爆砕ショット!ビースピリッツ!!
第79話「神秘のピラミッドパワー」
ビーダピラミッド。
第4の間をクリアしたシュウ達は第5の間にチャレンジしていた。
「うおおおお!!!いっけぇぇぇぇ!!!!」
ズドドドドドドド!!!!
第5の間は、【大岩返し】上り坂から転がってくる大岩をビーダマンで押し上げながら進むと言うパワー競技だった。
当然ながらシュウとタケルの活躍であっさりとクリアできた。
「おーっし、楽勝♪」
「まっ、こんなもんだな」
シュウとタケルが得意げになる。
ポイントはシュウとタケルに多く入る。
「パワー一辺倒ではさすがに敵わないな」
「次で挽回するからね!」
「これで5の間をクリア。あと2つね」
「ああ!こうなりゃあとは勢いで突っ走るだけだ!矢でも鉄砲でも着やがれってんだ!!」
調子づいたシュウが次の間へと駆け出す。
「あ、おい待てよ!」
他のメンバー達もそれを追って走った。
そしてたどり着いた次の間は……。
いくつもの棺桶が並んでいる部屋だった。
「なんか箱がいっぱいあるな」
「棺桶って奴……?」
「本物の死体が入ってたりしてな」
ヒロトがからかうように言った。
「や、やめてよヒロ兄!」
「冗談だ」
ヒロトらがワイワイやっている間にタケルは説明の書いてある掲示板を探した。
「えっと、今回は……?」
タケルは入り口付近に掲示板を見つけ、その文章を読む。
「何々……【死と再生の間】?」
タケルが全ての文章を読み切る前に、ガタッ!と物音が聞こえた。
「っ!」
音がした方を向くと、部屋に置かれた棺桶がガタガタと動き始めた。
「きゃっ、なにこれ……!」
「いきなり動き出した!?」
「これも、仕掛けなのかな……?」
「タケル!この関門での攻略条件はなんだ?!」
「それが、俺も読み切る前にこうなったから、何が何だか……!」
タケルもパニクッてしまい、掲示板を再び読み直す気にはなれない。
そして、棺桶が一斉にバガッ!と開き、中から薄汚れた包帯を巻いた死体……ミイラ男がゆらりと立ち上がり、シュウ達に迫ってきた。
「きゃ、きゃあああああああああああ!!!!」
琴音は鼓膜が割れんばかりの悲鳴を上げて、部屋の隅へ駆け寄って蹲った。
「あ、う……」
彩音も思考停止してその場で固まっている。
「ちっ、うるさい奴だ」
ヒロトは琴音に対して悪態をついた。
「よく分かんねぇけど。こいつら全員倒せば良いんだろ」
シュウは好戦的にブレイグを構えた。
「まぁ、そうだろうな」
ヒロトもヴェルディルを構える。
「ルールまともに読めてないけど、それしかないか」
タケルも掲示板を放棄し、レックスを構えた。
「「「いっけぇぇぇ!!!!」」」
三人は恐れる事なくミイラ男に立ち向かい、あっという間に撃破した。
次の間へと進める扉が厳かに開かれた。
「まっ、こんなもんだな!」
「コウモリと比べて堅かったが、数が少ない分パワー型には楽だった」
「ちっ」
このセクションでもシュウとタケルに多くのポイントが入った。
そして、シュウ達はいよいよ最後の間へと突入する。
そこには……古代の王が座るような玉座があり、それに一人の男が座っていた。
その男は、まるで古代エジプトの王様のような風貌をしていた。
「あの男は?!」
「人形か何かか?」
とタケル達が疑問に思っていると、その男は立ち上がった。
「ふっふっふ。力あるビーダー達よ、良くぞここまでたどり着いたのであーる!
