爆砕ショット!ビースピリッツ!!
第28話「ベルセルクの正体!」
ドイツを発ったシュウ達はノルウェーへ向かった。
今回の旅行の最終目的地だ。
ノルウェーについたシュウ達は、さっそくノールカップで白夜を堪能した。
岬から、夜になっても沈まない太陽を見る、
「これが白夜……ほんとに夜になっても明るいままのね」
「キレイね……」
琴音と彩音が感嘆の息を漏らす。
「ふぁ~」
その横でタケルは大あくびした。観光のためとはいえ、子供はもう寝る時間だ。
「全く、ロマンの欠片もない男ね……」
そんなタケルへ琴音は少し軽蔑の眼差しを送った。
「失礼な奴だな。俺だって絶景だとは思っている。が、それと眠気は関係ない」
「どうだか」
「ふふふ」
和やかに話している三人の横で、シュウは呆けた表情をしていた。
「どうしたのシュウ、さっきから黙ってるけど」
「シュウ君も眠いの?」
彩音達が心配してシュウへ話しかける。
「別に……」
シュウは呆けた表情のままそっけない返事をする。
「まだヒンメルの事気にしてるのか?」
タケルがそう言うと、シュウは無言で視線を逸らした。
「あれ以上はもう俺達には踏み込めない領域だ。力の及ばない場所にまで手を伸ばそうとするとロクな目に合わないぞ。気持ちを切り替えろ」
「分かってるよ!」
分かっていても心のもやもやは晴れない。そんなどうする事も出来ない気持ちをシュウは叫ぶ事で吐き出した。
「シュウ……」
シュウは拳を握りしめてキュッと唇を噛んだ。
「ヒンメルは、俺にとって特別なんだ……!ずっと目標にしてる、大事な奴なんだ……なのに、苦しんでるヒンメルに、俺は何も出来ない……何も……!」
ポロポロと涙をこぼしながら、シュウは震える声で呟く。
「シュウ君」
彩音はそんなシュウの隣にそっと寄り添って優しげに話しかけた。
「シュウ君は、もし時計がなかったら朝と夜の違いがなんなのか、分かる?」
「え、えっと、それは……太陽があるかどうかで……」
「でも、今は太陽が昇ってる。それでも夜なんだよ」
「それは、ここが、そういう場所だからだろ……?」
「うん。そうだね。私達が住んでる所では暗くなったら夜だけど、ここはそうとは限らない」
「そんなの、当たり前じゃ……」
「それは、ヒンメル君も同じなんじゃないかな。シュウ君は太陽が昇ったり沈んだりするみたいに、苦しい事も楽しい事も昇ったり沈んだりする。それが当たり前だった。
でもヒンメル君は、ずっと昇ったままなのが当たり前の事なのかもしれない。私たちの当たり前が、彼の当たり前とは限らない」
「だけど、あいつは……!」
ヒンメルの表情は苦しんでいた。例え当たり前でも、それが正しいとは思えない。
「ヒンメル君は、多分ずっとあんな生活をしてきた。それでもビーダーのトップに立っている。ルドルフさんも、ヒンメル君に良かれと思ってやっているみたいだし」
ルドルフに、ヒンメルに対する憎しみは見えなかった。もちろん素人判断ではあるが、それでもただヒンメルに苦痛を与えたいだけにしては回りくどすぎる。
「だからって、あんなの見て、ほっとけねぇよ!」
今まで大丈夫だからって、これからそうとも限らない。心配するのは当たり前だ。
「シュウ君の気持ちは分かるよ。でも、正しいかどうかの判断は私達には出来ない。
白夜が当たり前の人に『夜は暗いものだ。明るいのは間違っている』なんて言っても通じないよね?」
「そりゃ、そうだけど……」
じゃあ結局、何も出来ることは無いから放っておけと言うのか。
確かにヒンメル自身が助けを求めたわけじゃない。
あれが正しいのかもしれない。それでも、納得が出来ない……!
