弾突バトル!フリックス・アレイ 第45話


第45話「剛志vsレイジ!友情のバトル!!」

 

『第1回戦第2試合、操くんvsザキくんの試合は、デスガランが爆散すると言う衝撃的な展開で幕を閉じた!さぁ、波乱の続く今大会!これからどうなってしまうのか!?』

 試合を終えたザキはステージを降りてイツキと合流し、控え室へ向かう道のりを歩いていた。
「ザキ様。見事な勝利でした」
「ふん」
 イツキの賞賛に対してザキの反応は冷たい。
「シェイドディバウアの能力は完全にザキ様とシンクロしています。これで、ザキ様が最強である事が完全に揺るぎないものになりました」
 イツキの言葉の直後、後ろから挑発するような声が聞こえていた。
「ほぅ、あの程度が最強か。堕ちたものだな、ザキ」
 振り返るとそこには伊江羅が立っていた。
「伊江羅博士…!」
「……」
「ふん、腕を見限られ、スクールを追い出されたあなたに最強を語る資格は無いと思いますが?」
 一瞬面食らいながらもすぐに皮肉を言うイツキだが。
「フリッカーでありながら、己が最強になる事を諦め腰巾着に成り下がる事を良しとしたお前が最強を語るのか?」
「なんですって!?」
 図星だったのか、伊江羅の言葉に珍しく感情を乱す。
「イツキ、下がっていろ」
「ザキ様っ……分かりました、失礼いたします」
 イツキは渋々といった感じでその場をゆっくりと離れた。

「久しぶりだな、ザキ」
 兄弟の再会。しかし、伊江羅もザキもその表情から感情は読めない。
 しばらく沈黙が続く。
「……てめぇの言う通りかもしれねぇな」
 ふいに、ザキが口を開いた。
「ほぅ…?」
「今の俺は、最強には程遠い」
 そう口にしたザキの表情はやはり動かなかった。
「だが」
「……」
「この世に俺よりも強い奴はいない……神でもない限りな」
「……それもまた、事実だろうな」
「……」
 再び沈黙が続き、伊江羅はその場を去るために一歩踏み出した。
 そして、ザキの横を通り過ぎようとした時に一言告げた。
「ザキ、最強になりたくばこれからの試合片時も目を離さない事だな」
 それだけ告げて、静かに歩いて行った。
「けっ」
 ザキはその言葉に反応するでもなくつまらなそうに歩き出した。

 場内ではバンとリサが話していた。
「バン……大丈夫かな、操は……」
「なぁに、あいつはそんな弱い奴じゃねぇ!きっとまた復活して俺たちの前に現れるぜ!」
「そうだね。……それよりも心配なのはあの二人かな」
「剛志にレイジ……あいつらがこんな早くにぶつかるなんてなぁ」
「変に仲が抉れないといいけど」
「いや、あいつらだってフリッカーだ!親友と戦える事が嬉しいに決まってるぜ!」

 その頃、剛志とレイジはお互い別々の場所で試合に向けての準備を進めていた。
 剛志は幕張の海に向かって立ち、グランドギガを構えている。
「……今じゃ!」
 カッと目を見開いた瞬間に大津波が押し寄せてきた。
「カチ割れ!グランドギガ!!!」
 迫り来る大津波の壁に向かってグランドギガをシュートする。
 パーーーーーン!!!
 着水した瞬間、津波は真っ二つに割れてしまった。
「待っとれよレイジ……!ワシは最高のパワーでお前を迎え撃つからのぅ!!」

 一方のレイジは、巨大なトランスポーターを会場前道路に設置し、その中のメカニックでフリックスのチューンナップをしていた。
「あとは仕上げだ。この特製装置で性能の底上げをする」
 レイジはファントムレイダーを謎の機械に入れ、スイッチを入れた。
「相手は剛志……生半可なチューンナップじゃ勝てない。よし、出力をもっと上げて!限界までファントムレイダーの力を引き出すんだ!!」
 助手達に指示を出す。
「し、しかしレイジ様、これ以上電圧を上げたら機体が持ちません!!」
「このくらいで持たないようなら剛志には勝てないよ!大丈夫……僕はファントムレイダーを信じてる!!」

 ビー!ビー!ビー!!
 機械が根を上げるように音を立てるが、レイジはただ見守る。
「ファントムレイダー、耐えてくれ……!ここで耐えれば僕たちはもっと上に行けるんだ……!!」