余こそ、ピラミッドキングのアメン・ラー!」
男は、まさに王様のような口調で語り出した。
「しゃべった?!」
「人間、みたいだな……スタッフか?」
こそこそとしゃべるタケル達を無視し、男は話を続ける。
「これまでの関門ではおんしらに、ビーダーとして必要な要素を試させてもらった。
第一の間【スフィンクスの難問】では、知恵。第二の間【崩れ行くブロック橋】ではフットワーク。
第三の間【闇より舞い降りる使者】では連射力。第四の間【風の縫い目】ではコントロール。
第五の間【大岩返し】ではパワー。第六の間【死と再生】では勇気。
をそれぞれ試させてもらい、君たちは見事それをクリアし、余の待つ最後の間【王の玉座】へとたどり着いた」
「御託は良い。で、その最後の間はどうすればクリアなんだ?」
ヒロトが急かすように言った。
「簡単な事よ。ピラミッドキングである余を倒す事であーる。余のシャドウボムは、おんしらと違って一回の攻撃で爆破する」
ピラミッドキングは至極簡単なルール説明をした。
「了解した。さっさと始めるぞ」
ヒロトは早くも戦闘態勢に入った。
「ふっふっふ。血気盛んな奴は嫌いじゃないのであーる!」
バッ!とアメンは玉座から降りて、ビーダマンを取り出した。
ピラミッドのような四角錐のヘッドが特徴的なビーダマンだ。
「余の愛機、ピラミタルファラオに勝てるであーるか?!」
5VS1だと言うのに、随分と自信満々だ。
「けっ、速攻で決めてやるぜ!!」
バッ!とシュウ、タケル、ヒロト、琴音がアメンを囲んだ。
「挟み撃ちだ!」
ズドドドド!!!
逃げ場のない四方からの攻撃。
しかし……。
スッとビー玉がアメンをすり抜けた。
「なに?!」
すり抜けたビー玉は、それぞれのシャドウボムにヒットする。
「これで一ダメージであーる!」
気が付くと、アメンは全く見当違いの場所に立っていた。
「瞬間移動した……?」
「一体、どうやって!?」
「疑問は後だ!狙うぞ!!」
ヒロトに言われて、タケル達はアメンへ向かって構えた。
しかし……。
「どこを狙っておる?」
後ろから、アメンの声が聞こえた。
「え!?」
振り向くと、タケルの真後ろにアメンがいた。
が、アメンは反対側にもいる。
「分身した?!」
「驚いたか?これが神秘のピラミッドパワーであーる!」
「ピラミッドパワー!?」
「聞いた事がある。ピラミッドの正確な四角錐の中には不思議な力が宿るって……まさか、こいつはその力を使いこなせるのか!?」
「バカを言うな!これはアトラクションだ!仕掛けの一部だろう!」
とはいえ、仕掛けでもなんでもいきなり消えられたり分身されては、勝ち目がない。
「俺達は数がいる!同時に撃てばいい!」
「よし!」
シュウ達は、同時に二人のアメンに向かって撃った。
「げっ、気付かれたであーる?!」
が、攻撃を受けた瞬間、二人とも消えた。
「なにっ!」
「ふっふっふ!余のピラミッドパワーはその程度では崩せぬ!」
ズババババババ!!!
何も見えない空間からビー玉が飛び出してきた。
「なっ!今度は姿を消しての攻撃!?」
「瞬間移動に分身に透過……なんて仕掛だ!」
なすすべなく、シュウとタケルとヒロトと琴音のシャドウボムは撃破されてしまった。
「なっはっは!今回の挑戦者もあっけなかったのであーる!これで全員リタイアであーるな!!」
全員倒したと思ったアメンは姿を現して高笑いした。
その時だった。
バーーーーン!
アメンのシャドウボムが攻撃された。
「んなっ!」
それを撃ったのは、彩音だった。
「あ、あはは……」
「し、しまった!もう一人いたであーるか?!油断したであーる……」
アメンはガックシと頭を垂れた。
「な、なんかすみません……」
彩音は少し申し訳なさそうな顔をした。
「や、やったぜあやねぇ!」
「そうか。彩音さんは元々ビーダーじゃないから、対人戦だとビーダーとしての殺気を悟られる事なく奇襲をかけられるのか」
「盲点だったな、まさか彩音に手柄を取られるとは……」
「でも勝ちは勝ちだよ!やったね、お姉ちゃん!」
「う、うん。勝ちは、勝ちだよね!」
琴音にいわれ、彩音も素直に勝利を喜んだ。
「ぐぬぬ……油断していたとはいえ、余の負けである。
何はともあれ攻略、おめでとう!難攻不落のビーダピラミッドを攻略できたのは、おんしらが初じゃ!」
アメンは素直にシュウ達を祝福した。
「おんしらを真のビーダーと称え、この黄金のレジェンドパーツを授けよう」
