第20話「夢の在処を導く絆」
赤壁杯決勝大会1回戦。
小竜隊の対戦相手ノースアマゾンは、チーム戦特有のルールを利用して、サンダークラップとヴァーミリオンを『エンダーコーカサス』に合体させた!
「「合体!エンダーコーカサス!!」」
『おおっとこれは驚きです!ノースアマゾンはフリックスを合体させました!頭数は減ってしまいますが、戦闘力は大幅にアップです!!』
「合体フリックス!?」
「そんなんアリか……!」
二体分の質量で圧倒的威圧感を漂わせるエンダーコーカサスにたじろぐナガトだが、気合いを入れて構える。
「とにかく、攻めるしかない!いけっ、マイティオーガ!!」
ガキンッ!
マイティオーガのシュートはあっさりと弾き返されてしまった。
「無駄である!エンダーコーカサス不屈の型は、2機分の重量に加えてグリップ力も高い!!」
「ちょっとやそっとじゃ、ビクともしないさ!」
「くっ!」
「さぁ、制圧の開始である!」
ドンッ!!!
エンダーコーカサスのシュート、凄まじい重量でマイティオーガをまるで木の葉のように吹っ飛ばしフリップアウトする。
「うわああああ!!」
『や、やはり質量は正義なのでしょうか!圧倒的防御力と破壊力でマイティオーガを追い詰めます!!』
マイティオーガを拾ってスタート位置に置き直すナガトだが、その表情には焦りが見えている。
それを見ていたリュウジは必死で思考を巡らせた。
(くっ、どうする?ノースアマゾンにあんな隠し球があったなんて情報はない!これじゃあ的確な指示はできない……!そもそも、バトル開始早々に撃沈された俺が何を言った所で説得力に欠ける。いや、それでも何か言わなければ……何か……!)
リーダーとして、せめて状況を打開するための指示を出さなければ。その思いでリュウジはナガトへ声をかけた。
「ナガト……すまん……頼む……!」
どうにか思考を絞り出して出た言葉が、それだった。自分でも情けないと感じたのか、リュウジは目を背ける。
しかし、その言葉を聞いたナガトはむしろ精悍な顔付きになった。
「あぁ、任せろリュウジ」
「……!」
意外な返答にリュウジはナガトへ視線を戻す。ナガトはしっかりと敵を見据えてシュートの構えをとっていた。
「いけっ、マイティオーガ!!」
バシュッ!ガギンッ!!
マイティオーガの強シュートがエンダーコーカサスにぶつかるも相変わらず全く動かず逆に弾かれてしまう。
「無駄無駄!である!!」
しかし、オーガは弾かれた先にあるマインに触れてマインヒットを決め、更にマインを場外へ落とした。
『おおっと!小竜隊、マインヒットで一矢を報いました!!』
「なに!?」
「どんなに重量があっても、マインヒットのダメージは変わらない!むしろ弾かれやすい分ヒット&アウェイがしやすくて助かる」
「ぐぬぬ……!」
エンダーコーカサスとマイティオーガの距離は遠い。重い上にグリップを高めたエンダーコーカサスの機動力では攻撃が届かない。
ナガトは更に上手く立ち回ってマインヒットを決める。
「ナガト……!」
「リュウジ、俺の夢はあの事故で潰えたと思ってた」
「……」
「けど違った。俺もリュウジと同じだ。優勝する事よりも戦いたい相手がいて、その夢の在処はGFCじゃなくて、赤壁杯だった。リュウジの夢が俺の夢へ導いてくれたんだ」
「俺の夢が、導いた……」
「だから、一緒に叶えようぜ!俺達の、皆の夢を!」
ノースアマゾンのターン。
「なんとしてでも捉えるのである!!!」
「遅いっ!」
エンダーコーカサスの攻撃を掻い潜り、ナガトはトドメのマインヒットを決めた。
「くっ、この重量で不屈の型は悪手だったのである……!」
『決まりました!!関ナガト君の見事な立ち回りによって、勝者は小竜隊!!』
「よしっ!」
「やったな!ナガト、リュウジ!!」
「合体フリックス相手にマインヒットで立ち向かうなんて凄いよ!」