 そして暫くして機械音が収まった。
「完成だ……!」
 機械から慎重にファントムレイダーを取り出す。まだ熱がこもっているのが、機体から湯気が出ている。
「よく耐えたね、ファントムレイダー……!これできっと勝てる!!」

 二人はそれぞれのやり方で準備を完璧にしてきたようだ。

 そして試合時間となり会場へ向かう。
 ステージではすでにフィールドを挟んで剛志とレイジが対峙していた。

『さぁ、続いての対戦カードは剛志くんvsレイジくんだ!かつてタッグバトル大会の常連チャンピオンとして名を馳せた二人がこの大舞台で激突する!!
見逃せない一戦となりそうだぜ!!!
今回使うフィールドは四辺の中央にフェンスが設置してある!これをどう使うかも見所だぞ!!』

「レイジ!準備は万端か!?」
「もちろんさ!この時を楽しみにしていたよ!!」
「ワシもじゃ!楽しみで、ほんの少しだけ怖くもあったのぅ」
「剛志が……?」
「ワシには怖いもんはないつもりじゃった!じゃが、レイジ!敵として立ちはだかったお前ほど怖いもんはない!!嬉しくなる怖さじゃ!!」
「剛志……」

 そんな二人の様子を観客席から見ているバンとリサ。
「なんだ、あいつらいい感じじゃん」
「うん。良い目をしてる」
「あぁ!これなら最高の試合が見られそうだぜ!」

 離れた席で、ザキも腕組みをしながらつまらなそうに対峙している剛志とレイジを見ていた。
「けっ、くだらねぇ」

『さぁ、二人とも!準備はOKかな?そろそろおっぱじめるぜ!』

 二人はマインと機体をセットし、シュートの構えを取る。

『3.2.1.アクティブシュート!!』

「ブチかませ!グランドギガ!!」
「受け止めろ!ファントムレイダー!!」

 ドーーーン!!
 二機のフリックスが正面衝突し、爆煙が巻き起こる。

『激突ーー!!!いきなり正面衝突だ!!!
しかし、グランドギガのアタックをまともに受けてファントムレイダーは大丈夫なのか!?』

 煙が晴れ、二機の立ち位置がハッキリする。

『おおっと!!先手を取ったのはグランドギガだが、ファントムレイダーはグランドギガのアタックに耐えきった!!これは凄いぞ!!!』

「むっ、やるなレイジ……!」
「ファントムレイダーの武器はすり抜けによる回避だけど、どんな機体にも安定して攻撃できるグランドギガには通じない……このバトルは明らかに僕の方が不利なんだ」
「じゃが、だからこそ対策は簡単にできるという事か。これじゃから末恐ろしいんじゃお前は……!」
「うん。ファントムレイダーに強化素材をコーティングして攻防のポテンシャルを底上げしたんだ。これならグランドギガとの打ち合いにも負けない!」
「それでも、まだワシが有利という事に代わりはないがの!」
 剛志がグランドギガを構える。
「本当の対策はこれからさ!フリップスペル!スパークリフレクト!!」

 スパークリフレクト……シュート後に宣言して発動。次の自ターンが来るまでに最初に触れてきた敵機に1ダメージ与えられる。
マインヒットやフリップアウトした場合は無効。

「これなら先手取っても迂闊には触れないよね!」

『これは上手い!カウンター系のスペルによって、レイジくんはアクティブシュートでの遅れを取り戻した!!』

「なるほど、攻めればワシがダメージを受け、攻めなければ次のターンでマインヒットを決めると、そう言う作戦か」
 フィールド上には、グランドギガが利用できる位置にマインは無い。これも偶然ではないだろう。
「じゃが!だったらフリップアウトさせればいいだけの話じゃ!!」
 スパークリフレクトはマインや場外すると無効になる。絶対に無敵の効果というわけではない。
 攻撃力に絶対の自信を持つ剛志が臆するわけがないのだ。
「ぶちかませ!グランドギガ!!!」

 バシュウウウウ!!!
 グランドギガのシュートがファントムレイダーへ迫る。
「躱せ!ファントムレイダー!!」
 グランドギガが接触する直前、レイジはステップでファントムレイダーの身を翻し、グランドギガの突進を躱した。
「なんじゃと!?」
 そして、グランドギガはそのまま場外へ自滅してしまう。