「レジェンドパーツ?」
渡されたのは、金メッキのアーマーのようなパーツだった。
「つっても、ビーダマンのパーツにも見えないけどなぁ」
見た所、ビーダマンのユニットパーツと言うわけでもない。
専用のビーダマンに取り付ける、部品の部品と言う感じだ。
「おんしらのようなビーダーと戦えて、余は満足じゃ。明日の決勝に拍車がついたというもの」
「決勝!?」
「では、さらばじゃ!良い旅を!!」
それだけいうと、アメンは姿を消した。
「消えちゃった……」
「決勝とか言ってたな。あいつも大会に出るのか?」
「って事は、あのピラミッドパワーで戦うのか!?」
「まさか、あれはあくまで施設の仕掛であってあいつの力じゃないだろ」
「結局、あいつがどんな戦い方をするのかは試合を見るしかなさそうだな」
シュウ達は明日の試合への楽しみが増えた。
「っと、それで、個人得点は誰が一番なんだ?まっ、当然俺だと思うけど」
「あのモニターに表示されるみたい」
彩音が指さした所に電子掲示板があった。
それによると。
一位彩音、二位ヒロト、三位と四位が同着でシュウとタケル 僅かに五位が琴音だった。
「あ、あれ……?」
「んなっ!」
「まさか、彩音さんが一位とは……」
「すごーい、お姉ちゃん!」
「知恵の間とコントロールの間。そして最後の間では実質一人勝ちみたいなものだからな、当然と言えば当然か」
「ま、まぁでも、偶然みたいなものだし。ビーダーとしてのテクニック以外の所も大きいし」
彩音が謙遜する。
「それでも一位は一位だぜ……くっそー、ヒロトにも負けるし……!」
「呼び捨てにするな」
「納得いかねぇ!!よし、もう一回やろうぜ!!」
「えー、またやるのー」
琴音が不満げにいった。
「だったら、俺一人でやる!!」
シュウは出口から階段で降りて、受付へと駆け出した。
「ちょ、シュウ!!」
受付に行き、シュウは再び入ろうとする。
しかし……。
「本日の営業は終了しました。また次の機会にご参加ください」
と、断られてしまった。
「んなー!!なんでだよ!!もう一回やらせてくれーーー!!」
受付前で駄々をこねるシュウを、タケル達が引きずってその場を立ち去った。
「アホ!とっととホテルに戻るぞ!」
「ちくしょー!納得できるかー!!!」
シュウを引きずって、タケル達はホテルへと向かった。
そして翌日。
アフリカ予選決勝が行われる場所は、サハラ砂漠のとある場所にあるオアシスに特設された会場だった。
大きな湖とその周りに聳える森。
その中に設置されたステージの上でビーダマスタージンがマイクを持ってアナウンスしていた。
『オアシスステージへようこそ!今日はここで、アフリカ大陸予選の決勝を行うぞ!!』
ワーーーとそこそこ歓声が上がる。
その観客席の中に仲良しファイトクラブの面々もいた。
「オアシスを利用した会場か。なかなか乙だな」
タケルが周りの景色を見ながら感心する。
「でも、今までの大会と比べてちょっとショボくないか?」
「アフリカ大陸は、他の地方と比べてまだビーダマンが普及してないのよ。3年前から世界大会参加が認められているけど、まだまだ発展途上みたいね。
昨日行ったビーダピラミッドも、エジプトだけじゃなくアフリカ全体のビーダーレベルを向上させる目的で建てられたって経緯もあるらしいよ」
「ふ~ん……大変なんだなぁ」
ステージに四人の少年が現れる。
『アフリカ大陸予選を勝ち抜いたのは、この四名!
Aブロック!マサイ族出身のマサーイ・マーサイ選手!部族の誇りを賭けて戦いに挑むぞ!!』
民族衣装を着た少年が飛び跳ねながら観客にアピールする。
「オーイェー!ヨロシクオネガイシマス!」
『対するのはケニア代表のトマス・アカレ君!Bブロックはモロッコ代表のホマゾン・ラバト君!対するのは、あのピラミッドキング!エジプト代表のアメン・ラー君だ!』
アメンがステージにいる事に、シュウ達は納得した。
「あいつ、やっぱり大会に出てたのか!」
「面白い。本当の強さを見させてもらおうじゃないか」
『それでは、早速Aブロックの試合をはじめるぞ!』
マサーイとトマスがバトルフィールドへ脚を踏み入れた。
『ルールはシャドウヒットバトル!1撃でもヒットしたら負けになるぞ!そんじゃ、準備は良いな?レディー、ビー・ファイトォ!!』
「イクデス!シアナイト!!」
「マフラーイエロー!!」
二人が使っているビーダマンは、市販型のビーダマンだった。
