オリジナルビーダマン物語 第61話

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爆砕ショット!ビースピリッツ!!


第61話「じゃんじゃんじゃじゃーん!」




 日本選抜戦第一試合で琴音はヒロトに敗れてしまった。
「ごめん、皆。せっかく応援してくれたのに」
 試合を終えて、メンバーがいる観客側に戻った琴音は頭を下げた。
「ううん。琴音ちゃんはよく頑張ったよ」
「そうだぜ!良いバトルだった!」
「最後の撃ち合い、あれは間違いなくヒロトさんの本気だった。琴音のバトルがヒロトさんを本気にしたんだ」
 皆が口々に琴音の健闘を称えた
「皆……ありがとう」
 皆の気持ちを受け取った琴音は顔を上げた。
(ヒロ兄……あたしは、まだまだ弱いけど。でも、この皆と一緒にもっともっと強くなるよ。だから、きっとまたバトルしようね、ヒロ兄……)
 
『さぁ、試合はどんどん続けていくぞ!Aブロック第二試合の対戦カードは大原タクマ君VS前田誠君だ!』
 
 ドギュッ!ドギュッ!!
 誠がタクマに向かって必死にビー玉を撃っている。
「くっ!」
 しかし、タクマは何事もないかのように最少の動きでそのショットを全て撃ち落としている。
  
『力の差は歴然か?!誠君も素晴らしいショットだが、タクマ君には全く通じていない!!』
 
「くそっ!こんなに力の差があるなんて……!」
 歯を食いしばって、なんとか一矢報いようとさまざまなショットを試す誠だが、全く通じない。
「なかなかの手練れのようだが、その程度だ。そろそろ終わらせてやろう」
 ジャキィ……!
 ドライグの銃口を誠のシャドウボムへ向けた。
「っ!」
「はぁぁぁぁ!!!」
 強力なパワーショット連射が誠のシャドウボムに次々とヒットしていく。
『タクマ君のショットが連続ヒット!物凄い勢いで誠君のHPが削られていくぅ!!』
「うぅ……!」
 勢いが強すぎて、誠は防御する隙も回避する隙も与えられなかった。
 
 バーーーン!!
 なすすべなく、誠のシャドウボムは爆破してしまった。
 
『決まったぁ!!タクマ君の圧倒的な勝利だ!!』
 
「そ、そんな……何も出来ないなんて……!」
 誠は膝をついた。
 そんな誠を見て、タクマは一言言った。
「ルールはルールだ。ビーダマンは見逃してやろう。オフィシャルに感謝するんだな」
 それだけ言い捨てると、タクマは去って行った。
 
 そんな試合の様子を見ていたシュウ達。
「嘘、だろ……あの誠があんなにあっさり負けちまうなんて」
 シュウは誠とJBC関東予選個人部門の準決勝で接戦した事がある。
 誠の強さはよく分かっている。
「ビーダマンの性能差はあるだろうが、それでも関東でトップクラスのビーダーを相手に無傷とは……」
「コンフターティスドライグ……パワー、連射、コントロール。総合力では今大会一の性能ね」
 コンフターティスドライグ初の公式試合という事で彩音はしっかりデータ分析していた。
 
 次の試合は達也とカブ太のバトルだ。
『さぁ、どんどん進めていくぞ!カブ太君VS下田達也君のバトル!』
 
「インセクトビートル!!」
「うわぁ、負けるか!!」
 インセクトビートルの精密ショットが下田達也のボムを撃破する。
『決まったぁ!カブ太君の精密ショットが下田達也君を撃破!!』
 
