オリジナルビーダマン物語 第50話

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爆砕ショット!ビースピリッツ!!


第50話「やめられない戦い!!」





 富士の湖サーキット。特設会場。
『さぁ、決勝戦は第1ラウンドから激しい戦いとなった!
第2ラウンドは10分後に始まるぞ!今しばらく待っていてくれ!!』
 ビーダマスタージンが、ステージの上でアナウンスした。
 
 控え室。
 当然だが、シュウとタケルは別々の部屋が用意されていた。
 部屋で黙々とレックスのメンテナンスをしている。
「……」
 カチャカチャとパーツのこすれ合う音だけが部屋に響いてる。
「さすがはバスターブレイグ。5分戦っただけでこの消耗だ。このペースで第4ラウンドまで持つかどうか……」
 何年も前に製作し、ずっとほったらかしにしていた機体だ。
 いきなりの大舞台に悲鳴を上げてもおかしくはない。
「だが、だからと言って加減するつもりはない!耐えてくれよ、タイラントレックス」
 タイラントレックスは、タケルの語りかけに答えるようにピカッとヘッドを光らせた。
 
 一方のシュウの控え室。
「ぐ、うぅぅ……!」
 シュウは、濡れタオルを右手の甲に当てながら唸っていた。
 右手の甲は、僅かだが赤みがかっている。
「くそ、こんな時に……なんで……!」
 骨にヒビは入ってないだろうが、パワーショットを撃つ度に痛みに襲われる。
「やっぱ、あれのせいかなぁ?」
 シュウは、琴音との試合を思い出した。
 琴音のサンダーグルムを弾いたとき、一緒にグルムのショットも弾いていた。
 ビーダマンのショットを直接身体で受けたのだ、打撲もするだろう。
 しかもまともな治療もしないままビーダマンを撃ち続けたのだ、その負担は計り知れない。
「だけど、こんな所でやめるわけにはいかねぇ……!タケル、待ってろよ……絶対に俺が勝ってやるからな……!」
 シュウは手を抑えながらフラフラと外への扉を開けた。
 外では、ビーダマスタージンの声が響いていた。
『さぁ、インターバル終了!!いよいよ第2ラウンドに突入だ!!
タケル君とシュウ君には、夏のステージに入ってもらうぞ!!』
 
 タケルとシュウは、別々の入り口から夏ステージへ入った。
 そこには、浜辺とヒマワリ畑と林が広がっていた。
 そして、屋根が無い。
 日光は直接のリアルなものだ。
「これまた凝ったステージだな……」
 林の方からはセミの鳴き声が聞こえる。
「うおおお!セミ!セミだー!!」
「虫取りしてぇ!!!」
「オラの虫網さばきがうねるべー!!」
 と、客席で騒いでいるのはチームインセクターズだ。
「このステージで戦いたかった……」
「あいつらに負けたからしょうがない……」
「しっかり見届けるぞ!」
 ちなみに、彼らの言葉は全て『グンマー語』でしゃべっていると思ってください。
 分かりやすいように日本語で訳して表記しています。
「あいつら、外国人かな?」
 グンマー人のインセクターズの話し言葉を傍から聞いていたモブキャラが首を傾げた。
 そして、夏のステージの方は……。
『夏のステージはご覧の通り!照りつける太陽に、輝く砂浜!そして、元気なヒマワリ畑に、姦しいセミのいる林で構成されているぞ!!』
「確かに、夏って感じだな」
「砂浜のステージは今更って感じがするけど」
 海辺を使ったステージは今まで何回かあったからな。
 
『それではバトル開始だ!レディ、ビー・ファイトォ!!』
 ダッ!
 まずタケルは林の方へと駆け出した。
「砂浜は視界が良すぎるし、ヒマワリ畑は動きづら過ぎる!ここはある程度動けて相手の攻撃も防げる林に行く方が良い!」
『タケル君は早速フィールド特性を掴んで、もっとも戦いやすい場所へと駆け出した!さすがだ!!』
 
