爆砕ショット!ビースピリッツ!!
第69話「乱戦!万里の長城」
ビーダマンワールドカップアジア予選。
その予選ヒートが行われる万里の長城に仲良しファイトクラブはやってきた。
「な、なげぇ……!」
シュウはその広大な建造物に度肝を抜かれた。
「万里の長城。世界最長の建造物と言われていて、その長さは宇宙からも肉眼で確認できるほどなの」
「へぇぇぇ!!」
彩音の解説にシュウは感動した。
「って。でっかいのは良いんけど、ここで一体どんなバトルをするんだ?まさか、日本選抜戦予選ヒートみたいに、ここ全体を使ってのサバイバルバトルとか」
シュウが言う。
「長いけど、狭いからな。さすがに一斉にシャドウヒットバトルは無理だろ……」
選手たちが控えている広場では、各国から集まったビーダー達でごった返していた。
それぞれが各々の国の言葉で会話してるので、シュウ達には理解できない。
「アジア各国から三人ずつ選出されてるってなると、相当な人数だなぁ」
「アジアだけじゃなくて、オセアニア大陸からの代表3人もこのアジア予選枠に出場するみたいだからね」
彩音がパンフレットを見ながら言う。
「オセアニア大陸代表?国の代表じゃないのか?」
「オセアニアに関しては各国が小さいから、大陸規模で代表を決めているみたい。サッカーのワールドカップでオーストラリア代表がアジア枠に出場したようなものね」
それでもアジア各国+オセアニア×3ともなればかなりの数である。
「ここから、また日本選抜戦の時みたいに16人に絞られて、ABのブロックに分かれて、ブロック優勝者が世界選手権本戦に勝ち上がるんだよな」
そして、いつものように特設ステージにビーダマスタージンが現れる。
『さぁ、皆!いよいよビーダマンワールドチャンピオンシップアジア予選が始まるぞぉ!!
司会進行はお馴染み、ビーダマスタージンが務めるぜ!よろしくなぁ!!』
ワーーーーーーー!!!と歓声。
『今回、アジア予選まで勝ち抜いた国の代表たちは、総勢100人を超える!当然、ここから一気にトーナメントを組むのは大変なので、ふるい落としが行われるぞ!
アジア予選トーナメントに進めるのは計16人!
そこから二つのブロックに分かれてトーナメントを行い、勝ち抜いた2名のビーダーがワールドチャンピオンシップ本戦へ進む事が出来るんだ!
そんじゃ、予選ヒートのルールを説明するぞ!』
モニターに万里の長城の全体図が映された。
『競技名は、登竜門レース!
それぞれにシャドウボムと同じくらいの大きさのパックを持ってもらい、それをビーダマンで弾きながらゴールを目指し、上位16名が予選通過だ!
さすがに、万里の長城全体を走るのは距離がありすぎるので、コースは虎山長城のみだが、それでも20㎞の険しい道のりだ!
世界を相手に戦う最初のバトル!まさしく登竜門に相応しい戦いを見せてくれよ!』
「っひゃ~、20㎞かぁ……」
シュウは思わずため息をついた。
「ハーフマラソンに近い距離。加えてビーダマンでパックを撃ち進めながらの走行。体力的にも精神的にも楽な戦いにはならないな」
「世界を相手にするんだ!そのくらい、承知の上だぜ!!」
シュウは拳を握りしめて気合いを入れた。
「がんばってください、シュウ先輩!」
「おう!!」
相変わらずリカはシュウにしか声援を飛ばさない。
「あ、そうだ。シュウ君、タケル君」
彩音は2本のペットボトルと、ベルトのようなものを二人に渡した。
「これは?」
「凍らせたスポーツドリンク。ベルトにぶら下げられるようにしておいたから、いつでも水分補給できるよ」
「サンキュー!さっすがあやねぇ!!」
「ほとんどマラソンみたいな競技だからな、これはありがたい!」
これで準備は万端だ。
二人は早速スタート位置へ向かった。
スタート位置では、約120人ものビーダー達でごった返していた。
「こ、この中から抜け出さないといけないのか……!」
「先頭が全く見えない。一体何着からのスタートになるんだ」
「へっ、前にいる奴ら全員抜けばいいだけだぜ!」
『それでは、そろそろ始めるぞ!皆、準備は良いかな!?