 次は、クワ吉とゴクブチだ。
 
「インセクトスタッグ!!」
「負けないでゴクーーー!!!」
 ズドドドド!!
 二つのショットが拮抗する。
 
『ほぼ互角の戦い!だが、わずかにゴクブチ君が押しているか?!』
「決めるでゴク!!」
 
 バーーーン!!
 ゴクブチがインセクトスタッグを駆るクワ吉を下した。
『決まったぁ!勝ったのは、接戦の末にゴクブチ君だ!』
 
 次は、Bブロック。高松VS康成だ。
「いけっ!!」
 バーーーン!!
 康成のショットが高松のボムを撃破した。
 
『決まったぁ!康成君の華麗なショットが高松君を撃破!!』
 
 あっという間に試合は進み。ついにシュウの試合時間となった。
 
『さぁ、バトルを進めていくぞ!!次の試合は、Bブロックの第二試合!シュウ君VSジャン・ジャン君だ!!
JBC第二位の優勝候補がここにきて登場だぞ!!』
 
 バトルフィールドにシュウとジャンが現れる。
「ジャン!まさかお前と公式戦で対戦する事になるなんてな!」
 シュウがジャンを指さして叫ぶと、ジャンはエアギターをしながら返事をした。
「じゃんじゃんじゃじゃーん!ブレーキに磨きをかけてきたオレッチに勝てるかな?」
 と、ジャンは見た事のないビーダマンを取り出した。
「そ、それは……!」
「この日のために作ってきた、新型オランギルじゃん!」
「新型機……上等だぜ!やってやる!!」
 
『両者とも、準備は出来たな?行くぜ、レディ、ビー・ファイトォ!!』
 
「うおおおお!ブレイグ!!!」
 シュウはあまり動かずにすぐにブレイグを撃った。
 パワー重視のブレイグは射程距離が長いから近づく必要が無いのだ。
「うわわ、じゃん!!」
 ジャンは間一髪でそれを躱した。
「な、なかなかやるじゃん!でも、オレっちも負けないじゃん!!」
 ギシギシギシ……!
 ジャンがオランギルのコアをシメつける。
「ブレーキか?パワーか?」
 オランギルはスローショットとスピードショットを使い分ける。
 しかもどちらもモーションが同じなので撃つまで分からないと言う厄介なものだ。
「どっちでもないじゃん!!」
 ズババババ!!!
 ブレーキショットでもパワーショットでもない。
 パワー連射だ!
「なにっ!」
 咄嗟に反応できなかったシュウは躱すのが遅れ、何発か喰らってしまう。
「くそっ!」
 喰らいざまノーマルショットを撃って反撃。ジャンのボムにも一発命中。
「じゃん!!」
 
『まずは軽いジャブが両者に命中!バトルはまだまだ始まったばかり、ここからどう動くのか!?』
 
「ブレーキ・オランギルが、パワー連射だと……!」
「もう、ブレーキは効かないじゃん!」
「なにぃ!?」
「新型オランギルは、ノンストップ=オランギル!ブレーキに磨きをかけ過ぎて、ブレーキが利かなくなったのじゃん!!」
「は……?」
 
 その言葉を聞いていた彩音たち。
「それってもしかして、物理的にブレーキを磨いたって事……?」
「と言うか、削ったんじゃねぇか?」
「ブレーキ削ったらブレーキ効かなくなるに決まってんじゃない……」
 ジャンのバカさ加減に一同げんなりした。
 
 しかし、まだまだ試合は続く。
「ブレーキが利かなくなったおかげで、オランギルはパワーショットに加えて連射も出来るようになったのジャン!!」
 ズババババ!!!
 再びパワー連射を放つ。
「くっ!でも、前よりも性能が上がってるって言ってもこれなら普通のビーダマンと同じ!ブレーキリフレクションが使えないオランギルなんて目じゃねぇぜ!!」
 ドンッ!!!
 シュウはブレイグのパワーショットを放ち、オランギルのショットを全て弾き飛ばし、シャドウボムにヒットさせた。
 