「国の代表選手が量産型使うのか……」
「まだまだ技術が発展してないみたいだな」
「それでも、ここまで勝ち抜いてきたのは事実よ。ビーダマンの性能だけじゃ強さは測れない」
「そうだな。どれだけのバトルをするか、楽しみだ」
しかし、期待に反して二人のバトルはあまりにもショボイ。
まるで初心者のようなバトルだった。
「なんだぁ、あのバトルは……!」
「パワーは無いし、命中もろくにしない。おまけにリロードしようとしてビー玉落とすとは、素人以下だぞ」
「ほんとにこれ、大陸予選の決勝戦なの?」
琴音がウンザリした顔をする。
「これでよく勝ち上がってこられたな」
ヒロトが侮蔑するような視線を選手二人に送った。
「そ、それだけ周りのレベルも低かったって事なのね……」
さすがに彩音もフォローできない。
『さぁ、バトルは激しいにらみ合い!なかなか攻撃がヒットしないぞ!』
たった一発で終わるのに、命中しないものだからなかなか勝負が決まらない。
「イクデース♪」
マサーイマーサイはリズムよく飛び跳ねながらビー玉を撃っている。
が、そのせいで命中精度がよくないようだ。
客席の仲良しファイトクラブ達。
「はぁーあ。せっかくの決勝戦なのに、時間の無駄よね~」
琴音が言う。
「……」
その横で、シュウは何故か口元を緩ませながら彼らの戦いを見ていた。
「シュウ、なに笑ってんのよ?」
琴音は、気持ち悪い。とでも言いたげな表情でシュウに尋ねた。
「え、いやぁ。すっげぇつまんねぇバトルだけどさ。なんか、あいつの戦い見てたらちょっと楽しくなってきてさ」
「えぇ……?」
理解できず、ちょっと引いた。
「あいつ弱いけど、楽しそうだなって。へへっ、俺も戦いたいぜ」
「そう……?」
琴音は改めて彼らのバトルを見てみたが、とてもそんな気にはなれない。
「なんとなくシュウの言いたい事は分かる。多分あのマサーイマーサイって選手。心からビーダマンが好きなんだろうな。
ビー玉を撃つ事、込める事。全部がたまらなく楽しいって事が伝わってくる。だろ、シュウ?」
タケルがシュウの気持ちを代弁した。
「ああ!勝ち負けよりも、とにかくビー玉を撃ちたいって気持ち!俺もよく分かるぜ……!あいつと戦ってみてぇ!」
シュウは楽しげに返事した。
「理解不能だな」
ヒロトは鼻で笑った。
『さぁ、バトル開始から既に7分経過しているが、こう着状態は続いている!実力はほぼ互角!どのような結末になってもおかしくはないぞ!!』
と、ビーダマスタージンが言い切る前に……。
マーサイの流れ弾が近くの岩に跳ね返って、たまたまそこにあった相手のシャドウボムにコツンッと当たった。
威力に関係なく一発でも当たればヒットなので、シャドウボムは爆破する。
『あ、決まった!跳弾がヒットして、マサーイマーサイ君が勝負を制したぞ!!』
「イエーーイ!サンキューーーー!!」
マサーイマーサイは、満面の笑みで部族の勝利の舞を踊り始めた。
『ははは……それでは、お次はBブロックの試合を始めようか』
バトルフィールドにアメンとホマゾンが入ってきた。
「いよいよピラミッドキングのバトルか……!」
「ここではあのまやかしは使えない。さぁ、どう戦うんだ……?」
ヒロトは楽しげに不敵に笑った。
『さぁ、始めるぞ!レディー、ビー・ファイトォ!!』
「いくぜぇ、シアナイト!!!」
ホマゾンがシアナイトで怒涛の攻撃を仕掛ける。
「遅いのであーる!」
アメンはその攻撃をあっさりと迎撃して撃ち落とす。
「そのような量産機では、余のピラミタルファラオの足元にも及ばないのであーる!」
「くっ!」
『アメン君強い!強すぎる!!さすがはアフリカ大陸最強との呼び声も高い男!!』
それを見ている仲良しファイトクラブ。
「圧倒的だな。話にならん」
「ビーダマンの性能。ビーダーとしての実力、ともアメン君が上。勝負はもう着いたも同然ね」
「だが、これでは奴は本当の力を発揮しないだろう。ちっ、ここまで来て無駄足か」
ヒロトは舌打ちした。
アメンの力は本物だが、相手が弱すぎてはその力を見る事は出来ない。
ピラミッド内の仕掛けを抜きにした本当の力を……。
一方、戦っているアメンはチラッと観客席の方を見て、そこに仲良しファイトクラブのメンバーがいる事に気付いた。
(あの時のビーダー……これは面白い。このまま勝っても良いが、せっかくだ。余の本当の力を見せ付けてやるのであーる!)