レディ、ビー・ファイトォ!!』
ドギュドギュドギュ!!!
合図とともに皆が一斉にパックを撃ちだし始めた。
『さぁ、各ビーダー一斉にスタート!この人数ではさすがに団子状態だ!!押し競饅頭の鬩ぎ合いだが、果たしてここから抜け出せるビーダーは現れるのか!?』
ドギューーーーン!!
暫くして、早くも集団から抜け出したパックがあった。
『おおっと!早くもトップに飛び出したビーダーがいるぞ!彼は……シュウ君だ!新型のビクトリーブレイグは凄まじいパワーでパックを飛ばしている!!』
「へっへーん!この競技はブレイグ有利だぜ!!」
集団を抜け出して、シュウは意気揚々だ。
「甘いぞ、シュウ!」
『だがしかし!シュウ君を追ってすぐ後ろに付けるビーダーがいた!タケル君だ!!』
「なにぃ!?」
「パワーがお前だけの専売特許だと思ったら大間違いだ」
多少差はあるものの、タケルも十分射程圏内の位置でシュウを追いかけている。
「いくらタイラントレックスでも、ビクトリーブレイグに付いてくるなんて……!」
「言ったはずだ。タイラントレックスにはまだ奥の手があるとな!」
タケルに言われ、シュウはタイラントレックスを良く見てみた。
「あっ、そのシフトパーツ……!」
タイラントレックスには見た事のないシフトパーツが付けられていた。
「パワーグリップモード!シフトグリップに更にパワー矯正性能を追加した究極のモードだ!これでビクトリーブレイグにも勝るとも劣らないパワーを得た!!」
「ま、マジかよ……!」
ドギュッ!ドギュッ!!
シュウとタケルは、段違いのパワーショットで後続をどんどん引き離していく。
「だが、さすがにこのパーツは機体の負荷が大きい。こんな長丁場のバトルじゃいつまでも装着していられない」
タケルはレックスをノーマルモードに戻した。
「なんからしくないな。いつもだったら、そういうのは最後まで温存しそうなのに」
「これが普通のレースだったらな。後ろ見てみろよ」
タケルが親指で後ろを指す。
独走しているタケル達とは反対に、後方はごった返してかなり進みづらいようだ。
「うわぁ……」
「こういう大人数のレースはロケットスタート決めてとっとと集団抜け出すに限るからな」
「確かに……。俺もちょっとペース落とそう」
シュウはノーマルショットに切り替えてスピードを落とした。
先は長い。体力は温存しなければならない。
『トップを行く二人はスピードを落とし、ほぼ並走状態だ!ゴールまでの長い道のり、ペースを守って体力を温存しようと言う作戦だろう。
一方の後続は大渋滞!人ごみに揉まれて、なかなかスピードが出せない!!この集団から抜け出さない限り、トップとの差はどんどん広がっていくぞ!!』
と、実況している傍から飛び出していくビーダーが数人現れた。
『おおっと!ここで、10人ほどビーダーが飛び出した!!トップ目指してグングン加速していくぞ!3位に付けているのは、中国代表の劉洸君だ!』
「あいつ、やるなぁ。前に戦った時はパワー型じゃないと思ってたけど」
「連射でも十分対応できる競技とはいえ、多く玉を撃たなければならない分、パワー型よりもペースを上げるのは難しいはずだ。それであのスピードを出せるとは……!」
劉備の子孫は伊達ではないという事か。
「だが、最終的に16位に残っていればいい。無理にトップを目指す必要はない」
「冗談じゃないぜ!狙うはトップだ!」
ドギュンッ!!
シュウはパワーショットで少しだけタケルの前に出た。
「トップになるメリットは特にないんだがな。ペース乱してバテるなよ」
タケルはペースを守りつつ、ちょくちょく水分補給をして体力を調整している。
『さぁ、トップは既に10㎞地点に到着!ゴールまであと半分だが、順位の変動は特に無いぞ!このままの順位で決まってしまうのか!?はたまた、大波乱があるのか!?』
「はぁ、はぁ……さすがにちょっとキツクなってきたけど、このペースのままでいけばなんとかいけそうだな」
「油断するな、シュウ。後続の動きが激しい」
「え?」
バゴーーーーン!!!!