「でもね。私達の当たり前を、彼の当たり前と共有する事は出来るの」
「え?」
「白夜しか見た事が無い人に、夜の暗さを伝えるにはどうすればいいか分かる?」
「え、っと……どうにかして太陽を沈める……?」
「ううん、もっと簡単な方法だよ。私達が住んでいる場所に、連れて行ってあげればいいの」
「あ」
「シュウ君がヒンメル君にしてあげられることも、きっと同じだと思う。シュウ君が思っているビーダマンの世界へ、ヒンメル君やルドルフさんを連れていく。
そうすれば、ヒンメル君の中に今までの当たり前とシュウ君の当たり前が生まれて、二つの選択肢が出来る。何を選ぶかは彼ら次第だけど。
でもちゃんと選んだのなら、間違った事にはならないと思う」
「俺の世界へ、ヒンメルを……」
正しいか間違っているかの判断が出来ないのは、単に選択肢が無いからだ。
キチンと選択肢を与え、その上での決断ならば、どんな結果でもそれが本人達の最善手だ。悪いようにはならないだろう。
「でもそのためには、シュウ君が公式の世界でヒンメル君に勝つしかないの」
「……俺が、ヒンメルに」
負けた奴が何を主張した所で、通じるわけがない。
自分の正しさを証明するためには、勝つしか方法が無い。
「元々シュウ君の目的は、ヒンメル君に勝つ事でしょ?なのに、いつまでも落ち込んでたら、叶えられる夢も叶えられないよ」
「ヒンメルに、勝つ……そうだよな、俺はずっとそのために戦ってきたんだ……!」
救うにしても夢を叶えるにしても、目指す道は一つだったんだ。
改めてそう感じたシュウの瞳には精彩が戻り、いつもの表情で元気よく立ち上がった。
「よーし!あの白夜に誓うぜ!俺は必ず、ヒンメルに勝つってな!!」
シュウは海の向こうの太陽へ向かって、高らかに叫んだ。
そしてその翌日。
シュウ達は世界遺産にも指定されている観光スポット、『ガイランゲルフィヨルド』に向かった。
「っひゃ~、すっげぇ!!」
観光船のフッティルーテンに乗り、最もノルウェーらしい景色を楽しむ仲良しファイトクラブたち。
「絶景ね~」
「こういうの、テレビでよく見るけど、実物で見るのは初めてだ」
「まさに、ナイスボートって奴だぜ」
「シュウ君、それはちょっと……(汗)」
ちなみに、ナイスボートはソグネ・フィヨルドである。残念ながらガイランゲルではない。
そして観光船は、向かい合っている二つの大きな滝の所までやってきた。
「おおっ!でっけぇ滝!デカ滝だぁぁぁ!!!」
ドドドドド!!と大きな音を立てて落ちる瀑布にシュウは大興奮だ。
「七人の姉妹に求婚者ね」
彩音がその名称を言う。
「変わった名前ね?」
「うん。言い伝えでは、あそこの七人の姉妹って滝に、向かい合ってる求婚者が言い寄ろうとしているって言われているの」
「へぇ!なんかロマンチック!あたし達姉妹も誰かに言い寄られたりして……」
と、チラッとシュウ達を見るのだが、二人とも景色に夢中だ。
「まっ、ありえないか」
「ははは……」
再び別の滝にやってきた。
「滝多いなぁ」
「そりゃ、フィヨルドだからな」
「今度はなんていう名前なの?」
「これは、花嫁のベールって言う滝ね」
「おぉ、またまたなんかロマンチックな名前!」
「うん、この地域の人たちは、結婚や恋が一生で一番の価値持っていたみたいね」
「誰かさんたちとは大違いね」
琴音がジト目になる。
「ん、何が?」
その矛先の本人はその意味を分かっていない。
「別に」
琴音はため息をついてそっぽをむいた。
その時だった。
滝から、水が落ちる時よりも一際大きい爆発音が響いた。」
ズゴオオオオオン!!
