オリジナルビーダマン物語 第30話

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爆砕ショット!ビースピリッツ!!


第30話「智蔵と源氏 ビーダマンの生みの親」




 ヨーロッパ旅行を終えて、日本に帰ってきた仲良しファイトクラブ。
 帰ってきて早々、源氏派ビーダーを名乗るビーダマンを壊したり奪ったりするビーダーが出現、戦う事になった。
 なんとか追っ払う事に成功したものの、これからビーダマン界に何かが起ころうとしている、そんな予感……。
 そんな時、シュウの祖父であり彩音の師匠、智蔵がヨーロッパ旅行の土産をせびりにやってきた。
 智蔵は、シュウ達が遭遇した源氏派ビーダーに身に覚えがあるようだった……。
「じいちゃん、源氏派って、どういう事だ?」
「……」
 智蔵は、しばらく考え込んだのち、ゆっくりと口を開いた。
「源氏と言うのは、かつて、ワシと一緒に研究開発に取り組んだ、仲間なんじゃ」
「って事は、あいつらが言ってた源氏っていうのはビーダマンの開発者?」
「そうじゃな。いや、そもそもビーダマンと言うホビー自体、ワシと源氏が共に開発したものなんじゃ」
「「「ええええ!?」」」
 その発言は、初耳だった。
「つ、つまり、じいちゃんってビーダマンの生みの親って事!?」
「そうじゃ」
「ど、どうしてそんな大事な事を今まで黙ってたんですか!?」
「聞かれなかったからのぅ。自分から言う事でもなし」
「……」
 智蔵は、ビーダマンの生みの親である事を公言する気は毛頭なかったようだ。
「じゃが、こうなった以上は全て話そう。それが、大人としての責任じゃな」
 智蔵は、少し悲しげに言った。
「何十年前じゃったかのぅ。ワシと源氏は、より面白いホビースポーツを作ろうと、二人で協力して研究開発しとった。
そして、その末に誕生したのが、昔ながらのビー玉遊びに、射撃性と格闘性を融合したホビーマシン、ビーダマンじゃ」
 智蔵は、昔を思い出すように語り出す。
「ビーダマンを作り上げたワシらは、早速、人を集め競技組合を立ち上げた。スポーツとして確立させるためにな。
順調じゃった。ビーダマンは多くの人に受け入れられ、認められていった。
じゃが、最後の……道徳的なマナーを浸透させる所で、ワシと源氏の意見は別れてしまった」
「道徳的な、マナー?」
「そうじゃ。ワシは、ビーダマンはスポーツであると同時に、誰もが楽しめる娯楽と言う認識じゃった。
勝っても負けても、誰もが笑顔で、仲良く出来る。そして、人と人との輪をビーダマンで繋げ合い、広める事が出来る。そんなホビーを目指したかったんじゃ」
「……」
 それは、仲良しファイトクラブも同じ理想を掲げていて。
 そして、多くのビーダーにとっての、常識的な考え方、だと思う。
「じゃが、源氏は違った。奴にとってビーダマンは、戦いそのものと言う認識じゃったんじゃ」
「戦い、そのもの……?」
「そうじゃ。喧嘩、決闘、合戦、戦争……それと同等の意味をビーダマンにも持たせたかったのじゃ」
「俺達のビーダマンだって、戦いだけど……」
「それは、対戦や競技と言う意味においての戦いじゃろう?」
「う、うん……」
 シュウ達の思う戦いと、源氏の掲げた戦いは、何かが違うのだろう。
「たとえば、そうじゃな。喧嘩は、楽しいか?」
「ううん……?」
「戦争で負けた相手は、何も失わずに済むと思うか?」
「……よく分からないけど、多分、いっぱい人が死ぬと思う」
「そうじゃろう?それと同じ事を、ビーダマンバトルでやろうとしたんじゃ」
「……つまり、負けたらビーダマンを失うって事?」
「そうじゃ。勝った者は相手のビーダマンを好きにしていい。負けた者はビーダマンを失っても文句は言えない。それを当たり前のルールとして浸透させようとした」