「え、なに、タケルの奴どこ行ったんだ!?」
 適当にヒマワリ畑なんかに足を踏み入れたシュウは、ジンの実況に戸惑った。
 ドギュンッ!ドギュンッ!!
 その隙に、林の方から何発かビー玉が飛んできた。
「うわっ!タケルかっ!!」
 咄嗟によけようとするが、周りのヒマワリのせいで動けない。
「動きづらい……!」
 バーーーーーン!!!
 すべてヒットした。
『いきなり連続ヒット!!タケル君容赦無しだ!!これでシュウ君のダメージは57!!』
「くっそぉ!!」
 シュウは急いでヒマワリ畑から抜け出して林の中に入った。
 林の中では既にタケルが仁王立ちしていた。
「なんだよ!いきなりズルいぞ!!」
「俺はバトルフィールドを活かして戦っているだけだ。活かそうとしないお前が悪い」
「うっ……!」
 正論だ。
(タケルって、敵に回すと厄介だよなぁ……)
 シュウは改めてタケルの恐ろしさを感じた。
「でも、ここなら五分五分だぜ!!」
 ドギュッ!ドギュッ!!
「はぁぁぁ!!!」
 ドギュッ!ドギュッ!!
 シュウとタケルは、木々に隠れながら撃ち合いを始めた。
 時には迎撃し、時にはボムにヒットし、時には躱し……そんな展開を繰り広げている!!
 
『おおっと!激しい撃ち合い!!徐々にだが、互いにボムのダメージがどんどん蓄積されていくぞ!
現在、シュウ君は89。タケル君は92!差はほとんどない!抜きつ抜かれつの大接戦だ!!』
 ドンッ!ドンッ!!
 撃ち合いは収まる事を知らない。
『まだこの撃ち合いは続くぞ!シュウ君は112!タケル君は107!だが、アナウンスしている間にも数値はどんどん動いていく!!』
「はぁ、はぁ……!」
 シュウが、ズキズキする右手の痛みに耐えながら、息を乱した。
「どうした?もうバテたか」
「冗談じゃねぇ!やっと体があったまった所だぜ!」
「夏のステージで熱くなりすぎると、倒れるぞ!」
「倒れてたまるかっ!」
 
 観客席の彩音と琴音。
「凄い撃ち合いね、お姉ちゃん」
「うん。さすがね。だけど、シュウ君……」
 彩音はシュウの様子に違和感を覚えていた。
「どうしたの?」
「ううん、多分気のせいだと思う」
 が、彩音は首を振って自分の違和感を振り払った。
 コザッコザッコチームもタケルとシュウのバトルを見ていた。
「ひぃぃ、なんて激しい撃ち合い……!」
「あんな奴らと戦った事があるんだよなぁ、俺達……」
「あの時は、降参しといてよかったぁ」
 相変わらずのヘタレである。
 ズドドドド!!
 シュウとタケルの撃ち合いはまだ続いている。
「なんか、せっかく凝ったステージなのに結局林しか使ってないって勿体ないな」
 シュウがぼやいた。
『ふふふ、大丈夫!ちゃんと他の部分も活かすような構成にしてあるから!!』
 
「へっ?」
 と、シュウが疑問を抱いたその時、空がいきなり曇り出した。
「なんだぁ?!」
 
 暗くなり、風が吹き、ポツポツと雨が降る。
『夏と言えば……台風だ!!』
「なっ!」
 ビュオオオオオオオオオ!!!!
 フィールド内に巨大な竜巻が出現した。
「こ、ここまでやるか、ジャパンビーダマンカップ……!」
 タケルは吹き飛ばされないように木に捕まって必死に耐えている。
「フェイタルストームにはおあつらえだけど、ダメだ!俺が飛ばされる~!!!」
 シュウもフェイタルストームは諦めて岩に捕まって風に耐える事にした。
『これだけではないぞ。なぜこのステージに海辺があるのか……!』
「ま、まさか……!」
『大雨に強風。となれば、これが来ないわけがない!!!』
 ゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!
 フィールド全体に地響きが。
 見ると、巨大な津波が、海辺の方から迫ってきているのが分かった。
『これぞまさに、真夏のビッグウェーブ!!!』
「「言うてる場合かーーーーー!!!!!」」
 ドゴオオオオオオオオン!!!!
 大津波は、フィールド全体を呑みこんだ。
 タケルもシュウも海の中だ。
 