『これは上手い!!剛志くんの渾身の一撃をレイジくんはステップで躱した!!
これによってグランドギガに1ダメージ!先制攻撃はレイジくんが制したぞ!!』

「こ、これはしてやられたわい……!スパークリフレクトで挑発してワシの力ませなシュートを誘発させよったか」
「さすがの剛志も絶対にフリップアウトさせたいって気持ちが強くなれば攻撃のタイミングは単調になるからね」
「ガッハッハ!こいつはとんだ猫だましを喰らったわい!!
ファントムレイダーに対して、グランドギガは有利という油断を突くとは見事じゃ!!」

『そんじゃ、仕切り直しアクティブをするぞ!両者セットしてくれぇ!』

 バトルフリッカーコウに促されて、二人は機体をセットする。

「じゃが、猫だましが通用するのは最初の一発だけじゃぞ……!」
 そう言った剛志の眼光が鋭く光った。
「っ!」
 剛志の本気の眼差しに一瞬怯むレイジだが、すぐに気を引き締めた。

『3.2.1.アクティブシュート!!』

 仕切り直しアクティブは、最初の時と同様剛志が先手を取った。

「一気に決めるぞ…!フリップスペル!デスペレーションリバース!!」
 自滅を無効に出来るフリップスペル。さすがにこれにはレイジもひとたまりもないはず……しかし、レイジはスペル発動宣言を聞いてニヤリと笑った。
「そのスペルを使う事はお見通しだよ!」
「なんじゃと…!?」
「ファントムレイダーを相手にバリケードを失う事はデメリットにはならない。そして自滅を誘発された後なら尚更デスペレーションリバースで挽回しようとするはず…!
でも、デスペレーションリバースには弱点がある!!」
 レイジはステップを使い、バリケードで素早くファントムレイダーを左右に素早く振った。

『なぁんと!!レイジくんはファントムレイダーを左右に振っている!物凄いスピードだ!!そのあまりの早さに、残像がまるで分身しているかのようだ!!』

 観客席のバンたち。
「な、なんて早さのステップだ……!普通バリケードがもたないだろ!?」
「ファントムレイダーは軽量な上に乗り上げ形状のボディがアッパーフォースを生み出して路面抵抗を減らしてる…それがあの動きを可能にしてるんだ…!」

 シュンシュンシュン!!!
 残像を生み出しながら左右に動き続けるファントムレイダー。
「これが新必殺!スペクトルミラージュ!!
視界の悪くなったデスペレーションリバースじゃこの動きは捉えられない!!」
 デスペレーションリバースは闇の瘴気に視界を奪われた状態でシュートすることになる。
 つまり、ステップで動かれる相手には攻撃を当てづらいのだ。

「何をやっとるか察しはついとるが、甘いぞレイジ!元々視界が悪くなったワシにまやかしは無意味じゃ!それに……ワシの生活を忘れたわけじゃなかろう?」
「っ!?」
「ワシはいつも光の少ない山の夜を過ごしとるんじゃ!頼れるのは己の感覚のみ!その中で戦ってきた野生と比べれば、その程度!」
 剛志は五感を研ぎ澄ませ、全身でレイジの動きを感じ取った。
 機体の動く音、摩擦熱の匂い、発生する微かな風を肌で感じ……。
「そこじゃあああ!!!」
 バキィ!!!
 闇の瘴気で目が見えないにもかかわらず、剛志の攻撃は見事ファントムレイダーを捉えた!
「そ、そんな!?」

『命中!!なんとなんと!ステップを使った分身回避技を披露したレイジくんも凄いが、剛志くんはそれを己の感覚のみで完全突破してしまった!!
これによって、ファントムレイダーはフリップアウト!後がないぞレイジくん!!』

 場外したファントムレイダーを拾い、レイジは万策尽きたかのようにき意気消沈してしまう。
「そ、そんな…僕のとっておきが通用しなかった……剛志に勝つために完璧なプランで挑んだはずなのに……もう、打つ手がない……」
 ガクッとうなだれると、視界にファントムレイダーが映る。ファントムレイダーは、会場の照明を反射してキラッと光った。
 まるで、何かを訴えかけているかのようだ。
「ファントムレイダー……そっか、僕はずっと相性の悪い剛志に勝つために、油断させたり、剛志の弱点を突く事しか考えてなかった……」
 ファントムレイダーを手に、レイジは立ち上がる。
「ごめんよ、ファントムレイダー……君と戦ってることを忘れていたよ。僕の相棒は剛志だけじゃない、ミラージュレイダーにファントムレイダー、愛機もずっと一緒に戦ってくれたんだ!」
 レイジはキッと剛志を見据えた。
「剛志に勝つためじゃない、ファントムレイダーを最大限に生かすためのシュートをするんだ!!」
「ほぅ、いい顔になったのぅ!これは楽しみじゃ!」