 それは、シュウ達にとってあまりにも残酷なルールだった。
「そんな!」
「酷い……!」
「そんなバトルに、何の意味があるんだよ!!」
「逆じゃな。源氏にとっては、勝っても相手から何も得られず、負けても何も失わない。そんなバトルの方が意味を見いだせなかったようじゃ。
勝利によって何かを得られるからこそ、誰もが勝利を目指し。敗北によってすべてを失うからこそ、バトルにスリルが生まれる。そう考えたんじゃ」
「……」
 そういう考え方も、出来なくはない。
 でも、やっぱり嫌だ。受け入れられない。
「だけど、負けたからって、ブレイグを失うなんて、厭だ……!勝ったからって、誰かの大事な相棒を奪うなんて出来ない……!」
「ワシも同じ考えじゃ。……結局多くのビーダーに受け入れられたのは、ワシの主張した道徳じゃった。協会もこれを受け入れ、常識的なマナーとして取り入れた。
それと同時に、源氏はビーダマン界を追放となった……」
「……」
「じゃが、源氏の考えを支持するビーダー達は少なからず存在した。
源氏率いる、源氏派のビーダーは表のビーダマン世界からは姿を消し、裏社会に身を潜め、虎視眈々と期を伺っているんじゃ。
いつか、表のビーダー界を則るため、力を付けながらな……」
「……」
「その源氏も、数年前に衰弱死した。精神的ショックと過労が祟ったんじゃろうな。
対立していたとはいえ、元々は研究仲間じゃったからな。責任を感じたワシは、協会を脱退。
表舞台からは退き、細々とビーダマンの開発をしながら、若きメカニックの育成なぞに精を出した」
 彩音が智蔵と知り合ったのは、源氏が死に、智蔵がビーダマン協会を辞めた後だったようだ。
「しかし、源氏が死んだ後も残党がまだ残っていたようじゃな。そしてその残党は力を付け、表のビーダーを襲うほどにまでなった……」
「それが、今って事か」
「そうじゃな。それが、お前さんらが遭遇したビーダーじゃろう」
「あいつが、そんな経緯のある組織のビーダーだったなんて……」
「道理で、雰囲気が今までのビーダーと一味違うわけだ」
 タケルが感じた独特の掟とは、こう言う事だったのだろう。
「ワシの予感じゃが。これから、源氏派は大きく動き出し、戦いを挑んでくるじゃろう。ワシの考えに同意するビーダーを粛清し、源氏派の考えを世に浸透させるためにな」
 智蔵の言葉にシュウ達は息をのんだ。
 あんなビーダーが、これからどんどん現れて、そんな奴らと戦わなきゃならなくなるなんて……。
「なんか、凄い事になってきたね……」
 琴音がつぶやいた。
 話が大きすぎて、実感が沸かないようだ。
「う、うん……」
 彩音も、困惑している。
「すまんのぅ。これは、ビーダマンを生み出した時点でキチンと話し合いをして、源氏と和解しなかったワシの責任じゃ」
「じいちゃんのせいじゃないよ」
 シュウが言う。
「悪いのは、ビーダマンを壊したり、奪ったりするやつらなんだ。絶対にそんな事はさせない!俺が、そんな奴ら全員追っ払って阻止してやるんだ!」
「修司……」
「俺達は絶対に源氏派ビーダーには負けねぇ!なっ、タケル、ことねぇ!!」
「……そうだな。相手がだれであれ、俺は負けるつもりはない」
 タケルが言う。
「そうね……こうなった以上、負けるわけにはいかないわね」
「おっしゃ、そうこなくっちゃ!安心して良いぜ、じいちゃん!俺達は絶対に負けねぇ!!」
「……そうか」
 智蔵はシュウの宣言に、何故か考え込んだ。
 そして、翌日。
 朝起きてすぐにクラブに行ったシュウは、早速タケルと琴音に提案する。
「タケル!パトロールしようぜ!!」
「パトロール?」
「何言い出すのよ、いきなり」
「だから!3人で手分けして、源氏派の奴が悪い事してないかパトロールするんだよ!」
「お前、練習は……」
「練習してる場合じゃねぇって!今こうしてる間にも、罪のないビーダーが襲われてるかもしれないんだぞ!」