「ぷはっ」
「くぅ」
 仰向けになり、ぷかぷか浮かんでいる。
『おおっと、さきほどまで激しく撃ち合いしていた二人だが、どうした事か?急に撃つのをやめてしまったぞ!?』
「「こんな所でバトルができるかーーーー!!!!」」
 二人は同時に叫んだ。
『っと、そうこうしているうちに時間が来てしまった!第2ラウンドはこれで終了だ!
現在のダメージは、シュウ君が137ポイント!タケル君が135ポイント!ほとんど差が無い!決着は最後まで縺れそうだぞ!!』
 
「ふぅ、あの大津波が実質的な第2ラウンド終了の合図だったな」
 タケルは服を絞りながら言った。
「ああ」
 シュウはタケルの言葉に上の空で答えた。
「さて、とっとと控え室行って服乾かすか」
 タケルはさっさと控え室へ向かった。
「……」
 シュウも大人しくタケルの後を付いて行った。
 
 そして、インターバルが終わり……。
『さぁ、いよいよ第3ラウンドに突入だ!タケル君とシュウ君は次のステージへ入ってくれ!!』
 秋のステージに入る。
「おぉ……!」
 秋のステージは、燃えるような紅葉が広がる山が舞台だった。
『そう、秋と言えば紅葉!そして落ち葉だ!少しさみしいが、わびさびを感じて行ってくれ!!』
 
「なんか、焼き芋食いたくなるなぁ」
「全部作り物だけどな」
『そんじゃ、そろそろ始めるぞ!レディ、ビー・ファイトォ!!』
 ダッ!ズルンッ!!
 合図とともに駆け出したシュウだが、滑って転んでしまった。
「おわぁ!!」
『おおっと!スタート早々シュウ君が転んでしまった!大丈夫か!?』
 ドーーーーン!!
 その隙に近づいたタケルがシュウのボムを攻撃した。
「落ち葉は滑りやすいからな、気を付けろよ」
「くっそぉ、掃除くらいしろぉ!!」
 シュウは慌てて立ち上がってタケルから距離を離した。
「見通しは良いんだけど、こう滑りやすいとなぁ……。そうだ!」
 
 ビュウウウウ!!!
 風が吹き、落ち葉が舞い上がった。
『なんだぁ!?落ち葉が舞い上がって、地面がきれいになったぞぉ!掃除のおばちゃんでもいるのか?!』
「フェイタルストーム!!!」
 正体はフェイタルストームだった。
 空気の膜が、落ち葉をキレイにしているのだ。
「これで動きやすいぜ!」
 きれいになった地面で駆け出したシュウは素早くタケルに近づいて攻撃した。
「くっ!!」
『今度はシュウ君のターンだ!タケル君に攻撃がヒット!!
この場所は視界も良好!再び激しい撃ち合いが始まるのか?!』
「いくぞ、タケル!」
「おう!!」
 ズドドドドドド!!!
 再び撃ち合う二人。
 障害物が無い分、さっきよりもダメージの変動が速い。
『再び始まった撃ち合い!まさにこれは、白青の龍と赤き恐竜の激しい激突だぁぁ!!』
「いくぜブレイグ……うっ!!!」
 ズキンッ!
 突如手の痛みが増したシュウは、ブレイグを落としてしまった。
「シュウ!?」
 それを見たタケルは慌てて撃つのをやめるのだが、既に撃った玉がシュウのボムにヒットした。
「うううう……!」
『な、なんだ!?急にシュウ君がブレイグを落としてしまった!手が滑ったのか……?』
 ジンは状況が理解できないでいる。
 その時、ステージのしたから、佐津正義率いるオフィシャル警備がジンに呼びかけた。
「ビーダマスター!今すぐバトルを中断して!!」
『え?あぁ、ハイ!今オフィシャル警備から、バトル中断の指示が入った!時間もストップするぞ!再開するまで今しばらく待ってくれ!!』
 会場がざわめきだす。
 彩音と琴音も戸惑っている。
「ちょっとちょっと、どうしちゃったの、シュウ?」
「シュウ君、やっぱり手が……」
 彩音は痛々しげにシュウを見た。
 
