オリジナルビーダマン物語 第29話

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爆砕ショット!ビースピリッツ!!


第29話「源氏派ビーダー登場!恐怖のビーダマン狩り」




 波乱尽くしだったヨーロッパ旅行が終了し、仲良しファイトクラブは日本に戻ってきた。
 そして、夏真っ盛り。
 仲良しファイトクラブはいつもの日常が戻っていた。
 練習場。
 外はうだるような暑さだが、中はクーラーがきいてひんやりとしている。
 しかし、運動しているシュウ達は若干汗ばんでいた。
「ふぅ!」
 フィールドでターゲットピンを倒していたシュウが顔を上げる。
「クーラー効いてても動くと暑いなぁ」
 シュウは片手で自分の体を仰いで風を起こす。
「そりゃ、夏だからね……」
 琴音は練習に疲れてベンチで休んでいる。
「だらしないぞお前ら!夏休みには全国大会が始まるんだ!それに向けてしっかり練習しないと!」
「タケルは元気すぎるのよ……」
「あ、そうだ!」
 自分自身に風を送っていたシュウは何か思いついたようだ。
「フェイタルストームすれば、一気に風を送れて涼しいかも!」
 グッドアイディアだ!
 シュウはさっそくパワーショットをぶちかました。
 
 ビュウウウウウウウウ!!
 風が巻き起こる。
「いっけぇ!フェイタルストーム!!」
 バシュウウウウウウウウ!!!!
 バゴオオオオオン!!!
「……」
「……」
「涼しくなったか?」
「余計暑くなった」
「だろうな」
 風を送るために体力消費してしまったらそれは本末転倒だ。
「はぁぁぁ……俺も休憩しよ」
 シュウもベンチにドサッと腰を掛けてジュースを飲む。
「あ~、うめぇ!練習のあとは濃いカピルスに限るぜ!!」
 カチャカチャ。
 彩音は隅でパソコンを弄っている。
「あやねぇ、何してんの?」
 暇になったシュウが彩音に絡む。
「うん?前に取り付けたGPSの設定。もう少し精度を良くしようと思って」
「あれかぁ、便利だったもんなぁ!あれなかったら、今頃ブレイグは……」
 そう思うと少し恐ろしい。
「備えあれば憂いなしっていうからね。大事な全国大会前だし、何が起こっても良いように今のうちに準備出来ることはしておかないとね」
「さっすがあやねぇ!頼りにしてるぜ!!」
 彩音がいてこその仲良しファイトクラブだろう。
「ふふ、任せといて」
 彩音がフッと笑みを浮かべた時だった。
 ガチャンと練習場の扉が開く。
「うわ~ん!」
「あやねぇ~!!」
 そして、数人の子供たちが泣きながら入ってきた。
「ん、お前らはいつも公園で遊んでる……」
 その子供たちは公園で遊んでいて、彩音に懐いてた子供たちだった。
「どうしたの?」
 彩音が立ち上がってその子達の所へ歩み寄る。
 すると、子供たちは自分たちのビーダマンを取り出して彩音に見せた。
 そのビーダマンはどれもこれもボロボロに傷ついていた。
「これは……!」
「酷い……!」
 これは、ひどい……!
「お前ら、これ一体どうしたんだ?」
「公園で遊んでたら、怖いお兄ちゃんがいきなりバトルを仕掛けてきて」
「バトルに負けたら、僕達のビーダマンを壊したり、盗ってっちゃったり……」
「僕もビーダマン盗られちゃった……!」
「ひ、ひでぇ……!」
「人のビーダマンを盗ったり、壊したりするなんて……!」
「お前ら、その奴らはまだ公園にいるのか?」
「うん。僕達必死で逃げてきたから、分からないけど……まだいると思う」
「そうか!」
 シュウ達はその公園にいく構えだ。
「行くぞ、シュウ、琴音!彩音さんはその子達を頼む!」
「分かったわ!」
 彩音はその子たちのビーダマンを修理するために残るようだ。
「あ!みんな、念のためにこれを持って行って」
 と、出発しようとするシュウ達に彩音はシャドウボムを渡した。
「これは、ベルセルクの時に使った……」
 強制的にSHBさせられ、負けた相手のビーダマンを一定時間戦闘不能にする事が出来るシャドウボムだ。
「こんな酷い事をする人たちだから、まともなルール設定が通用しないかもしれないでしょ」
「確かに」
「サンキュ、あやねぇ!ちゃっちゃとカタをつけてくる!!」
 シュウ達は早速公園に向かって出発した。
 公園では、低学年の男の子と目つきの悪い少年がバトルをしていた。
「あぁ、やめてよぉ!」
「ひゃーーっはっはっは!!喰らえぇ!!」
 バキィ!!
 目つきの悪い少年が、男の子のビーダマンに向かってショットを放ちブッ飛ばす。
「うぅ……!」
「さ、俺の勝ちだ。そのビーダマンよこしなっ!」
 少年は、男の子を蹴っ飛ばし、ビーダマンを奪い取った。
「あぁ、僕のビーダマン!!」