「……まぁね」
「……昨日、あんな話聞いた後じゃな、練習にも身が入らないか。分かった。手分けして町をパトロールしよう」
 タケルもシュウの意見に同意してくれた。
 と、言うわけで手分けして町をパトロールする事になった。
「源氏派ビーダー、源氏派ビーダーっと……」
 シュウはビーダーが集まりそうなところをいろいろと回っている。
 公園、玩具屋、広場、商店街……などなど
 しかし、そう都合良く遭遇できるものでもない。
「う~ん、思ったより平和だなぁ。もしかして、じいちゃんに騙されたか、俺……?」
 いつも変な事ばっかり言ってる智蔵だ。昨日の話も嘘の可能性がある。
「あ~、くそっ!また一杯食わされたぜ!ちくしょう!!」
 悔しがっていると、シュウの耳に悲鳴が聞こえた。
「っ!」
 それは、近くの原っぱの方だった。
 シュウは慌ててそこへ向かった。
 原っぱで、目つきの悪い少年が子供達からビーダマンを奪っている。
「うわぁん、返してよぉ!!」
 泣きながら少年に向かっていく子供だが、背が低いので簡単に突き飛ばされる。
「なんだよ、お前バトルに負けたんだぜ!負けた奴が文句言ってんじゃねぇよ!」
「でも、でもぉ!ビーダマン盗る事ないじゃないかぁ!!」
「へっ、戦利品なしに何がバトルだ!甘い事言ってんじゃねぇぞ!!」
「そこまでだ!!」
 シュウがその場に現れた。
「あん?」
「お前、源氏派ビーダーだな!!」
 駆け寄り、目つきの悪い少年を指さして啖呵を切る。
「あぁ、よく知ってんな?そうか、お前が報告にあった、俺達の邪魔をした多少腕の立つビーダーか」
 シュウと源氏派がバトルした事は、既に知れ渡っているらしい。
「何でもいい!その子のビーダマンを返せ!!俺達はお前らのルールなんか呑む気はない!」
「けっ、智蔵派はどいつもこいつも甘っちょろい事ばかり言いやがる」
 と、少年はビーダマンを構えた。
 それは、昨日の源氏派が持っていたビーダマンと同じものだ。
 おそらく、源氏派に支給されている量産型ビーダマンなのだろう。
「仮にもビーダーなら、こいつで語りな」
「ああ!やってやるぜ!!」
 言って、シュウは素早くシャドウボムを取り出し、少年に向かってセットした。
「おぉ、こいつが、強制的にお前らのルールに則らされるって言う機械か」
「ああ!互いのボムを打ち合い、先に相手のボムを破壊した方が勝ちだ!」
「でも、俺は俺のルールでやらせてもらうぜ。俺が狙うのは、ボムじゃない。お前のビーダマンだ」
 言ったと同時に、少年はショットを放った。
「うわっ!」
 シュウは咄嗟にそれをよける。
「開始合図もなしかよ!」
「それはお前らのルールだろう?俺は俺のルールでやるって言っただろうが!」
「そうだったな……!」
 気を取り直して、シュウもショットを放つ。
 ドンッ!
「ぐっ!なんだこのショットは?!」
 少年はそのショットを撃ちおとそうとするのだが、シュウのパワーの方が圧倒的に上だった。
 バーーーーーン!!!
 源氏派少年のHPは残り62だ。
「よしっ!結構ダメージ入った!」
「ちぃ!!」
 ズドドドド!!
 少年は連射が得意なようだ。
 連射ショットがシュウに襲いかかる。
 ガガガガガ!!!
 何発かブレイグにヒットしてしまった。
「くっ!」
「そのままぶっ壊してやるよ!」
「そうはさせるか!!」
 ドギュンッ!!
 パワーショットで襲いくる連射を全て弾き飛ばした。
「ぬっ、相変わらずすげぇパワーだ……!」
「決めろぉぉ!!!」
 ドギュッ!!
 再びパワーショットを放つ。
 バーーーーン!!
 ボムにヒット。
 残りHPは12だ。
「よし、あと一発!!」
「くそっ!舐めるなぁ!!」
 少年が怒りの超連射!
 それに対抗するようにシュウもショットを放つ!
 バババババ!!