 バトルステージでは。
「ぐぅぅ……!」
 シュウは右手を抑えて蹲っている。
「どうしたんだ、シュウ!しっかりしろ!!」
 タケルはシュウに駆け寄って呼びかけているが、シュウは答えない。
 その時正義がステージに入ってきた。
「お、お前は……」
「オフィシャル警備だ。僕らの権限でバトルは中断させてもらった。時間も気にしなくていい」
 正義は早口気味にタケルに言った。
「あ、あぁ……」
 タケルは戸惑いながらも頷いた。
 そして正義はしゃがんで、蹲っているシュウに話しかけた。
「シュウ君、手を見せて!」
 そう言って、そっとシュウの右手を掴んで自分の方へ引き寄せた。
「やっぱり……!」
 シュウの右手の甲は真っ赤に腫れ上がっていた。
「おまっ、どうしたんだこの右手!!」
「ちょっ、とな……無茶しすぎた」
 シュウは苦しそうに答えた。
「無茶どころじゃないだろ、これは!なんで言わなかったんだ!!」
「言ったって、バトルが終わるわけじゃないだろ?」
 シュウは虚ろな目で言った。それを見て、タケルはハッとした。
 シュウは、バトルを終わらせたくないから言わなかったんじゃない。
 タケルに手加減してほしくないから言わなかったんじゃない。
 言った所で、バトルは終わらないし。
 タケルは手加減なんかしない。
 シュウは本気でそう信じているから、『言うだけ意味がない』のだ。
「とにかく、テーピングをしよう。応急処置だが、多少は痛みは和らぐはずだ」
 正義は慣れた手つきで、シュウの手に包帯を巻いた。
「準備良いなぁ」
「第1ラウンドから、シュウ君の様子がおかしかったのに気付いてたからね。何かあった時、いつでもバトルを中断して手当が出来るように根回ししておいたんだ」
「へへ、さすが、正義の味方だな。まさよしは」
「もちろん、正義の味方のする事は、悪を倒す事じゃない」
「『大切な人を守る事』だもんな」
 シュウはニカッと笑うと、正義も同じように笑った。
 
「よし、僕が出来るのはここまでだ!良いバトルを期待しているよ」
 そう言って、正義はステージを出て行った。
 
 会場にジンのアナウンスが流れる。
『さぁ、情報が入ったぞ!シュウ君はなんと、度重なる試合で右手を怪我していたようだ!ブレイグを落としてしまったのは、その怪我が悪化したためらしいが。
今、応急処置が完了したようで、なんとか戦えるようだ!バトルを再開するぞぉ!!』
 
 再び時間が動き出した。
「さぁ行くぜ、シュウ!手加減なしだ!」
「されちゃ困るっての!!」
 シュウとタケルは激しく撃ち合った。
『激しいバトル!!シュウ君は、怪我しているとは思えないほどのパワーショットを放っているぞぉ!!』
「くっ!」
 だが、応急処置をしてもらったとはいえ、まだ手は痛む。
 そのせいで、一瞬ショットを撃ち損ねてしまった。
「ぐあ!」
 撃ち損ねたせいでビー玉が機体の中で暴れ、衝撃が右手に伝わる。
 明らかに痛みのせいでシュウの態勢が崩れた。
 にも関わらず、タケルは容赦なく攻撃をブチ込んだ。
 
『シュウ君、やはり本調子ではないのか!?そこを突いて、タケル君の容赦ない攻撃が降り注ぐ!!
シュウ君のダメージは182!一方のタケル君は142!!かなり差が開いてしまった!!』
 
「後悔するなよ、シュウ!」
「するかよ!!」
 タケルの容赦ない攻撃を受けても、シュウはタケルが本気で撃ち合ってくれる事を素直に喜んだ。
 だが、会場にいる皆が皆、そんな風に思っているわけでは無かった。
「なんだよ、あのタケルって奴、ちょっと酷くねぇ?」
「シュウは怪我を圧して戦ってんのになぁ」
「ちったぁ手加減してやればいいのに」
「シュウって奴は立派だけど、タケルって奴は卑怯だぜ!」
 ブーブー!タケルに対して凄いブーイングが湧き上がった。
「卑怯ものー!!」
「それでもビーダーかー!!」
「正々堂々戦えー!!」
 容赦ない非難がタケルに降りかかる。
 