「あんだよ!文句ねぇだろ!!負けた奴がうだうだ言うな!!」
「うぅ、うわ~~ん!!」
 男の子は泣きながら逃げていった。
「けっ、根性のねぇ。これだから智蔵派のビーダーは……」
 その後ろ姿を見ながら、少年は悪態をついた。
「さぁ、次はだれが相手になってくれるんだ?」
 そして、少年は品定めするように公園にいる子供たちを見まわした。
「うぅ……」
 子供たちはみな、後ずさりしている。
「まぁ、バトルしなけりゃ、強引にお前らのビーダマンブッ壊すだけなんだけどな!ひゃっはっは!」
 バトルをして負ければビーダマンを奪われ、バトルをしなければ無理矢理攻撃を仕掛けられて、壊される。
 こんなの滅茶苦茶だ。
「やめろよ!!」
 そこに、シュウ達がやってきた。
「あん?」
「お前が、皆に酷い事したって奴か!!」
「酷い事?どこがだよ?」
「バトルに負けた子達のビーダマンを奪ったり、壊したり、滅茶苦茶酷い事じゃねぇか!!」
「あのなぁ!俺達はバトルをしてるんだぜ?負けたらすべてを失い、勝った者は戦利品を獲る。そんなものは古来から続いてる戦いの決まり事だろうが!」
「冗談じゃねぇ!ビーダマンは皆で楽しむものなんだ!勝っても負けても何も失うものはないんだ!」
「甘いなぁ。まったく、智蔵派ビーダーは本当に甘い」
「智蔵派?」
 智蔵と言えば、シュウの爺ちゃんだが、それと何か関係が?
「やはり、この世界は俺達源氏派が仕切るべきだ。お前らは滅ぶべきなんだよ!」
 言って、少年はビーダマンを構えた。
(源氏派……?)
 シュウ達は、この少年が言った『○○派』と言う言い回しが気になった。
 ビーダマンに派閥があるなんて、聞いた事がないし、自分たちはそんなものに入っているつもりはない。
「やっぱ、バトルするしかないみたいだな」
 タケルが身構える。
「タケル。ここは俺が行く。あんな奴、バスターブレイグでブッ飛ばしてやるぜ」
「分かった。だけど十分注意しろよ」
「おう!」
 シュウが一歩前に出た。
「で、ルールは?」
「デスマッチ。相手のビーダマンを狙い、先に相手のビーダマンを壊すか、手から弾き落とすかすれば勝ちだ」
「ま、待てよ!そんなルール呑めるか!」
 相手のビーダマンを直接攻撃するなんて、いくら悪い奴でもそんな事は出来ない。
「だから甘いって言ってんだよ!!これは戦いだっつっただろ!!」
 少年がガンを飛ばす。
「出来ないってんなら、またそこらのガキどもを狙うだけだぜ?」
「くっ!」
「シュウ、こういう時のためにお姉ちゃんに渡されたあれがあるんでしょ」
 琴音が彩音に渡されたシャドウボムを取り出す。
「あ、そうだったな。OK、了解だ。でもお前にはこいつをつけてもらうぜ!」
 言って、シュウはシャドウボムを起動した。
 ビーーーーー!
 シャドウボムから赤外線が照射され、少年のビーダマンにヒットする。
 すると、シャドウボムが少年を付きまといだした。
「な、なんだこいつ!」
「そのボムがお前のビーダマンの代わりだ!俺はそれを狙う。そいつが爆発すればお前のビーダマンは戦闘不能になる」
「なるほどな。智蔵派らしいやり方だ」
 少年はニタリと笑った。
 もちろん、シュウにもボムは装備されているが、少年はそれを狙う事はないだろう。
「「ビー・ファイトォ!」」
 バトルスタート。
「いくぜ、トゥループワイアーム!!」
 少年が使っているのは、黒く、身体の欠けたドラゴンのようなビーダマンだった。
 ドンッ!ドンッ!!
 パワーも連射も並だ。しかし、奴の戦い方は荒々しい。
「ぐっ!」
 いつものようにボムを狙われるわけではないので、慣れない。
 こういう戦いはベルセルク戦で経験しているものの、やはり慣れないのだ。
 
 ガッ!ガガガ!!
 トゥループワイアームの攻撃がヒットしていく。
「くそっ!ボムをかわさせるつもりで動いてたらヒットしちまう……!」
 シュウも負けじと反撃する。
 
 バシュッ!!
 パワーショットだ。
「なにっ!」
 バーーーーン!!
 戦いに慣れないのは少年も同じなようだった。
 シュウのショットは見事命中する。
 残りHPは78だ。
「ちっ、パワー型かよ!」
「機体へのダメージのせいで、思うようにパワーショットが撃てない……!」
 機体に直接攻撃を受けながらのショットは、やはりかなりのロスになるようだ。
「こりゃ、とっととブッ壊すしかねぇな!」
「こんな奴に負けるわけにはいかねぇ!!」
  
 バーーーーン!!
 シュウのショットと少年の連射が激突する。
 当然ながらビーダマンの性能はシュウの方が上なので、この競り合いはシュウが勝利する。
 バーーーン!
 ボムにヒット。
 残りHPは62だ。
「ちっ!」
「よし!」
 