後ろの方から派手な音が聞こえてきた。
『のおっと!後続グループに異変が発生!!なんとっ、他の人のパックを弾き飛ばしながら進んでいくビーダーがいるぞ!!』
「体力の温存は十分だ。遊びは終わりだ!コンフターティスドライグ!!」
タクマが、自分のパックを巧みに弾きながら、他の人のパックを押しのけている。
「うわぁ!?」
「何すんだよ!?」
攻撃を受けた人のパックは大きく遅れてしまっている。
『これは、かなりのラフプレイだ!大原タクマ君、自分のパックを相手にぶつけ、走路妨害に近い行為をしてるぞ!』
「甘いな。これはただのかけっこではない。バトルだ!敵同士が並んでいて、蹴落とされないと思ったか?」
バキィ!!
タクマのパックに弾かれた人のパックは、何故か後方へと飛ばされていく。
『ラフプレイではあるが、タクマ君のテクニックは見事だ!同じ質量であるはずなのに、他の人のパックを上手く後方へ弾き飛ばしている!
しかも、そのスピードはグングンと上がって、トップに迫る勢いだぞ!!』
バッ!
ついに、タクマは集団を抜け出して、セカンドグループに迫ってきた。
「っ!」
『ここで、タクマ君が、14位を走るタイ代表のコチャン君に迫る!!』
「ザコが!道を開けろ!!」
「ひぃ!!」
猛スピードで迫るタクマに恐れをなしたコチャンはあっさりとタクマに道を明け渡した。
『タクマ君!セカンドグループのビーダーを次々とパス!そして、3位の劉洸君にも迫るぞ!!』
タクマが劉洸のすぐ後ろに着く。
「随分なラフプレイだね」
劉洸が言う。
「これがバトルと言うものだ」
「なるほど。君とは関わり合いにならない方がよさそうだ」
言って、劉洸はすんなりと道を譲るようにパックの軌道を変えた。
「腰抜けか」
タクマはそう言って、譲られた道を通って劉洸と並んだ。
「蛮勇振りかざして自滅するよりはマシだからね。私は16位以内に入れればそれでいい」
「ふん」
タクマは劉洸を気にする事無くブチ抜き、引き離して行った。
「だけど、彼はどうかな?」
遠ざかっていくタクマの背中を眺めながら、劉洸は呟いた。
『タクマ君の追い上げは物凄い!3位の劉洸君をパスし、トップを走るシュウ君とタケル君にグングン迫る!!』
「なんだよあいつのあのペース!?」
「まだゴールまで8㎞はあるってのにあのスピード……ペース配分を考えてないのか!?」
最大パワーではブレイグやレックスの方が上だろうが、ペースを抑えているシュウ達に比べ、恐らく全開で走ってくるタクマはすぐに追いついてくるだろう。
「くそっ、ペース上げて引き離すか!?」
「いや、ここでペースを乱したら元も子もない!トップは譲っても構わん。とにかく妨害されないようにするんだ!」
そうこうしてるうちに、タクマがシュウ達に追いついてきた。
『ここで、タクマ君がトップグループに追いついた!順位が入れ替わるか!?』
「随分と生温い走りだ」
「なにっ!?」
「所詮智蔵派はこれが限界だな」
「てめぇ……!」
タクマに挑発され、シュウの頭に血が上る。
「落ち着けシュウ!挑発に乗るな!」
タクマがどんどんシュウ達に迫ってくる。
「くっ!」
タケルは軌道を変えてペースを落とした。
「情けない。我に恐れをなしてトップへの道をあきらめるとは」
「何とでも言え。これも戦略のうちだ」
タケルはそう簡単に挑発には乗らない。
「ふん。新型機が聞いてあきれる。宝の持ち腐れとはこの事だな」
タクマはタケルを乗せる事は諦めて、挑発の矛先をシュウに変えた。
「なんだとぉ……!」
シュウはあっさりと挑発に乗ってしまう。
「戦いを知らぬ智蔵派よ。貴様も早く我に道を譲れ」
「冗談じゃねぇ!お前なんかに負けてたまるかっ!」
バシュッ!!