 それを聞いて彩音と琴音もいたたまれない気分になった。
「ちょっと、二人の事知りもしない癖に、勝手な事ばっかり言って……!」
「シュウ君、タケル君……」
 彩音は祈るように二人のバトルを見守る。
 
 ブーイングを受けている当の本人たちは。
「なんか、周りうるせぇなぁ……」
 シュウはぼやいた。
「外を気にしている余裕があるのか?」
 タケルは誹謗中傷など全く気にしておらず、攻撃を続けている。
「分かってるっての!!」
 シュウも完全にバトルに集中しており、外のブーイングなど『ちょっとうるさい』程度にしか感じていなかった。
 
 が、ブーイングはどんどんひどくなっている。
『あー、皆様!落ち着いてください!物は投げないで!!』
 さすがにバトルステージの中に物が入る事は無いが、ステージが映っているモニターに向かって空き缶やらの物を投げつける輩も出てきた。、
 それも、タケルが画面に映った瞬間は酷い。
 
 それを見かねたのか、客席の中の一人の男が立ち上がった。
「てめぇら黙ってろおおおおおおぉぉぉぉ!!!!」
 男はあらん限りの力で咆哮した。
 その声は、ステージにいるタケルとシュウにも聞こえた。
「あいつは……?」
 見ると、そいつはよく知っている奴だった。
「ハヤミ……?」
 かつてシュウと戦った事のある、早川ハヤミだった。
「あいつ、何叫んでるんだ?」
 タケルもその存在に気付いたが、何を叫んでいるのかまでは分からなかった。
 ハヤミの咆哮によって、先ほどまでブーイングしていた奴らがピタリと静かになった。
 ハヤミは静かになった観客に向かってなおも続ける。
「あいつらはなぁ!てめぇらなんかとは比べ物にならないキツイ状態で戦ってんだ!!
それを称えるならまだしも、文句があるなら出ていけ!!!」
 そんなハヤミの言葉に、観客達ほ文句の矛先が向いた。
「うるせぇ!お前なんかに言われる筋合いはねぇんだよ!」
「俺たちゃ、金払ってここにいるんだ!もっと良いバトルを見る権利があんだよ!!」
 それに対して、更にハヤミは声を張った。
「黙れっ!!あいつらはなぁ!俺や、お前らを楽しませるために戦ってんじゃねぇ!!
本気で、戦うために戦ってんだよ!!!
相手が怪我してようが関係ねぇ!!バトルを続けて、怪我が酷くなろうが関係ねぇ!!
そのせいで勝とうが負けようが、バトルの魂を燃やす事と比べたら屁でもないんだよ!!
今この瞬間のバトルとそのバトルの先にあるものを常に見てるんだ!!
それが分からねぇ奴らは黙ってろ!!!」
 そこまで叫ぶと、今度こそ観客たちは静まった。
 それは、ハヤミの説教に感動したからじゃない。
「なにあいつ、キモッ」
「自分だって戦ってるわけじゃない癖に」
「何熱くなってんだか」
「自分に酔ってんだろ?」
「中二病って奴だろ」
「今年の夏、暑かったからな……」
 観客たちはハヤミにドン引きして、これ以上関わりたくないから黙っただけだった。
 
 しかし、その魂の叫びはシュウとタケルの心には通じていた。
「あいつ、良い事言うじゃん」
「俺達のバトルは俺達だけのものだ。シュウ、まだまだ行くぞ!」
「おお!このバトルは、やめられないぜ!!!」

           つづく
 
 次回予告

「激しさを増すバトルの中で、タイラントレックスは紅蓮の閃光となり、バスターブレイグは青き風となった!
 次回!『激闘!紅き閃光VS蒼き爆風!!』
熱き魂で、ビー・ファイトォ!!」

 

 



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