オリジナルビーダマン物語 第88話

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爆砕ショット!ビースピリッツ!!


第88話「本戦リーグスタート!」




 世界選手権本戦リーグが始まる二日前の昼下がり。
爆球小学校5年2組の教室では、祭りごとのような装飾が施されており
机が中央に並べられ、その上に豪華なお菓子やジュースが置かれていた。
そして、黒板にはドデカく。
『竜崎修司君!世界選手権出場おめでとう!!』
とカラフルなチョークで書かれていた。

「それでは、竜崎君の世界選手権出場を祝ってぇ!」
先生がジュースの入った紙コップを掲げながら、乾杯の音頭を取っている。
「「「「かんぱーーーーい!!!!」」」」
クラスの皆がそう叫びながら、コップを合わせた。

世界選手権へ旅立つシュウへの壮行会をしているようだ。
「いやぁ、はっはっは!ありがとう皆!!」
シュウは後頭部に手を当てながら、照れつつもまんざらでもない表情だ。
「うっ、うぅ、まさかウチのクラスから世界へ旅立つ児童が出るとは……先生は嬉しい!!」
先生は右腕で涙が溢れそうになる目を抑えながら、左手でシュウの肩をバンバンと叩いた。
「あたっ、痛いよ先生……!」
「先生も昔ペタングの世界大会に出た事はあるが、世界は凄いぞぉ……君にもその凄さを体感してもらいたい!!」
そう言えば、先生はスポーツマンのような体格をしているが、本当にペタングの選手だったとは。
「あ、ははは……」
シュウは感激する先生をなんとかやり過ごし、仲の良い田村と吉川の傍に来た。
「それにしてもすごいなぁ、ほんとにヒンメルと同じ舞台に立っちゃうなんて!」
田村がオレンジジュースを飲みながら言う。
「うん。最初にあった時から僕達より強かったけど、ほんとここまでとは行くなんて」
吉川も感心している。
「でもなぁ。ついこの間まで一緒に休み時間にビーダマンで遊んでたのに、いつの間にか遠くに行っちまうみたいでちょっとさみしいぜ」
「そうだね……」
田村と吉川は、どこか哀愁漂う表情を見せた。
「んな事ねぇって!俺、ヒンメルを倒すために今までビーダマンやってきて、いろんな奴らと出会って、戦ってきたけどさ。
お前らと出会った事だって、俺にとっては大事な事だったんだ」
シュウの嘘偽りのない言葉に二人は感激した。
「うおおおお!!!お前って奴は~!!!」
田村は感極まって抱き着こうとした。
「おわっと!」
シュウは間一髪でそれを躱した。
ゴッ!
田村は壁に鼻からぶつかった。
「よ、よけるなよ……!」
赤く擦り剥けた鼻を摩りながら、田村は振り返った。
「よけるわっ!」
「「ははははは!!!」」
そんな二人のやりとりを見て、クラス中が笑いに包まれた

暖かい雰囲気の中、シュウの壮行会は終了した。
このクラスに転校してきてよかった。
シュウは心からそう思いながら、世界への闘志を燃やしたのだった。

そして、放課後の仲良しファイトクラブ。
「いっけぇ!ブレイグ!!」
「レックス!!」
ガシュッ!ガキンッ!!
シュウとタケルがバトルホッケーで練習試合をしている。
「そこだ!決めろぉ!!」
シュウがシメ撃ちでパックをタケルの陣地へ押し込んだ。
「くっ!」
「おっしゃぁ!!」
ガッツポーズをするシュウ。
タケルは一息ついて、構えを解いた。
「ふぅ、大分良い調子になったな。ブレイグの性能も、お前のパワーも」
「おう!練習に付き合ってくれたタケルのおかげだぜ!!」
シュウとタケルは拳を合わせた。
「シュウ先輩!お疲れ様ですぅ!!」
シュウの所へ、リカが濡れタオルを持ってやってきた。
「おう、サンキュ!」
タオルを受け取って汗を拭う。
「っひゃ~、気持ちいい~!さっすがリカは気が利くぜ」
「えへへ~」
シュウに褒められて、リカは嬉しそうに笑った。