「さっすが神童やで!それと、いよいよやな、リュウジ!」
「え?」
急にツバサに話を振られてリュウジはハッとする。
「これでホワイトホースと戦えるで!!」
「そうだな!絶対勝とうぜ、リュウジ!!」
「……」
純粋に、この勝利によってホワイトホースと対戦出来るようになった事を喜んでくれるメンバーを見てリュウジは思った。
(違う夢を一緒に見て、お互いの夢を叶えあう。そんなやり方があってもいいのかもな)
……。
続いては江東館VSデッドキャッスルの試合。
ルールは勝ち抜き戦だ。ただし、勝利しても減ったHPはそのまま据え置きだ。
「しっかりやりぃや!江東館!!」
「頑張れよ!ケンタ!みんな!!」
「うん、ありがとう!!」
小竜隊メンバーは当たり前のように江東館を応援する。
「ちょっと待て!俺達への応援は無しか!?サバイバルレースで協力した仲だろ!!」
シュウタロウが不満を叫ぶ。
「当たり前や!誰のせいで酷い目にあったと思っとるんや!!」
「あ、あれはギョウが勝手に……まぁいい。ジョウスケ、頼むぞ」
「ああ」
『最初の対戦カードは江東館からは古川シメイ君!デッドキャッスルからは雨田ジョウスケ君です!!』
「雨田ジョウスケ……聞いた事ないな」
「ギョウの代わりに入った新規メンバーってとこか」
『それではそろそろ開始します!3.2.1.アクティブシュート!!』
「羽ばたけ!エイグル!!」
「ドリルヘッジホッグ!!」
バーーーーン!!
エメラルドエイグルとハリネズミ型フリックスが激突する。
……。
しかし、ジョウスケはそれほど強くなかったのか、あっさりとシメイに負けてしまった。
それでもシメイの残りHPは2。
続いてはウィップローズを使う氏家ヒナコ。
「ふふ、遊んであげるわ、坊や」
ウィップを駆使した攻撃で1ダメージ与えるも、マイン合戦に長けているシメイはブレイズバレットを使用して撃破。
「いや〜ん!」
たった一人で二連勝した。
「いいぞー!シメイーー!!」
「このままいけー!」
応援に熱の入る小竜隊。
「驕れるものは久しからず……勝って兜の緒を締めよだ!」
シメイは連勝しているにも関わらず決して油断せずに次の戦いに挑む。
「ちぃ、ジロー頼むぜ!流れを変えろ!」
「任せろ!行けっ!ギガモス!!」
重量級変形機体のギガモスのアタックにより、エイグルは撃沈。
続くリン、シズキもあえなくやられてしまった。
「あいつ、馬鹿力過ぎるぜ……!」
「ごめん、あたし達じゃダメージ与えるのが精一杯だった」
「いや、二人とも良く頑張ってくれた。あとは俺とケンタに任せろ!」
次に出るのはサクヤだ。
しかし、いきなり劣勢の江東館に小竜隊は不安げだ。
「江東館がこんなに劣勢になるなんて」
「意外とやるな、デッドキャッスル」
「ええい、感心すな!こういう時こそ声張り上げて応援や!!いてもたれーー……!!」
ツバサの応援は、より大きな声援によって掻き消された。
「くぉらぁぁサクヤぁぁぁぁ!!!負けたら承知しねぇぞ!気張っていけぇええええ!!!」
その声の出所はアトランティスの観戦席だった。番長のような風貌をした漢が怒声を張っている。姿も相まってさながら応援団だ。
「な、なんやっ!?」
ゲンジはその姿に見覚えがある。
「あいつは、タイシ……だっけ?」
そして、タイシの応援を聞いた瞬間、サクヤの目の色が変わった。
「タイシ……分かってるさ。天下を極めた二人の決戦、誰にも邪魔はさせない!!」
サクヤはグッとシュートの構えに力を込めた。
『3.2.1.アクティブシュート!!』
「いけっ!コメットブレイカー!!!」
フロント重心のケラトプスを正確に力強く撃ち抜く必殺技でケラトプスは向かってきたギガモスを弾き飛ばした。
「なぁにぃ!?」
『これは凄い!!ギガモスの巨体をコメットケラトプスが弾き飛ばしました!!』
「次はオイラが行くんだよね!」
『さぁ、デッドキャッスルは延城ブン君が出陣!