シュウは、少しペースを上げて、タクマのパックを妨害するような軌道で撃った。
「絶対に抜かせねぇ!」
「ふっ、戦いはこうでなくてはな」
「うおおおお!!!」
ドンッ!ドンッ!ドンッ!!
シュウは必死で撃ってタクマを抜かせまいとしている。
「バカ、シュウ!トップになれなくても予選は通過できるんだ!ここは引けっ!!」
「ビクトリーブレイグをバカにされて、黙ってられっか!!」
シュウはなおもタクマの前に出ている。
「それでいい」
ドンッ!!
タクマは、自分のパックの端にパワーショット連射を何度も何度もぶつけた。
そして、そのままシュウのパックへ迫ってくる。
「来るなら来い!ブロックしてやるぜ!!」
「甘いわっ!!」
バキィ!!!
タクマのパックがぶつかった瞬間、シュウのパックは大きく後ろに飛ばされてしまった。
「な、なにぃ!?」
「そうか、回転か!あいつ、自分のパックを回転させながらぶつける事で、シュウのパックを後ろへ飛ばしやがった!」
「そ、そんな事が出来るのかよ!?」
シュウのパックはどんどん後ろに下がっていく。
「うわわ、待ってくれぇ!!」
シュウはパックを追いかけて行った。
『なんとぉ!!タクマ君の攻撃でシュウ君のパックは一気に後ろに下げられてしまった!!』
そのせいで、3位の劉洸にあっさりと抜かれてしまう。
「これで一人脱落か」
抜きざま、劉洸はボソッと呟いた。
「や、やっと止まった……!」
そして、ようやパックが止まった頃には、セカンドグループ全員に抜かれてしまい、さらに後続の集団が迫ってきていた。
「う、うわぁぁ!!」
集団に呑まれるシュウ。
「く、くっそぉ……!」
一方のトップグループ。
「これで、奴は終わりだな」
「くそっ……!」
「愚かな奴だが。我に立ち向かった勇気だけは賞賛に値する。よもや、智蔵派にあのようなビーダーがいたとは」
タクマはシュウを褒めていた。
逃げて勝利を得るものよりも、立ち向かって敗北するものを評価するタイプのようだ。
「あまりシュウを舐めるなよ」
「なに?」
「勇気だけだと……?冗談じゃない。あいつは土壇場で力を発揮するタイプだ。立ち向かうだけじゃない、キッチリ勝利も得るんだよ!」
「くだらん。だとしても、この勝負は我の勝ちだ」
言って、タクマは更にペースを上げてタケルを引き離して行った。
「今は、な」
タクマの背中を見ながら、タケルは言った。
「くっそー、また集団抜けるところからやり直しだぁ!!」
ドギューーーーン!!!
シュウはパワーショットで一気に集団を抜け出した。
「うおおおお!!!こうなったらもうペースとか関係ねぇ!全力で行くぜ!!!」
ドギュッ!ドギュッ!ドギュッ!!
フルパワーで追い上げるシュウだが、ゴールまでの距離はどんどん迫っていく。
『ここで、トップのタクマ君がゴール!!ブッちぎりだ!!』
「ふっ」
タクマに続いて、タケルもゴールが迫っていた。
『少し遅れて2位にタケル君!そして……3位は劉洸君だ!セカンドグループもどんどんゴールへ向かっているぞ!』
セカンドグループが次々とゴールしていく。
『ここで、15位にオーストラリア代表のアコラ君がゴール!予選通過できるのはあと一人だ!!』
そして、最後の16位を争っているのは……!
『さぁ、見えてきたぞ!16位は現在シンガポール代表のルーポガ君!そしてそのすぐ後をシュウ君が追尾しているぞ!スゴイ追い上げ!』
「うおおおおおおお!!!!」
ドギュッ!ドギュッ!!!
シュウがパワーショットでどんどん追い上げる。
「げぇ、なんだよあのスピード!?でも、抜かせるわけにはいかない!」
ルーポガはシュウのスピードにビビりながらも抜かせまいと頑張る。
「シュウッ!」
既にゴールしているタケルが、心配そうな面持ちでシュウの走りを見ている。
「うおおおおおお!!!」
ドギュッ!!ドギュッ!!!