 二つのショットはせめぎ合い、押し合う。
 しかし、シュウのパワーショットの方が総合的に上手だった。
 バキィ!!
 少年の連射を掻い潜り、シュウのショットがボムにヒットした。
 バーーーーーーン!!
 少年のボムが爆破した。
「くそぉ!智蔵派なんかに……!」
 そして、ボムから粘着性の液体が飛び出して少年のビーダマンのコアを塞ぎ、固まる。
「ちぃ、撃てねぇ!」
「その硬化剤は確か30分経たないと消えない。もうお前は戦えない!」
「ちっ!覚えてろよ!!」
 少年は捨て台詞を吐いて、去って行った。
「へへっ、やったぜ!」
 勝利を認識するとシュウはガッツポーズをした。
 その時、遠くから人の呼ぶ声が聞こえてきた。
「おーーい!」
 そいつは、佐津正義だった。
「正義……!」
「あ、シュウ君だったのか!大丈夫かい!?今、乱暴なビーダーがいるって通報を受けて来たんだけど……!」
「あぁ、今俺がおっぱらったから大丈夫だ!」
「そっか……。でも一体何なんだろう。ここ最近、ビーダマンを壊された、とか強引にバトルを仕掛けられた、とかそういう通報が多いから……」
 公安にも話が行っているのか……。
 シュウは正義に源氏派について話をした。
「源氏派……そんなビーダーが存在していたなんて」
「あぁ、奴らは俺達智蔵派……普通のビーダーのビーダマンを全部壊そうとしているんだ!」
「なるほど、警戒しておいた方がよさそうだな……。うん、上に報告しておくよ!情報ありがとう!」
 そう行って、正義は去って行った。
 時間も遅くなったのでシュウはクラブに戻った。
 クラブでは既にタケルと琴音が戻っていた。
「あ、タケル、ことねぇ」
「シュウ、どうだった?」
「あぁ、一人やっつけた」
「そうか、シュウも遭遇したか」
「って事は、タケル達も」
「まぁな。俺も、一人と戦って追い払った」
「あたしも……やっぱり、これから、増えていくのかな?こういうの」
「だろうな。こりゃ、皆おちおちビーダマンで遊べなくなるな……」
「戦うしかねぇだろ!戦って、皆が安心できるように源氏派を皆追っ払うんだ!!」
「そうだな……」
 とはいえ、これからの事を考えるとやはり気は重かった。
 その夜。
 シュウは父と一緒に食卓を囲っていた。
「ちくしょう、源氏派めぇ、ゆるさねぇぞぉ……!」
 シュウはぶつくさと文句をつぶやきながら乱暴に飯を口に運んでいた。
「修司、なんかあったのか?」
 いつもと違う様子の息子に、父は疑問を抱いた。
「あ、聞いてくれよ父ちゃん!」
 シュウは、たまっていた源氏派ビーダーへの不満を父にぶちまけた。
「酷いんだぜ!負けたからって、ビーダマンを奪うなんて、絶対許せないよなぁ!!」
「……」
 しかし、シュウから源氏派の事を聞いた父は、少し考え込んだ。
「そうか?」
 その答えは、シュウの望んでいたものではなかった。
「へ?」
「いや、負けたら相手のものを奪うって、別に普通じゃないのか?」
「……」
「父ちゃんも、子供の頃はビー玉遊びとかベーゴマ遊びとかしてたけど、勝ったら相手の持ってるビー玉を貰えるってのは決まりだったぞ。
だからこそ、勝負も盛り上がるんじゃないか!勝ったら自分のビー玉が増えるっていう喜び!負けたら自分のビー玉を取られるかもしれないっていうスリル!」
 父は昔を思い出して楽しげに語り出した。
 そんな父を、シュウはジト目で睨み付けた。
「な、なんだよ……?」
「裏切り者……」
「えぇ!?」
「見損なったぜ!父ちゃんがそんな悪者だとは思わなかった!」
「な、なんだよ悪者って!たかが遊びだろ……?」
「ごちそうさま!!」
 言って、シュウはバンッ!箸をテーブルに叩きつけた。
「お、おい、もういいのか?おかわりは?」
「いらない!!」
 シュウはプンスカ怒りながら、自分の部屋に戻って行った。
 
