第1話
富津岬。灯台や広場もあるこの娯楽施設で二人のフリッカーがフィールドを挟んで対峙していた。
一人はごく普通な見た目をしたごく普通そうな少年、もう一人はボロボロな風貌の旅人のような少年だ。
新一「俺の名前は新井新一。君、ここらじゃ見かけないけど観光客か何か?」
ダンガ「……ダンガ。美味いバトルを求めて旅をしている」
新一「美味い、バトル……?」
ダンガ「お前のダントツを喰わせろ……!」
……。
バトルはダンガが勝利した。
新一「いやぁ、まいった!強いなぁ君」
ダンガ「美味かったぞ、お前とのバトル」
新一「美味かったって、バトルを食べたの……?」
ダンガ「クンクン……美味そうなバトルの匂いだ。あっちか!」
ダンガは駆け出していった。
新一「……変わったフリッカーだなぁ」
……。
海岸沿いの道を小さな少年がアタッシュケースを持って走っていた。
その後ろをチャリンコに乗った不良集団が追い掛ける。
アキラ「はぁ、はぁ……!」
タイラ「てめぇ待ちやがれぇ!!」
ケイ「逃げても無駄だよ!」
必死に逃げたが壁に追い詰められる。
タイラ「さぁ追い詰めたぜぇ」
アキラ「うぅ……!」
コウキ「チビ!いい加減大人しくその機体を渡せ!」
アキラ「嫌だ!この機体は、誰にも渡すわけにはいかないんだ!」
コウキ「強情な奴だな。優しくされてるうちが花だぜ?」
タイラ「コウキ様、こんな奴とっととやっちゃいましょうぜ」
コウキ「そうだな。穏便に事を運びたかったが、こうもつけ上がられちゃ武闘派フリッカー集団『ダスト』の名が廃るってもんだ。悪く思うなよ、チビ」
不良集団が機体を構えて少年に向ける。
アキラ「っ!」
死を覚悟して身構えたその時……!
ドゴォォォ!!
背後の壁に穴が空き、そこからダンガが現れた。
ダンガ「腹が減ったぞぉぉぉぉ!!!」
ダンガの突然の登場に場は混乱した。
コウキ「な、なんだてめぇ!いきなり現れやがって!!」
ダンガ「あぁ〜、匂いはここからか」
ケイ「え、あたいそんなに体臭キツい!?」
ダンガ「違う。バトルの匂いだ」
タイラ「バトルの匂いだぁ?何言ってんだこいつ」
コウキ「おい、誰だか知らねぇが俺達はそこのチビと大事な話があるんだ。部外者はすっこんでろ」
タイラ「こんな奴、コウキ様が出るまでもねぇ!俺が捻り潰してやりますよ!」
ダンガ「ほぅ、大盛りかと思ったらフルコースか」
タイラ「ふざけた事はこいつを見てから抜かせ!」
アキラ「あ、その機体は……!」
タイラが得意げに機体を見せつける。
タイラ「オルカシャーク!旧式だが、名機だぜぇ?」
ダンガ「それがどうした」
ダンガも機体を見せる。
タイラ「げぇ!?その機体は……!」
アキラ「ハンマーギガ!?」
ケイ「なんでこんな奴がハンマーギガみたいな名機を……!」
タイラ「けっ!名機使ってりゃいいってもんじゃねぇんだよ!!」
タイラとダンガのバトル。
あっさりとダンガが勝利し、タイラの右腕にぶっ飛ばされた機体がぶち当たる。
タイラ「ぐあああああ!!う、うで、腕がああああ!!!」
ダンガ「前菜にしてはまずまずだな」
タイラ「ぐ、くそ……例え腕が捥がれようと、コウキ様の邪魔するやつはこの俺が……!」
ケイ「タイラ、無理はいけないよ。次はあたいが相手になってやる」
カイヤ「君は播磨博士の息子だね、随分探したよ」
アキラ「あ……!」
コウキ「てめぇ、カイヤ……!」
タイラ「な、なんでチャンピオンの氷刃(ひょうじん)カイヤがここに!?」
カイヤ「君達は、大方例の機体を巡ってバトルしてたんだろうがそれは無効だ。あの機体の所有権は我々にある。さぁ、大人しく渡したまえ」
CM