「で、俺の分は……?」
タケルが遠慮がちにリカに言うと。
「え?」
リカはキョトンとした。なんで声をかけられたのか、本気で理解していないようだ。
「露骨だな、お前は……」
タケルはそんなリカに呆れながらもそれ以上追及はしなかった。
「はい、タケル君」
無視された可哀相なタケルへタオルを持ってきたのは彩音だった。
「あ、彩音さん。ありがとう」
タオルを受け取るタケル。そして彩音はシュウへ話しかけた。
「シュウ君、そろそろ練習は良いんじゃない?大会に向けて、ブレイグも休ませてあげないと」
「うん。ブレイグもそろそろ疲れてきただろうし」
彩音に言われて、シュウはブレイグを見た。そろそろ疲労が溜まってきており、パーツが消耗していた。
「じゃあ、ちゃんとメンテナンスしておくね」
シュウは彩音にブレイグを渡した。
「ありがとう、あやねぇ!」
ビーダマンもメンテに入ったと言う事で、シュウも休息する事にした。
練習場端に設置してあるベンチにドサッと腰を下ろす。
「ふぃ~!ちかれた~!南極予選終わってから、もう本戦リーグが始まるのか。早いなぁ……」
「やれる事はやった。後はブチ当たるだけだな」
シュウの隣に座ったタケルが言う。
「それにしても、まさかほんとにあんたが世界選手権に出場できるなんてねぇ」
と、琴音が軽口を叩きながらやってきた。
「タケルのおかげだぜ。俺一人じゃ絶対に勝てなかった。ほんと、サンキューな、タケル」
シュウは改めてタケルへ礼を言うと、タケルはゆっくりと首を振った。
「それは俺も同じだ。俺の力じゃ、予選突破は不可能だった。
仲良しファイトクラブのメンバーを世界選手権本戦に出場させるって目的を果たせたのはお前のおかげだ、シュウ」
タケルもまた、シュウのおかげで自分の目標に近づけていた。
シュウだけが恩義を感じる事ではないのだ。
「だが、まだ出場を決めただけだ。スタート地点に立ったに過ぎない。無様な戦いはするなよ」
いつの間にか傍に来ていたヒロトは、相変わらず厳しい事を言う。
「分かってるって!これまでの戦いの全部をぶつけてやる!!」
シュウは拳を握りしめて、強く断言した。
「本戦リーグは、自分以外の参加者9人と1回ずつ戦って、最終的に勝ちの星の多いビーダーが優勝するのよね。大会スケジュールってどうなってるんだっけ?」
琴音が思い出したように言うと、彩音がそれに答えた。
「一試合ずつ、世界中のいろんな会場でやるみたい。対戦相手は、会場先でランダムに決定するの」
「って事は、予め対策を考えるって事が出来ないのか……」
タケルが不安げに言うと、シュウはそれを払拭するように勢いよく言った。
「大丈夫だって!出場する奴らのバトルは予め見てきたんだ!それに、条件は相手だって同じだ!」
「そうね。私達も全力でサポートするよ」
彩音も頼もしく言ってくれた。
「おう!」
「それで、スケジュールなんだけど。大会期間は約一ヶ月。3日ごとに1試合やるの。そして、1回戦の舞台は南米アマゾンの奥地よ」
「アマゾンか……って事は、ジャングルを利用したフィールドになるのかな?」
「フィールドの詳しい情報はまだ入ってこないけど、可能性は高いわ」
「よっしゃ!森や林のフィールドは経験済みだ!勝ったも同然!!!」
確かに、今まで木々が生い茂るフィールドで戦った事は多いが、それは少し短絡過ぎである。
「油断するなっての。それでいつも痛い目見てんだろうが」
「全く、世界選手権出場出来ても相変わらずなんだから」
「う、うるさいなぁ……分かってるよ!」
タケルと琴音のお小言に、シュウは口を尖らせた。
「まぁまぁ。とにかくシュウ君。開催地以外はほとんど情報が無い状態だから、くれぐれも気を付けてね」
「おう!」
シュウは強く返事した。