3.2.1.アクティブシュート!!』
バキィ!!
難なくケラトプスが先手を取る。そして、必殺技でフリップアウトを狙うのだが……。
「コメットブレイカー!!」
「バイパーホールド!!」
ガッシ!!
コメットケラトプスのアタックはアサルトスコーピオにガッシリと掴まれてしまい、そのまま一緒に場外してしまった。
「拘束による搦手か。ならば!」
再び、先ほどと同じ状況に陥る。
「コメットブレイカー!!」
「何度やっても同じなんだよね!」
ガシッ!再び掴まれてしまうケラトプス。だが、今度は場外へは行かずスコーピオを穴の上に停止させた。
そして、仕切り直しのアクティブで再びスコーピオを場外させて撃沈。
残るは一人となった。
「ちぃ!こうなったら俺があいつらまとめてぶっ飛ばしてやる!」
『3.2.1.アクティブシュート!!』
サクヤVSシュウタロウのアクティブシュート。
「コメットケラトプス!!」
「ニードルセンザンオー!シェルターインプレイス!!」
シュンッ!!
コメットケラトプスの強シュートがセンザンオーに接触した瞬間、センザンオーはボディ上部のハンドスピナーの回転を利用して受け流し、場外させた。
「受け流し機体か……!」
「お前みたいにまっすぐ突っ込んでくるやつはやりやすいぜ」
「……だったらまっすぐ突っ込んでやろうじゃないか」
含み笑いをして、サクヤは機体をセットする。
『3.2.1.アクティブシュート!!』
「コメットブレイカー!!」
「バカな奴!受け流せ!シェルターインプレイス!!」
ハンドスピナーを利用して再び受け流そうとするニードルセンザンオーだが……。
ガッ!!
今度はガッシリと止められてしまった。
「なに!?」
「回転体による受け流しは重心を捉えれば発動しない!」
ケラトプスの先攻、そのまま押し出してセンザンオーを場外させた。
そして、仕切り直しアクティブ。
「いくぞ、コメットケラトプス!!」
「ちっ、この俺を受け流しだけのフリッカーだと思うなよ!」
シュウタロウはセンザンオーのハンドスピナーを猛回転させてからシュートした。
バチンッ!!!
センザンオーはケラトプスを掬い上げ、そしてハンドスピナーによってケラトプスを弾く。
「ニードルハンマー!!」
「なに!?」
そして、弾かれたケラトプスは運悪く穴の上に停止してしまった。
『サクヤ君撃沈!これでお互いに残り一人となりました!!』
「兄ちゃん!」
「ケンタ、後は頼むぞ!」
「うん!」
ケンタは力強く頷いた。
「おっ、最後はこんなガキかよ。楽勝だな」
出てきたケンタを見て、シュウタロウはバカにするように鼻で笑う。
「僕は絶対に負けない!」
それに対して怯まないケンタ。以前よりも逞しくなっている。
『いきます!3.2.1.アクティブシュート!!』
「おらぁ!ニードルハンマー!!」
「いけっ!ディバイトバイフー!!」
ガッ!!
センザンオーの掬い上げパーツがバイフーに接触する。が、バイフーは踏ん張って掬い上げができない。
「なにぃ!?」
「タイガークローディフェンス!!!」
バチィン!!