「な、なんだぁ!?」
その音とともに、滝壺が爆発し、そこに人影が……。
「だ、誰かいる!?」
「あんな所にか!!」
その花嫁のベールを掻い潜ってきたのは……、
「みつ……けた……!」
人影がにたりと笑う。
その姿には見覚えがあった。
「あいつ、まさか……!」
「ベルセルク!!」
そう、そいつは、かつてシュウに奇襲をかけてストライクブレイグを壊した仇、ベルセルクだった。
「にぃぃ」
ベルセルクはにぃぃと口元をゆるませると、ダッ!とジャンプし、水面を駆けてきた。
「う、ウソだろぉ!!」
そして、バッと飛び上がり、シュウ達の乗っている船の甲板に飛び乗った。
「ゆうじいいいい!!!!」
シュウの名を見るなりベルセルクは叫ぶ。
「ま、またかよ……俺はしゅうじだってのに」
だが、名前を間違えられた事はこのさい問題じゃない。
「まずいぞ、シュウ!こんなところでこんな奴が来たら……!」
見ると、周りの観光客がざわついている。
「戦え!!」
ベルセルクがクレイジーバイパーを構える。
「くっ、やるしかないのか!?」
シュウもブレイグを構えるのだが。
「でも、どうすりゃいいんだ!?」
何を狙えばいいのか分からない。相手が撃ってくるショットを防ぐ事しかできない。
「シュウ君、これを使って!」
と彩音は小型のシャドウボムを二つ用意する。
「これは?」
「新しいシャドウボムのシステム!このボムについてる赤外線を相手ビーダマンに照射すれば強制的にアルティメットSHBをさせる事が出来るの!」
「でも、SHBさせてどうするんだよ?」
「この時、ボムを破壊された側のビーダマンは、しばらくの間ビー玉が撃てなくなる。ビー玉が撃てなければさすがのベルセルクも退散するしかなくなるはず!」
「なるほど!敵の迎撃にはもってこいってシステムだな!」
これは競技ではなく、話し合いの通じない『敵との戦闘』用のシステムとして優秀だ。
これならば、敵のビーダマンを狙わずとも、破壊せずとも、敵を戦闘不能にして追っ払う事が出来る。
しかもルールを守ってもらう必要もなく、強制的にこのルールに参加させる事が出来るのだ。
だが、相手シャドウボムを攻撃できるのは、自分もシャドウボムを装備しているものだけである。外野は攻撃できない。
強制的にシャドウヒットバトルさせられる。
負けた相手のビーダマンはしばらくビー玉が発射できない。
と言う以外は基本的にアルティメットSHBと同じルールである。
と、言うわけで強制的にバトルスタートだ。
「があああああ!!!」
ズドドドドドド!!
クレイジーバイパーの連射がシュウを襲う。
「くっ!」
シュウはなんとかそれをかわす。
が、ショットが甲板にヒットするたびに船が大きく揺れる。
「うぉ!!」
思わず怯むシュウ。
その隙を狙ってバイパーの連射がブレイグにヒットする。
「くっ!あいつは最初からブレイグ以外狙う気はないんだな……!」
「シュウ!俺達も加勢するぜ!!」
バシュッ!!
レックスとグルムのショットがベルセルクのボムにヒットする。
が、HPが減らない。
「なにっ!?」
「ダメよ!このシステムのボムのHPを減らせるのは、同じシステムのボムを装備しているものだけだから!」
通常のシャドウボムであればボムを装備してようがしていまいがビー玉を当てればダメージを与えられるのだが、
このタイプはボムを装備しているもの同士で無いとダメらしい。
「だったら彩音さん!俺達にもボムを……!」
「ごめんなさい、用意しているのは二つしかなくて……!」
「ぐっ!」
これでは、タケル達は参戦できない。
「はあああああああ!!!」
再びクレイジーバイパーの連射が火を噴く。
「いっけぇグルム!!」
それをグルムが防ぐ。
「ことねぇ!?」
「相手のボムを攻撃できなくても、ショットを防ぐ事は出来るからね!」
「そうか!よし、シュウ!防御は俺達に任せろ!お前は攻撃に専念するんだ!」
「分かった!!」
「ぐううう!!!」
ズドドドド!!!
クレイジーバイパーの連射。
「させない!」
「おらああああ!!!」
タケルと琴音のショットがそれをはじいていく。
「いっけぇ!!」
その隙にシュウのパワーショットがベルセルクのボムにぶち込まれる。
バーーーン!!
ベルセルクのHPは73になった。
「ぐおおお!!邪魔するなああああああ!!!」
ベルセルクの咆哮。
さらに連射が激しくなる。
「くっ!こいつ、まだこんな力を……!」
「ダメ、防ぎきれない!!」
タケルと琴音の防御もむなしく、突破されてしまう。
バーーーン!!