そしてその夜。
竜崎家の食卓。
「おぉ!今日は豪華だなぁ!!」
テーブルの上には、カツ丼、トンカツ定食、チキンカツ丼、カツカレー、そしてビフテキが並べられていた。
「へっへっへ!これぞまさに、敵に勝つ!ってな!これから大会終わるまで必勝祈願のスペシャルメニューにしてやるから、しっかり戦ってこいよ、シュウ!」
父は胸を張って得意気に言った。
「おう!サンキュー父ちゃん!!早速、いただきまーす!!」
シュウは父に感謝しつつ、目の前にご馳走をがっついた。

準備は整った。
後日、シュウ達仲良しファイトクラブメンバーは、本戦リーグ1回戦が開催されるアマゾンの奥地へと飛んだ。

冬だと言うのに湿気が多く、生い茂る木々が視界を遮るこの地に、特設会場が建設されている。

「ついに、着いたぜ!!」
会場に着くなり、シュウが叫ぶ。
「ああ。世界一を決める舞台に、いよいよ来たんだな」
タケルも、なんだか感慨深い。
「頑張ってくださいね、シュウ先輩!」
「しっかりやんなさいよ」
「いつもの力を出しきれば、きっと勝てるよ」
リカ、琴音、彩音が口々に激励する。
「おう!バッチリ戦ってくるぜ!」
そんな皆にシュウは拳を突き出して応えた。
「それじゃ、俺達は客席の方に行くぞ」
タケル達はシュウを残して客席へ移動した。

残されたシュウは、会場に集まってるビーダー達を見回した。
「へへ、懐かしい顔ぶれだけど、皆雰囲気がいつもと違うぜ……!」
アメン、劉洸、ブッシュ、プーチン……と見知った顔がいる。
「あ、あいつは……!」
そして、その中にヒンメルの姿を見つけた。
見つけるなり、シュウは地を蹴って駆け出した。
「ヒンメル!!」
ヒンメルの傍まで来て、指をさしながら叫ぶ。
「?」
ヒンメルはゆっくりとシュウの方を向いた。
「やっと、ここまで来たぜ!お前と同じ舞台に!!このために俺は戦ってきたんだ!絶対にお前に勝ってやるからな!!」
気合いの赴くままに捲し立てるシュウへ、ヒンメルは虚ろな瞳を向けた。
「竜崎……修司……シュウ……」
ヒンメルはぼんやりとした表情のままシュウの名前をボソッと呟く。
それだけで、特に反応はしなかった。
「おろっ!なんだよ!宿命のライバルが話しかけてんだから、もっと反応示せよ!」
シュウは思わずズッコケてしまった。
「宿命か……我にとっても、貴様が這い上がってきた事には宿命を感じざるをえんな」
そこへ、タクマが話しかけてきた。
「タ、タクマ!」
タクマは腕組みをしたまま、高圧的な視線を送っている。
「この大会で、ビーダマンを統率するものが決まる。我がここにいる全ての智蔵派ビーダーを潰す事によってな!」
全ての智蔵派。と言うのはヒンメルも含まれているのだろう。
「冗談じゃねぇ!ヒンメルを倒すのはこの俺だ!それから、お前にだって負けやしねぇよ!!」
シュウも口から唾を飛ばす勢いで反論する。
「ふん、今のうちに、吼えるがいい」
「なにをぅ……!」
タクマが鼻で笑うと、シュウが歯ぎしりして威嚇する。
「とーう!晴れやかなこの舞台で、喧嘩はよくないぞーー!!」
と、シュウとタケルの間に、空からブッシュが割り込んできた。
「ブ、ブッシュ……!」
「その争い、このスーパーヒューマンが預かった!ビーダーならば大会で決着をつけるべきだろう!」
「べ、別に俺達ここで喧嘩しようってつもりはないんだけど……」
「ふん、くだらん」
タクマは、興が冷めた踵を返して去って行った。
そして、会場内にビーダマスタージンのアナウンスが鳴りひびいてきた。
『さぁ皆!!ビーダマンワールドチャンピオンシップ!本戦リーグへようこそ!!!
今日から始まるのは、各大陸予選を勝ち抜いた計10名の精鋭達による、世界一を決める本当の戦いだ!!
選手たちは、自分以外の9人と1回ずつ戦ってもらい、勝利数が最も多いビーダーが世界一になると言う単純明快なシステム!
競技内容は全試合アルティメットシャドウヒットバトルで統一しているぞ!
そんじゃ早速、出場選手を紹介するぜ!!』