 翌日。
 仲良しファイトクラブ。
「こんちは~!タケル、ことねぇ!今日もパトロールにって……じいちゃん?」
 クラブには、タケル達に加え、智蔵もいた。
「ふぉっふぉっふぉ!そういえば、ヨーロッパ土産を貰い忘れとったからのぅ」
 智蔵は、いつもの調子で陽気に笑った。
 先日のシリアスな様子は微塵も感じられない。
「じいちゃん……」
 智蔵を見て、シュウはなんとなく夕べの父との会話を思い出し、心の中にもやもやが沸き出てきた。
「どうしたんじゃ?」
「あのさ、じいちゃん、聞いてくれよ!父ちゃんがさぁ!」
 シュウは、昨日の父との会話を智蔵に話した。
「ほう、あやつめ。ワシの可愛い娘を奪っただけあって、極悪な思考回路をしとるわ」
「だろぉ!?酷いよなぁ!!」
「と、言いたい所じゃが」
 智蔵は、言葉をつづけた。
「悔しいが、あやつの言っておる事は一理あるんじゃ」
「え?」
「源氏派の考え方やルールも、間違いではないんじゃよ」
「な、なんだよ、それ!だって、じいちゃんは!」
「ワシは、ただ源氏とは考え方が違うというだけじゃ。源氏が間違っているとはいっとらん」
「それは、そうだけど……」
「良いも悪いもない。たまたまワシの考えが多くの人間に受け入れられ、たまたま源氏の考えが受け入れられなかった。それだけの違いじゃ」
「……」
 智蔵に言われると、シュウは何も言えなくなってしまう。
 源氏派は悪い奴だと思っていたのに、そう決めて付けていた自分が悪いみたいに思えたから。
「じゃがなぁ。ワシにとってはビーダマンも、それを扱うビーダーたちも、大事な子供のようなものなんじゃ。
それが、壊されたり、悲しんだりするのは、見たくないのぅ……」
 智蔵は、しみじみとつぶやいた。
 それを聞いて、シュウの中で何かがハッキリとした。
「じいちゃん。俺やっぱり源氏派は許せないよ。良いとか悪いとかじゃなく、あいつらが俺達に対抗するっていうんだったら、真っ向から受けて立つ!」
 シュウは、改めて源氏派と戦う事を決意するのだった。
「バカタレ。お前さんはそんな余計な事は考えなくていいんじゃ」
「え?」
「お前さんは、なんでビーダマンをやっておる?」
「……楽しいから」
「目標はあるか?」
「ヒンメルに今度こそ勝つ事」
「じゃったら、まっすぐにそれだけを考えれおればいい。そのうえで、源氏派が立ちはだかるというなら、その時に立ち向かえばええんじゃ。優先事項を間違えるな」
「……」
 シュウは、智蔵が言った意味をよく考えてみた。
 そうか、源氏派の事ばかり考えて、練習をおろそかにしたり、敵を倒すためにビーダマンをしようとしたら、それこそ源氏派と何も変わらないんだ。
 何のためにビーダマンをやっているのか。それをよく考えるんだ。
「そうだよな……俺の目的はヒンメルを倒す事なんだ……それをおろそかにしちゃ、意味ないよな」
 そうつぶやいて、タケル達に向き直った。
「タケル、ことねぇ、あやねぇ!俺、源氏派は許せないけど、それよりもヒンメルに勝ちたいんだ!だから……!」
 タケルは頷いた。
「あぁ。分かった。今日の所は練習に専念しろ。パトロールは俺と琴音で行く」
「ちょっと効率は落ちちゃうけど、源氏派の事も気になるしね。ローテーションを組めば練習が極端に疎かになる事もないでしょ」
「サンキュ……!よし、ブレイグ!」
 シュウは早速ブレイグを構えて、シューティングエリアに立った。
「ヒンメルも、源氏派も、俺は絶対に負けないぜ!!!」

         つづく

 次回予告

「昼休み、田村と吉川とビーダマンで遊んでたんだけど、なんか二人の様子がおかしい。
そんな二人に、新たな源氏派ビーダーの間の手が迫る!えぇ、二人をスカウトするだってぇ!?
 次回!『醜きビー魂』
熱き魂で、ビー・ファイトォ!!」

 

 




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