掬い上げができない状態からセンザンオーはツンのめってしまい、ハンドスピナーがバイフーのヘッドパーツにヒット!その反動でセンザンオーの方が弾かれてしまった。
『センザンオー場外!これによって、勝者は江東館です!!』
「やったぁ!!」
「よくやったぞ、ケンタ!!」
江東館は喜びを分かち合いながらステージを降りて観戦席へ向かう。
「よぉ、なかなかやるじゃねぇか。白虎のフリッカー」
その道中、インビンシブルソウルの連中と遭遇しホウセンに声をかけられた。
「君は……!」
サバイバルレースで落とされた事や諸星コウから話を聞いた事もあり、江東館メンバーは身構える。
「だが、あんなもんじゃ俺達の敵じゃねぇな。覚悟してな、ぶっ潰してやるよ」
「……!」
凄むホウセンにケンタは怯まずに睨み返す。
「それはどうかな?俺たちと当たる前にお前達が敗退する事もありえるぞ」
サクヤが皮肉を込めて言うとホウセンは笑い出した。
「はははは!おもしれぇ事言うじゃねぇか!俺があんなザコに負けるわけねぇだろ!」
「……タイシを甘く見るなよ」
「甘ぇよ、あんな奴。楽勝だ」
それだけ言って、ホウセン達はステージへ向かっていった。
サクヤはその姿を眺めながら回想に浸った。
……。
赤壁杯予選が終わり、決勝大会が開かれる前のある日。
久しぶりにタイシが江東館へやってきた。
「いやぁ、懐かしいなぁ江東館!」
「タイシ!」
「タイシ君!こっちに来てたんだ!」
江東館はメンバー達はタイシの姿を見つけるや練習を一旦やめて周りに集まってきた。
「よぉ、皆!久しぶりだなぁ!!」
「シャシャッ!やっぱタイシさんがいると安心感があるよなぁ」
「いつものメンバーって感じよね」
「はっはっは、そう言ってもらえるのは嬉しいが、今は俺もチームがあるんだ。お前らとは敵なんだぜ」
「それはそうと、いきなり来るなんてどうしたんだ?これまでロクに顔出さなかったのに」
サクヤに問われると、タイシは真剣な表情で言った。
「……俺にとってもお前にとっても、これが最後のチャンスになるだろ?だから、な」
「あぁ」
タイシの少ない言葉で、サクヤは全て察したのか小さく頷いた。
「……悪い皆、少し二人で話をしてくる。暫く自主練習していてくれ」
サクヤはそう指示を出すと、タイシと一緒に練習場を出て事務室へ向かった。
各種資料や賞状などが棚に入っている。
部屋の隅にあるソファにサクヤとタイシは座った。
「楽にしてくれ。今日は特に予定もないし、ゆっくり出来る」
「あぁ、悪いな。……それにしても、変わってないな、江東館も、お前も」
「まぁな、でもお前が抜けた直後は大変だったんだぜ。今はケンタが頑張ってるが」
「あの泣き虫が、逞しくなったもんだ……。思い出すなぁ、二人で一緒に江東館に入って、そして一緒にこいつを開発した事」
タイシがアイアンキャンサーを取り出すと、サクヤもコメットケラトプスを出した。
「ふっ、支給されたオルカシャークじゃ俺達のシュートに耐えきれなくてすぐ壊れたもんなぁ」
「でもその後、お前に機体開発を誘われたおかげでこいつと出会えた」
「俺も、お前の発想がなかったらコメットケラトプスは完成しなかったさ」
「ある意味兄弟機なんだよな。だからこそ、大会でも抜群のコンビネーションだったよな」
「あぁ、それで一昨年の赤壁杯で優勝できたんだもんな」
サクヤは棚に飾っている賞状とトロフィーを見ながら言った。
「……俺とお前で天下を取った。だからこそ」
「あぁ。あとはどちらが上か決めるだけだ」
「決勝大会、俺と当たるまで必ず勝ち上がれよ」
「お前もな」
……。
………。
サクヤのしていた回想と全く同じものをタイシもまた回想していた。
ステージに立ち、あと少しで目標に辿り着ける場面になった事で想いが強まったのだろう。
「兄貴?」
心配そうなシュウヘイの声を聞いてタイシは我に帰った。
「ん、少し昔の事を思い出していた」
「……いよいよっすもんね。兄貴の悲願まで」
「あぁ、そのためにもあいつをぶっ飛ばさねぇとな」
タイシは目の前にいるインビンシブルソウルのホウセンを睨め付けた。
「へっ」
ホウセンはその威嚇を鼻で笑った。
『それでは続いての試合はアトランティスvsインビンシブルソウルの対戦です!