バッ!と劉洸にスポットライトが当たる。
『まずはアジア大陸代表!中国出身の劉洸君!!堅実で誠実!真っ直ぐなバトルスタイルは、シンプルだがだからこそ手強い!
愛機は、片手撃ちのバランス型!射手兵(シェショウビン)だ!!』
タクマにスポットライトが当たる。
『アジア大陸代表2人目は、日本出身の大原タクマ君!!そのバトルスタイルは凶悪かつ大胆!圧倒的力で相手を飲み込むその姿は、まさにブラックホール!!
愛機は、パワー連射コントロール、全てを備えた暗黒の龍!コンフターティスドライグだ!!』
カルロスにスポットライトが当たる。
『南アメリカ大陸代表!ブラジル出身のカルロス・マルジーナ君!有名少年サッカーチームにも所属している彼は、サッカーで鍛えたフットワークが最大の武器だ!
愛機も、なんとフットでビー玉を蹴り出す事が出来る特殊型!エースストライカーだ!!』
ブッシュにスポットライトが当たる。
『北アメリカ大陸代表!アメリカ出身のブッシュ・ワイリー君!何と彼はハリウッドのアクション俳優だったりするのだ!
アクション俳優ならではの豪快な動きが我々を魅了する!
愛機は、二段構えの発射機構とマジックハンドのようなトリガーが特徴的なスーパーヒーローマン!!』
アメンにスポットライトが当たる。
『アフリカ大陸代表!エジプト出身のアメン・ラー君!神秘のピラミッドパワーを駆使した幻想的なバトルは対戦相手を惑わせる!
愛機は、ヘッドに特殊な変形機構を搭載した、ピラミタルファラオ!!』
そして、色黒の少年にスポットライトが当たる。
『続いてアフリカ大陸代表2人目!マサイ族出身のマサーイ・マーサイ君!
まだまだビーダマンの普及していない国だが、明るい彼のバトルスタイルは見るものを楽しませてくれる!
愛機は、量産型のゼンダグラップラーだ!』
そして、次はベルセルクにスポットが当たる。
『ヨーロッパ大陸代表!ノルウェー出身のベルセルク君!狂人の如くビー玉を撃ち続けるその姿は、理性を無くしたバーサーカー!彼を止められるものはいないのか!?
愛機は、ハーフストロークシステムによる連射が強烈なクレイジーバイパー!!』
ヒンメルにスポットが当たる。
『ヨーロッパ大陸代表二人目!ドイツ出身のヒンメル・フリューゲル君!
現世界チャンピオンの彼はやはり今回も勝ち上がってきた!今大会の優勝候補ナンバーワンなのは間違いないぞ!
愛機は、全ての回転を使いこなす神のビーダマン!デオスミカエルだ!!』
プーチンにスポットが当たる。
『南極大陸代表!ロシア出身のニコライ・プーチン君!少年プロレスラーでもある彼は、寒さをものともしない強靭な肉体が最大の武器だ!!
愛機は、強力なドライブショットで全てをかみ砕く氷のオオカミ!リュートヴォルクだ!!』

そして、最後にシュウにスポットが当たった。
『南極大陸最後の代表者!日本出身の竜崎修司君!エントリーネーム、シュウ君!!
ビーダー経験は浅いながら、持ち前のガッツとパワーで強敵を退けてきた!熱いビー魂なら誰にも負けない!!
愛機は、パワーだけなら今大会最強か!?ビクトリーブレイグ!!』

ワーーーーーと歓声が上がる。
『以上10名で優勝を争われるぞ!!みんな、最後まで応援よろしくなぁぁ!!』

「へへ、燃えてきたぜ……!」
ビーダマスターの熱い紹介を受けて、シュウはますます闘志を燃やした。
『そんじゃ、いよいよ対戦カードを決めて行こう!
対戦カードは、毎回試合前にランダムに決まるんだ!!さぁ、記念すべき第一試合を飾るのは……』
モニターにシュウとカルロスの姿が映し出された。
『決まった!第一試合は、シュウ君VSカルロス君だ!!10分後に試合開始だ!!
それまでにフィールドスタート地点についてくれ!』

