!!」」」

 インテリジェンスは一斉にシュートし、見事ダントツウィナーズへマインヒットを決める。

「くそっ!全然普通のフィールドみたいに動きやがって!」
「だが、奴ら俺たちを見くびってるな」
 よく見ると、奴らのシュート後の位置は十分反撃しやすいような位置だった。
「サイバネティックアバターの機動力なら反撃を受けない位置取りが出来たはずなのに……」
「へっ、こっから反撃開始だぜ!!」

 ドンッ!!
 バンとザキがお返しとばかりにサイバネティックアバター三機へアタックする。

 キュルルルッッ!!
 しかし、飛ばされた三機は波と風を利用して上手くバランスを取って攻撃に耐える。

『インテリジェンス、まるでサーファーのように波を味方につけて衝撃を吸収している!』

「くっ!」
「フリップアウトが通じないなら、せめてマインヒットで……!」
 リサはプロミネンスウェイバーをスピンさせてマインを弾き飛ばす。

「その衝撃は無意味」
 ジェームズはステップでそれを回避した。

「リサの攻撃もあたらねぇのか!?」

『凡ゆる攻撃が糠に釘状態のダントツウィナーズ!果たして、打つ手はあるのか!?』

「落ち着け。風も波も不規則なようでいて、一定の法則性がある。それを読んでシュートに取り入れろ」
 見兼ねた伊江羅博士がアドバイスを送る。
「あ、あぁ、分かった!」
 バン達はそれを受け入れて、波の動きに集中する。
「確かに、伊江羅博士の言う通り。落ち着いたら波の動きも読めなくはないかも」
 次からはシュート精度が上がりそうだ。

「リーダー、今の衝撃で充電率60%まで溜まりました。発動は可能です」
「アレは発動後の隙が大きい。確実に仕留められるようにチャージを続ける」
「しかし、ダントツウィナーズもこのフィールドに慣れつつある」
「試合が長引くとこちらが不利になります」
「なら、奴らの戦力を削る」
「「ラジャー!!」」

 インテリジェンスのターン。
 三機同時にビートヴィクター目掛けてシュートを放った。

「俺狙いかよ!」
 バーーーーン!!!
 さすがに三機同時攻撃を受けてビートヴィクターは吹っ飛ばされてしまう。

「うおおおおお!!!」
 ガッ!!
 バンはバリケードでヴィクターを受け止める。
「耐えろ、ヴィクター!!」

 しかし……。
 グラッ……!

「うぉっと!」
 急に大きな波がステージを揺らし、バンの足元がフラつく。
 それによってバリケードも緩まってしまい、ヴィクターは場外してしまった。

「あぁ!」
「バン!!」

『なんと!!ここでビートヴィクターが撃沈!ダントツウィナーズ、絶体絶命か!?』

 

   つづく

 

 

CM

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