「くそっ、くそっ!あたらねぇ!!」
必死でシアナイトを撃つホマゾンだが、アメンは別の事を考えながらでも軽く躱していた。
「さて、おんしはラッキーであーる!」
アメンはホマゾンを指さして言った。
「え?」
「本当は余の力の一端も見せずに終わらせるつもりであったが、特別ゲストに免じて、余の本来の力をその目に焼き付かせてやるのであーる!」
「な、なにを言って!」
「覚醒せよ!ピラミタルファラオ!!!」
アメンが叫ぶと、ピラミッド型のヘッドが開き、そこからツタンカーメンのような顔が現れた。
そして、その衝撃なのか知らないが、周りに熱風が巻き起こる。
『のおっと!ピラミタルファラオのヘッドが開いた!!中から現れたのは、かのツタンカーメンを模した顔!!これに一体どんな意味があるんだ!?
それにしても、この熱気は一体なんなんだぁ!?』
仲良しファイトクラブ達も驚いている。
「なんだよ、あれ!変形した……!」
「あのヘッド、可動式だったの!?」
「一体、どんな仕掛があるんだ、あのヘッドは!」
アメンは得意気に両手を上げた。
「さぁ、どこからでも撃ってくるのであーる!」
「けっ、なめやがって!ただのコケオドシじゃねぇか!!」
ホマゾンは無防備なアメンへショットを放った。
しかし、そのショットはアメンをすり抜ける。
「なに!?」
『なんだぁ?!ビー玉がすり抜けたような……』
「本当の余はここであーるよ」
気が付くと、ホマゾンの後ろにアメンが立っていた。
「こいつっ、いつのまに……!」
素早く振り向くと、アメンは一瞬で消えて、今度は右の少し離れた場所にたっていた。
「な、なんなんだこれ……!」
『アメン君が、消えたり現れたりしている……!まるで幽霊のように!これは、ツタンカーメンの呪いとでもいうのか!?』
それを見ている仲良しファイトクラブ。
「あ、あの動きはビーダピラミッドでの!?」
「バカな!あれは施設の仕掛じゃなかったのか!?」
「アメンの力か、それともビーダマンのギミックなのか。いや、そもそもそんな事が可能なのか……?彩音さん!」
タケルは彩音に分析を頼んだ。
「ダメ!この熱気のせいで、まともな分析が出来ない!」
「くそっ!」
動揺する仲良しファイトクラブの様子を、アメンは密かに見てほくそ笑んでいた。
(見ているであーるな。余の素晴らしき神秘を)
「くそがぁぁぁ!!!」
必死に撃つホマゾンだが、無情にも攻撃が通じない。
「無駄であーる!ピラミッドパワーの前では全てが無力!」
「ふざけるなぁぁぁ!!」
「吼えるだけでは神秘には勝てないであーる!そろそろ決めるであーる!!」
フッ。とアメンが姿を消した。
「なにっ!?」
そして、次に現れた時はホマゾンの周りを何人ものアメンが取り囲んでいた。
「がっ……!」
ズババババババ!!!!
四方八方から攻撃され、なすすべなくホマゾンのボムは破壊された。
『決まったぁ!!なんとも不可思議なバトルだったが、勝者はアメン・ラー君だ!
しかし一体、今の技はなんだったんだ?!』
バトルが終わり、フィールドの外へ歩みを進めるアメン・ラー。
しかし、不意にピタリと足を止めて、仲良しファイトクラブのいる客席へ視線を向けた。
「見ているであーるな!力あるビーダー達よ!」
シュウ達は、その言葉が自分たちに向けられている事に気付いた。
「な、なんだぁ!?」
アメンは視線を逸らさずになおも言葉を続ける。
「ビーダピラミッドでは不覚を取ったが、あれは本当のバトルではない!余の神秘のベール、剥がせるものなら剥がしてみるが良いであーる!」
それは、仲良しファイトクラブへ向けた宣戦布告だった。
「おう!上等だぜ!お前は俺がブッ倒す!本戦まで勝ち上がってなぁ!!」
シュウは立ち上がって、その宣戦布告を受けたのだった。
つづく
次回予告
「さぁ、次の大陸予選はいよいよヨーロッパだ!
いよいよヒンメルの試合が見られるのか!くぅ~、楽しみだぜ!!
だが、決勝のAブロックは波乱のバトルだった!あのベルセルクが大暴れしやがったんだ!!
次回!『狂人ベルセルク!無秩序のヨーロッパ予選!!』
熱き魂で、ビー・ファイトォ!!」