モニターを見るシュウ。
「っひゃ~、最初の相手はカルロスかぁ……」
「シュウく~ん!」
カルロスが駆けつけてきた。
「カルロス!」
「久しぶりだね。まさか最初に君と当たるとは思わなかったよ」
「俺もだぜ!またお前と戦えるのかと思うと、ワクワクする!」
「うん。僕は、君たちのおかげで強くなれた。まだベンチだけど、サッカーチームも上手くやってる。本当に感謝しているよ」
カルロスが神妙な面持ちで言うもんだから、シュウは照れくさくなって後頭部に両手を組んだ。
「いやぁ、そんな大げさだぜ」
「でも、感謝してるからこそ僕は全力で君に勝つよ!それが僕に出来る最大の恩返しだと思うから」
「あぁ、上等だ!俺も全力で迎え撃つぜ!!」
シュウとカルロスは固く拳をぶつけ合った。
観客席では。
「シュウの最初の相手はカルロスか」
「あいつはなかなかの使い手だったな」
カルロスの実力はヒロトも認めている。
「そう言えば、前に戦った時シュウ負けてんのよね。大丈夫かなぁ」
「あれはカルロス有利の競技だったから、単純な負けとも言えない。
だが、このバトルフィールドはブラジル出身のカルロスにとってホームグラウンドだ。楽な戦いにはならないな」
ヒロトが言うと彩音も頷いた。
「そうね。でも、フィールドを活かす事ならシュウ君だって得意なはず。きっと大丈夫だよ」
彩音が落ち着いて言うと、皆も安心するように表情を緩ませた。
そして、試合時間。
シュウとカルロスは互いに離れたスタート地点に立った。

『そんじゃ、いよいよ始めるぞ!ビーダマンワールドチャンピオンシップ本戦!
レディ、ビー・ファイトォ!!』

「いくぜっ!」
ダッ!
スタート早々シュウは駆け出した。
しかし……。
「どわぁぁ!!」
木の根っこに躓いて転んでしまった。
『シュウ君スタート早々転倒!!大丈夫かぁ!?』
「ぐっ、森のステージは経験してるけど、ここは今までのとは全然違う……!」
茂っている木の種類、大きさ。何もかもが、今まで経験した森とはスケールが違う。
「これが秘境アマゾンだよ!」
いつの間にかカルロスがすぐ傍にいた。
「っ!」
『のおっと!カルロス君は華麗なフットワークでシュウ君へと迫る!!』
「しまった!」
「いっけぇぇ!!!」
ズドドドドドド!!!
エースストライカーのショットがシュウのシャドウボムを捉えた。
「くっ!!」
『早くもヒット!!シュウ君のシャドウボムのHPがどんどん削られていくぞ!!』

「やっべぇ!!」
シュウは慌てて起き上がって木の陰に隠れた。
「逃がさないよ!」
カルロスは素早く回り込んで追撃する。
「くっそぉ!!」
シュウも負けじと反撃してカルロスのHPを減らして行くが、カルロス有利は変わらない。
「負けるかぁぁ!!」
シュウは逃げまくるのはやめて、足場を固めて応戦した。
純粋な力の勝負ではシュウに分がある。
「くっ!」

『まさに世界レベル!ワールドチャンピオンシップに相応しい互角の立ち合いだ!!
フットワークで翻弄するカルロス君に、力で対抗するシュウ君!抜きつ抜かれつの大接戦だ!!』

「こうなったら!」
バッ!
カルロスは素早く距離を取った。
「っ!」
そして、木々の間を縫うように走って良き、シュウのボムを狙う。
「くそっ!」
巧みなヒットアンドアウェイだ。
シュウも反撃はするものの、与えるダメージはカルロスの方が大きい。
「更に……!」
カルロスはランダム弾をセットした。
「ランダムショット!!」
『ここでストライクショット!!ランダム弾のブレが木々の間を上手くすり抜けてシュウ君を翻弄する!!』

バーーーン!!
ランダム弾がシュウのボムに命中する。
「ランダム弾にそんな使い方があるのかよ……!」
シュウは完全に翻弄されている。
客席の仲良しファイトクラブ。
「くっ!やっぱこのステージはカルロス有利か……!」
「初戦は落としたか……」
タケルとヒロトは負け戦ムードだ。
「ま、まだ諦めちゃだめだよ!しっかりシュウ君を応援しましょう!!」
「そうですよ!シュウ先輩はこんな所じゃ負けません!」
女性陣はまだシュウの勝ちを信じ、根拠は無いものの応援を続けた。
『やはりホームグラウンドのカルロス君が有利なのか!?シュウ君も応戦してはいるが、やや一方的な展開だ!
現在、カルロス君のHPは25に対して、シュウ君のHPは13!このまま決まってしまうか!?』