『残り1㎞!シュウ君、既に体力は尽きているはずなのに、全くペースが落ちない!!まさしく鬼神のごとき気合いだ!!』
「うおおおおお!!!!!」
ドギュ!ドギュッ!!!
プシュウウウウ……!
ブレイグのコアから白い煙が立ってきた。
「な、なんだ?どうしたブレイグ!?」
「完全にオーバーペースだ!このまま無茶なパワーショットを続ければ、ホールドパーツが溶けるぞ!?」
タケルが叫んだ。
「へへっ、そのまま自滅しちまえ!」
ブレイグの様子に気付いたルーポガは自分の勝利を確信する。
「くっそぉ、こんな所で終わるかよぉ!!」
シュウはベルトに付けてあるスポーツドリンクを取り出し、ブレイグにブッかけた。
「えぇ!?」
その行動に会場の人達が騒然とした。
『なんとぉ!シュウ君、ドリンクをビーダマンにぶっかけた!?血迷ったのか!?』
「これで冷えたぜ!!うおおおおおおお!!!!」
冷やされたブレイグからは煙が消えた。
そして、シュウはここぞとばかりにパワーショットを撃ちまくる。
『ブレイグ復活!キンキンに冷えたドリンクによって、オーバーヒートを回避!そして再び怒涛の追い上げ!残り、100m!!』
「な、なんてむちゃくちゃな奴だ……!」
「負けてたまるかあああああ!!!!」
『残り50m!ついに、シュウ君がルーポガ君と並んだぁ!!』
「ラストスパートだ!!」
「う、うわああああ!!!」
二つのパックがどんどんゴールへ迫っていく。
『ゴーーーーール!!16位に入ったのは、僅かの差でシュウ君だ!!』
「おっしゃあああ!!!」
ゴールに入った瞬間、シュウはガッツポーズを取った。
「やったな、シュウ!」
シュウの元へタケル達三人がやってきた。
「凄いです、シュウ先輩!!」
「いい機転だったよ、シュウ君!」
「ああ、サンキュ。危なかったぜ……!」
皆からの祝杯を受けたシュウは、視界の端にタクマを見つけた。
「あ、やいタクマ!!」
シュウはタクマを呼びつけた。
「ん?」
タクマは腕組みしたまま振り向いた。
「なんとか這い上がってきたぜ!さっきはよくもやりやがったなぁ!本戦では覚悟しろよ!!」
「あぁ。勇気だけではなかった事は認めてやる」
「へっ?」
何のこと?と首を傾げるシュウをほっといて、タクマは去って行った。
「なんだ、あいつ……。まぁいいや。あやねぇ、ブレイグのメンテお願い」
ブレイグはもういろんな意味でボロボロだ。
「え、あ、うん……」
彩音はちょっと遠慮がちにブレイグを受け取った。
「うあ、ベトベト……」
「たはは、ごめん。あの時はああするしかなかったからさ」
「もう、しょうがないなシュウ君は……」
「ったくお前は毎度毎度無茶しては彩音さんを頼って。少しは恩返ししたらどうだ?」
とタケルが呆れながら言った。
「え、恩返しって……?」
「あ、それ良いかも」
彩音がいたずらっぽく笑った。
「ちょ、あやねぇ!?何が良いんだよ!!」
「ふふふ、考えておこう」
「いや、その笑顔が怖いんだけど!」
「あ、彩音先輩ばっかりずるーい!あたしもあたしも!!」
リカまで主張しだした。
「お前は関係ねぇだろぉ!!」
つづく
次回予告
「ついに始まったアジア予選!一回戦の開催地はオーストラリアのエアーズロック!俺の対戦相手は……なぜか、オーストラリア開催に物凄く文句言ってる奴だった!
しかもそいつ、ビーダマンの起源は自分の国だって言い張ってて……。
んなわきゃねぇだろ!!ビーダマンの本場は日本だっての!!
次回!『ビーダマン発祥の地は韓国?』
熱き魂で、ビー・ファイトォ!!」