シュウのブレイグに何発かヒットしてしまう。
おかげでブレイグはボロボロだ。
「くそっ!当たった!」
「くっ!こいつ、三人がかりのショットを圧倒的に上回る連射をしやがる!」
バイパーの連射はまだまだ続く。
「シャドウボムを狙ってこないだけまだマシだけど、このままじゃブレイグがもたない!!」
「なんなのよ、あの連射は!?」
クレイジーバイパーの驚異的な連射。
彩音が必死に分析をしている。
「そうか、分かった!あのビーダマンのコアの巨大なゴムローラーの力なんだわ!!」
「あのゴムローラーが?」
「あのビーダマンのトリガーは、通常の半分のストロークしか押せないようになってる。だから、ビー玉がホールドパーツの臨界点で止まる。
そこで指を使ってゴムローラーを回転させてビー玉を射出させてるの!
トリガーの動きは半分しか動いてないから、実質、半分のストロークで連射が出来るんだわ!!」
「そんな機能が……!」
「しかも、あの細長いヘッド……あれ自体がマガジンになってる!垂直ローディングで直接コアにビー玉が装填されるから玉詰まりも起こらない!」
「くっ!!」
ズドドドドドド!!!
「それで、何か弱点はないの、お姉ちゃん!!」
「垂直ローディングのヘッドは装填性能は高いけど、照準性は低いし、本体のちょっとした反動も貯蓄したビー玉に直接伝わってバランスが崩れる……
なんとか相手の態勢を崩せられれば!」
マガジンが後頭部から装填されるタイプは、本体の反動はヘッドが吸収してくれるおかげで貯蓄したビー玉には伝わらないのだが
垂直ローディングの場合は、ヘッドが吸収してくれないので本体に強い反動がかかると、貯蓄したビー玉が弾けてしまうのだ。
むろん、そこを考慮したうえで、反動の少ないゴムローラーコアをしているのだろうが。
「バランス崩すったって、どうすれば……!」
「シュウ!波だ!波を起こせ!!」
「波……?」
「前方の水面に向かって、パワーショットをぶち込むんだ!!」
「わ、分かった!!」
シュウはタケルに言われた通り、パワーショットを放つ。
ショットはベルセルクを横切り、船進行方向の水面に着水する。
バシャアアアアアアアン!!!!
前方に巨大な水柱が立つ。
と同時に、船が大きくかたむいた。
「むっ!!」
「くっ!」
ガシャーーーーン!!!
クレイジーバイパーのヘッドから大量のビー玉がはじけ飛んだ。
「よし、今だ!奴は玉切れだ!!」
「おっしゃああ!!」
バシュウウウウウウウウ!!!!!
シュウのパワーショットが炸裂する。
バーーーーーン!!!
ベルセルクのシャドウボムにヒット。
残りHPはあと52だ。
「ぐうううう!!!」
ベルセルクはイラつきながらもビー玉を装填していく。
「まだまだぁぁ!!!」
ビュウウウウウウウウ!!!
先ほどパワーショットを撃ったおかげでブレイグのヘッドの刃が小刻みに動き、風を起こす。
「いっけぇ!フェイタルストーーーム!!!」
バゴオオオオオオオオオオ!!!
空気の膜を纏ったショットがブッ飛ぶ。
「いっけええええええ!!」
「ぐおおおおおおおおお!!!!」
ベルセルクが咆哮を上げながら、そのショットを迎撃しようと連射する。
ガキンッ!ガキンッ!!
が、エアロバリアを纏ったショットはベルセルクの連射を弾き飛ばしていく。
「ぬおおおおおおおおおおお!!!!!」
ベルセルクはなおも連射を続けるが止まらない。
そして、フェイタルストームがベルセルクのボムにヒットする。
バーーーーーーーーン!!!
強力なショットに、ボムはたまらず爆発する。
そして、そのボムから粘着性の液体が飛びだし、クレイジーバイパーのコアを塞いだ。
「むっ!ぐっ!!」
ベルセルクは、ボムを破壊されたのを構わず、ビー玉を発射しようとするのだが、その液体は瞬時に凝結し、コアを固めてしまった。
「ぐ、ぐおおおお!!!」
ガチャガチャ!!