「んなっ、じゃん!!」
『オランギルのパワー連射は見事だが、シュウ君のブレイグはそれを勝っていた!パワー連射を弾きつつボムに見事攻撃が命中だ!!』
 
「へっへーん!ブレーキのないオランギルなんて、餡子の入ってないアンパンみたいなもんだぜ!」
 それはただのコッペパンだ。
「ふふふっふふっふっふふ」
 相変わらずリズム感の無い笑い声だ。
「誰がブレーキリフレクションが使えないと言ったじゃん?」
「なにぃ?!」
「こうすれば簡単じゃん!!」
 ジャンはオランギルにメタル弾を装填した。
「メタルショット発射じゃん!!」
 ドンッ!!
『おおっと!ここでジャン君はストライクショットを使用だ!しかし、せっかくのメタル弾なのに狙いがズレてるぞ!!これは勿体ない!!』
「なんだ、こんなショット……」
「甘いじゃん!!」
 ジャンはスピードの遅いメタル弾目掛けてショットを放った。
 そのショットはメタル弾にぶつかり、軌道を変えてシュウのボムに命中した。
「メタル・リフレクションじゃん!!」
「くっ!」
『なんとぉ!!ジャン君は、ストライクショットをフェイントとして使用した!!これにはたまらずシュウ君も回避不能!!』
「だ、だけど、ストライクショットには使用回数がある!もう使えないぜ!!」
「だから、甘いっていってるんじゃん!!」
 ドンッ!!
 再びショットを放つ。そのショットは普通のビー玉にも関わらず、遅い!
「なにぃ!!」
「ブレーキリフレクション!!」
 ブレーキリフレクション発動。軌道を変えて再びシュウのシャドウボムにヒットする。
「ば、バカな……!ブレーキショットは使えないんじゃなかったのか?」
「実は、ブレーキが使えないと言うのはうそだったんじゃーーん!」
「えぇぇ!!」
 これは、酷い
「本当の新型オランギルの名前は、ストップ=オランギル!総合力を上げつつ、ちゃんとブレーキ性能も上げてきてるんじゃん!」
「マジかよ……!」
「これで、オレっちの勝ちは決まったようなもんじゃん!!!」
 
 得意げになるジャン。
 確かに、ジャンの奇襲は成功した。シュウはあんな単純な嘘に引っかかってしまった。間抜けである。
 しかし……。
「だけどなぁ……これは、アルティメットシャドウヒットバトルなんだよ!」
「じゃん?」
「俺のHPを良く見てみろ!!」
 シュウはモニターに映っている自分の数値を指さした。
 まだシュウのHPは67も残っている。
「じゃんっ!?」
「これが決められた回数ぶつけたら負けるバトルだったら俺の負けだった。けど、ブレーキリフレクションは威力が無いんだよ!!」
「じゃ、じゃじゃじゃっじゃ!!!」
「奇襲されたって、ダメージが少ないんじゃ痛くもかゆくもねぇ!!いっくぜぇ!!!」
 ドンッ!!!!
 シュウはパワーショットを放った。
 ジャンのボムに命中。残りHPは34だ。
「まだまだぁ!!!!」
 再び放つ。あっさり命中。残りは18だ。
「うおおおおお!!!」
「ま、待つじゃん!分かれば話すじゃん!!」
 話せば分かるだろう。
「あっ!ほ、本当はブレーキ使えるってのは嘘じゃん!新型オランギルは、ノンストップオランギルが正解じゃん!!」
 今更嘘を訂正した所で何の意味もない。
「もうおせぇよ!!!」
 ガクガクガク!!
 ブレイグの光の刃が振動する。
「いっけぇ!フェイタルストーム!!!!」
 
 バーーーーーーン!!!
 フェイタルストームによって、ジャンのボムは爆破した。
『決まったぁ!!勝ったのは、シュウ君だ!!!見事なパワーショットだったぞ!!』
「うぅ、ルールに負けたじゃん……!」
「おっしゃぁ!」
 ジャンは膝を付き、シュウはガッツポーズを取った。
 これで、一回戦突破だ!
 
 
 
     つづく
 
 次回予告

「次の対戦カードは、ヒロトVSタクマだ!
源氏派を裏切ったヒロトに対し、タクマは残虐とも言えるバトルを仕掛けてきた!
しかし、ここで明かされるヒロトの本当の目的。まさか、全部計画通りだってのか?!
 次回!『源氏派の制裁 ヒロトの目的』
熱き魂で、ビー・ファイトォ!!」

 



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