「シュウ、押してるね」
「ああ。このペースなら勝てるな」
 タケル達もシュウの戦況は安心してみていられるようだ。
「ちぃぃ!!」
 ギシギシギシ……!!
 少年は、ワイアームのホルパーを軋むほどにシメつけだした。
「お、おい……!」
「おらああああ!!!」
 バギューーン!!
 そこから放たれる強力なショット。
 バキィ!!
 たまらずブレイグにヒットする。
「うお!」
「まだまだ!!」
 少年のシメつけは終わらない。
 さらに力を込めてシメつける。
 ボディが軋む。
「ま、待てよ!そんなにシメつけたら機体が持たないぞ!!」
「構うか!どうせ負ければビーダマンは失うんだ。だったら、壊してでもお前に勝つ!!」
「な、なに……?!」
 ビーダマンの性能も、ビーダーとしての能力も、シュウの方が上だ。
 だが、バトルにかける覚悟は、その比じゃない。
 ビーダマンを壊してでも勝とうなんて、そんなことシュウには考えられない!
「喰らえぇぇ!!」
 バキィィ!!
 あまりにも強力なシメつけのせいで、ワイアームのホルパーが砕けてしまった。
 しかし、それに見合った威力のショットがブレイグに襲いかかる。
「くっ!!」
 咄嗟に反応できず、ブレイグにヒット。
 シュウはブレイグを落としてしまう。
「はぁ……はぁ……」
 が、ワイアームも砕けてしまった。
「引き分けか……」
「……」
「まぁいい。負けるよりはマシだ」
 言って、少年は身を翻して去って行った。
「……自分のビーダマンを壊してまで、引き分けに持ち込んだ……」
 バトルに対する執念と言うよりも、自分のビーダマンに愛着が無いかのようだった。
「シュウ、大丈夫か?」
 タケルと琴音が駆け寄る。
「あぁ。かなりダメージ受けたけど、多分大丈夫。……でも、あやねぇに修理してもらわないと」
「一旦戻ろう。気になる事もあるしな」
「えぇ」
「うん」
 シュウ達は一旦練習場に戻った。
 練習場では、既に子供達のビーダマンは修理したのか、彩音一人だけが残っていた。
「あ、みんなおかえり」
「うん。あれ、子供たちは?」
「ビーダマンの修理も終わったから、皆帰ったよ」
「そっか、相変わらず仕事早いなぁ」
 シュウは感心しつつも、神妙な表情になる。
「大丈夫だった……?」
 彩音はシュウ達の様子を見て、不安げに聞いた。
「なんとか、そいつは追っ払えたよ。でも、ブレイグは結構ダメージ受けちまった」
 彩音にブレイグを渡す。
「うん、でもこの程度ならすぐに修理できそうね」
「そっか、よかった」
「それから、少し気になる事もあってな」
 タケルが口を開く。
「気になる事?」
「ああ。公園にいた騒ぎを起こした奴。あいつ、ただの不良ビーダーってわけじゃなさそうだ。何かがあるんだ。俺達の知らない何かが……」
「お姉ちゃんなら、調べられるんじゃないかと思って」
「……詳しく聞かせて」
 彩音も神妙な表情になり、シュウ達の報告を聞くことにした。
 その時だった。
「ハロー、諸君!ヨーロッパ旅行の土産をいただきにきたよよ~~ん」
 と、空気の読めない老人の声が聞こえてきた。
「って、じいちゃん!?何しに来たんだよ!こんな時に!!」
「何しにはないじゃろう!ワシを置いてヨーロッパとかいう素敵な所に旅行に行きおって!悔しいからお土産をせびりに来たんじゃ!!」
 このじじいは……。
「って、そのバスターブレイグ!ボロボロではないか!せっかくワシの作ったビーダマンを雑に扱いおってからに……!」
「違うよ、俺のせいじゃねぇって!」
 シュウは、公園での経緯をじいちゃんに話した。
「むっ、相手のビーダマンを破壊したり、負けたらビーダマンを奪っていくビーダーじゃと……!」
「そうなんだよ。今まで、悪い事してくるビーダーがいなかったわけじゃないけど。でも、そういうのとは何かが違うんだ」
「うまく言えないが、独特のルールと言うか組織的な掟を持ってるというか、そんな感じだったな」
 それらの言葉を聞いて、智蔵は神妙にうなり始めた。
「じいちゃん?」
「よもや……源氏派が動き出したという事か……?」
「源氏派……?」
 それは、あのビーダーも言っていた事だった。
 そういえば、智蔵派がどうこうとも言っていた。
 シュウのじいちゃんは彼らの事を何か知っているのだろうか……?

        つづく

 次回予告

「突如俺達の前に現れた謎の敵……それは、俺のじいちゃんにとって因縁の相手だった。
そして語られるビーダマン出生の秘密……え、まさかビーダマンにそんな秘密があったなんて!?
 次回!『智蔵と源氏 ビーダマンの生みの親』
熱き魂で、ビー・ファイトォ!!」

 

 




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