「無駄よ!それは、30分経たないと消えない。もうあなたのビーダマンは撃てない」
彩音が言うと、ベルセルクは悔しげに顔を歪めた。
「ぐおおおおおおお!!!!」
ドボーーーン!!
そして、叫んだのちに河へ飛び込んで去って行った。
「はぁ……はぁ……」
「助かった……」
シュウ達はホッと胸をなでおろして床にへたり込んだ。
「ったく、いったいなんなんだよあいつは……なんでこんなとこにまで現れんだよ……」
シュウは思わず愚痴った。
「ほんと、シュウを付け狙ってたみたいだけど、何か恨みでも買ってんじゃない?」
「知らねぇよ……あいつが何か勘違いしてるだけじゃないのか?」
その言葉に、タケルがハッとした。
「勘違い……?」
そしてタケルは、奴の言動を思い出す。
「待てよ、あいつ、シュウの事をゆうじって叫んでなかったか……?」
「あっ!」
彩音も何かに気づいたようだ。
「しかも、ここはノルウェーだ。そこに奴がいるって事は」
「まさか……!」
「なんだよ二人とも、何か分かったのか?」
「……あぁ、なんとなくわかった。あいつの正体がな」
タケルが言う。
「えっ!?だ、誰なんだよ!!」
「あいつは、四年前の世界大会決勝で、ゆうじさんと対戦して敗北したビーダー。ノルウェー代表のトール・グリーグだ」
「トール・グリーグ」
そういえば、その名前は前に彩音から聞いたことがある。
「って、ちょっと待てよ!ってことは、四年前の世界大会準優勝者なんだろ?なんでそんな奴が狂人みたいな格好で、あんな滅茶苦茶なバトルを俺に仕掛けてくるんだよ!」
正体が分かったところで納得できないことだらけだ。
「ここからは、俺の推測なんだが。あいつは、ゆうじさんに負けて非常に悔しがっていた。何が何でもリベンジしたいと強く思ったんだろう」
「でも、そのお兄ちゃんは、もういない……」
彩音が悲しげに言う。
「『死んだ奴をライバルにしてたら、永遠に勝てない』。リベンジしたくても、勝ちたくても、その相手はもういない。負けたまま、戦う事すらできなくなってしまった。
その苦しみが、奴を狂人に変えたんだ」
「……!」
シュウは、その気持ちがなんとなくわかるような気がした。
「俺も、もしヒンメルに永遠にリベンジが出来なくなったとしたら……」
ベルセルクと同じになっていたかもしれない。
「で、でも、まだ分からないぜ。だからって、なんで俺をつけ狙うんだよ!ただ狂っただけならもっと無差別に攻撃を仕掛けるんじゃないのか!?なんで俺だけ……」
「……似てるんだよ、お前」
「え?」
「どこがって言われても、多分ハッキリとは答えられない。ただ、たたずまいと言うか、オーラみたいなものが、似てるんだ。ゆうじさんに」
「……」
彩音はうつむいた。
「俺が、似てる……」
「しかも、名前までそっくりときたもんだ。あいつにとって、もう本物かどうか判断がつかなくなったんだろうな」
「……」
ベルセルクは、シュウを見つけて嬉しかったのかもしれない。やっと、リベンジが出来る相手と出会えて。
「でも……俺は、修司だ。ゆうじじゃない」
だから、あいつのリベンジを叶えてやる事は出来ない。
「……そうだな」
シュウの言葉に、タケルは難しそうにつぶやいた。
一方の彩音は、一人苦悩していた。
(お兄ちゃんが、死んだから……私のせいで……また、苦しんでるビーダーが……私のせいで……)
彩音はその苦悩をなるべく悟られないように、一人で抱え込んでいた。
つづく
次回予告
「さぁ、いろいろあったけど、帰ってきました日本!やっぱ落ち着くねぇ~!
だが、俺達が旅行している間に、日本では大変な事が起きていた!!皆のビーダマンが……!
次回!『源氏派ビーダー出現!恐怖のビーダマン狩り』
熱き魂で、ビー・ファイトォ!!」