『それでは、仕切り直しアクティブ行くぞ!
3.2.1.アクティブシュート!!』

「こいつで決めるぞ!グランドギガ!!」
「お前の最高の力を見せてくれ!ファントムレイダー!!」

 バシュッ!!
 まっすぐ突進するグランドギガに対して、ファントムレイダーは掬い上げモードでスピンしてきた。

『のおっと!?ファントムレイダーはスピンシュートだ!今までになかった動きだぞ!!』

「剛志!これが今出来る僕の最高のシュートだ!!」
「面白い!受けて立つぞレイジ!!」

 カッ!!
 フィールド中央で接触する二機。その瞬間、グランドギガがバランスを崩して転倒してしまった。

『おおっと!グランドギガがまさかの転倒!!これによって、ファントムレイダーが先手だ!!』

「な、なんじゃとぉ!?」
「グランドギガにファントムレイダーの掬い上げは通用しない…でもそれはストレートの話!スピンシュートなら、いかにグランドギガでも捌ききれずにバランスが崩れる!これがファントムレイダーの力を使った、グランドギガの攻略法だよ!!」
「ふっ、さすがじゃな、レイジ!面白くなってきたぞ!!」
 レイジのターン。
 まずは普通に転倒しているグランドギガへぶつかりに行く。
「フリップスペル!スタン!!」

『ここでスタン発動!グランドギガは既に転倒しているので、レイジくんはもう一度撃てるぞ!!』

「いけっ!」
 バシュッ!
 密着状態からマインに直接あたり、マインヒット!
 マインは場外させ、さらにレイジはファントムレイダーをフェンスに密着するように停止させた。
「さぁ、これで剛志は残りHP1だよ!このターンを凌げば僕の勝ちだ!」

『これは上手い!レイジくんはマインを場外させつつ、更にフェンスで確実に防御できる体制でターンを終了!!剛志くん、迂闊に攻められないぞ!!』

「マインもなければ、フリップアウトしようにもフェンスで阻まれとる状態、しかもここで攻撃失敗すると後がないか……!面白い!ますます燃えてきたぞ!!」
 剛志は臆する事なくグランドギガを構えた。
「どんな攻撃も効かないよ!」
「それでもワシは攻めるしかないんじゃ!!!」

 バシュウウウウ!!!バーーーーーン!!!!
 フェンスに守られていたファントムレイダーへ痛烈な一撃!
 挟み撃ちの圧力によってファントムレイダーは弾き飛ばされるものの、耐え切ってしまった。

「よし、耐え切った!!」

『やはりグランドギガの攻撃は通じず!!このままファントムレイダー有利な状態で試合が進んでしまうのか!?』

「まだじゃあ!!」
 剛志が叫ぶ。
 すると、フィールドがカタカタと揺れている事に気付いた。

『な、なんだ!?フィールドが揺れている!!地震でも起きているのか!?』

「い、いや、これはグランドギガがフェンスにぶつかった時の振動!?」
「決めろ!グランドクエイカー!!」

 振動によってフィールド上のマインが動き、ファントムレイダーに接触してしまった。

『決まったーーー!!!!剛志くん、フィールドを振動させるという荒技で見事なマインヒット!!
これによって勝者は剛志くん、グランドギガだぁ!!!』

 バトルが終わり、二人は機体を回収し、向き合った。
「レイジ、いいバトルじゃったな!」
「うん……負けて悔しいけど、凄く楽しかった」
「おう、ワシもお前みたいな強い奴が親友でますます嬉しくなったぞ!!」
 ガシッと握手し、二人は再度友情を確かめ合うのだった。

 その様子を冷めた目で見ているザキ。
「……ちっ、茶番じゃねぇか」
 口ではそう言いながらもその様子から目を離そうとはしない。
 それは兄に忠告されたからか、それとも……。

 

   つづく

 

 次回予告

「次の試合はリサvsイツキ!お互いに特殊な軌道でマインヒットする事が得意のフリッカー!これは見ものだぜ!!
だけど二人の様子がおかしい……コラー!お前らもっと真面目にやれぇ!!

次回!『誇り高きフリッカー魂!』

次回も俺がダントツ一番!!」

 

CM

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