「くそっ!このままじゃダメだ!」
シュウはとりあえず一旦その場から逃げだした。
『シュウ君逃走!しかし、フットワークではカルロス君の方が圧倒的に上!!追いつかれるのも時間の問題だ!』
走りながら、シュウは思考を回転させていた。
「どうすれば……!」
そして、ジャングルを抜けた先に、大きなアマゾン川が見えた。
「川……そうだ!!」

一方のシュウを追いかけていたカルロスは、少し遅れてジャングルを抜けた。
「この先は行き止まりだよ、シュウ君!」
追い詰めた。と思い、シュウがいると思われる場所へビーダマンを向ける。
が、そこには誰もいなかった。
『のおっと!?ジャングルを抜けたと思われたシュウ君だが、そこには誰もいない!?どこに行ったんだぁ??』

仲良しファイトクラブの面々も困惑している。
「あれぇ、シュウ先輩どこに行ったんでしょう?」
「逃げたか?」
「まさか……!」

一番困惑しているのはカルロスの方だろう。
「あれ……?」
カルロスが首をかしげていると、目の前の川の水が急に爆発した。
ザバァ!!
「っ!」
そこから、シュウが勢いよく飛び上がってきた。
「シュウ君!?」
「フェイタルストームを利用してからの、メテオールバスターだぜ!!」

それを見た彩音が分析する。
「そうか!シュウ君は川の中に入ったんだ!
そして、フェイタルストームなら空気の膜で水の影響を受けないから、それを利用して飛び上がって、そのままメテオールバスターに繋げるのね!!」
「咄嗟にそんな事を思いつくとは……!」
「さっすがです!シュウ先輩!!」
『なんとなんと!シュウ君は川の中に潜っていた!そしてメテオールバスターの構えをとったシュウ君がカルロス君へ照準を合わせる!!』
「いっけぇぇ!!!」
飛び上がったシュウがカルロスへ目掛けてビー玉を放った。
「僕だって負けない!」
カルロスの目の前にオプチカルボードが出現。
その上にビー玉を置き、エースストライカーでそのビー玉を踏みつけたと同時にショットを放った。
「いっけぇ!ハットトリックショット!!」
三発同時発射でメテオールバスターへ反撃する。
『カルロス君も必殺ショット炸裂!三発のビー玉がメテオールバスターへと向かっていき、激突!!』

バキィ!!
力勝負を制したのはシュウのメテオールバスターだった。

そのままカルロスのボムへと命中し、カルロスのHPを0にした。
『決まったぁ!!勝ったのは、ビクトリーブレイグ!シュウ君だ!!!』

ドサッ!
シュウは着地するなり、そのまま仰向けに倒れた。
「ふぃ……なんとか勝てた……」
「シュウ君」
そこへカルロスがやってきて、手を差し伸べる。
シュウはその手を掴んで立ち上がった。
「さすがだね、シュウ君。僕の完敗だ」
カルロスは爽やかな表情で素直に負けを認めた。
「いや、俺も危なかったぜ。やっぱカルロスは強いや」
シュウもカルロスの健闘を称える。
「でも、これで大会が終わったわけじゃない。まだまだ優勝のチャンスはあるんだ!」
「そうだな!これからもお互い頑張ろうぜ!!」
シュウとカルロスは固く握手を交わした。

つづく

次回予告

「ワールドチャンピオンシップ第2試合!俺の対戦相手は、ハリウッドのヒーロー俳優ブッシュ・ワイリーだ!
戦いの舞台はグランドキャニオン!この広大な渓谷でブッシュは特撮ヒーローさながらの空中アクションで縦横無尽に襲い掛かる
けど、俺だってメテオールバスターがあるんだ!ジャンプなら負けねぇ!!

次回!『空中大決戦!アクロバティックバトル!!』

熱き魂で、ビー・ファイトォ!!」

 

 



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