ルールは【10ポイントバトル】!
チーム毎に合計HP10ポイントが与えられ、それを各メンバーへ自由に振り分けて5VS5で戦うルールです。 誰に多くHPを振り分けるかの作戦が重要になります!』
そして、作戦タイムに入る。
「お前ら、ここは俺一人に行かせてくれ」
「え、兄貴……?でも無茶っすよ、一人でなんて」
「俺はどうしても一人であいつをぶっ飛ばさねぇと気が済まないんだ。じゃないと、サクヤと頂上決戦なんて出来ねぇ」
「……分かったっす」
作戦タイムが終わり、バトルになる。
モニターに振り分けられたHPが表示される。
インビンシブルソウルは、バランス良く全員にHPが2ずつ振り分けられており。
それに対してアトランティスはタイシだけがHP6で、他のメンバーはHP1だった。
『これは、試合前から極端な作戦に分かれました!全員にバランス良くHPを振り分けたインビンシブルソウルに対して、アトランティスはタイシ君だけがHP6で、他のメンバーはHP1です!この真逆の作戦が試合にどう影響するのでしょうか!?』
観戦席の小竜隊。
「バランス良く振るか、一人に振るか、この場合ってどっちがいいんだろ?」
ゲンジが疑問を口にするとリュウジが答えた。
「メンバーの実力にもよるだろうが、普通に考えたらバランス良く振った方が戦いやすいだろうな。一人だけ極端に強くしても、多勢に無勢になるとどうしようもない」
それは先程のノースアマゾンが、1VS1に持ち込める状況になって初めてエンダーコーカサスに合体したのと同じ理屈だろう。例え総合的な戦闘力で劣っていたとしても数の強みは大きい。
「そうだよなぁ」
「ただ、メンバーの強さにバラつきがあるなら、強いメンバーにHPを多く振った方が良いかもしれない。とは言え、そんなチームはそもそも集団戦に向いて無いって事にもなる。作戦の時点でそれを相手に伝えてるようなもんだ」
「って事は、インビンシブルソウルの方が有利なのか」
「数の不利を跳ね返せるくらい極端に強ければ話は変わるけどな」
そして、試合が始まる。
『いきます!3.2.1.アクティブシュート!!』
「いけぇ!!アイアンキャンサー!!」
アトランティスは、タイシだけが強シュートをして、他のメンバーは後ろでチョン押しした。
『タイシ君力強いシュート!先手を取りました!!』
「あぁ?まさかてめぇ、一人でやる気か?」
タイシの行動に、ホウセンが眉を顰めた。
「まずは俺一人でお前をぶっ倒す!第一ステージの借りは返すぜ」
「プッ、はっはっはっ!!!そいつは傑作だ!良いぜ、乗ってやる!おい、お前ら手ぇ出すなよ。こいつは俺の獲物だ」
「全く、仕方ない奴だ」
「問題ない」
「好きにしろ」
「あたしも構わないよ」
ホウセンのわがままを他のメンバーは了承した。
「へっ!つー事だから、こっからはタイマンだ!遠慮せずにこいよ!!」
「後悔するなよ……はぁぁぁぁ!!!アームドクラッシャー!!!!」
バシュウウウウウ!!!
アイアンキャンサーの硬い甲羅とハサミを最大限活かした必殺技がブロッケンシェルロードにブチ当たる。しかし……!
バシッ!!
シェルロードはそれなりに弾かれるが、サイドの可変アームによって衝撃を吸収した事で耐え切った。
「なっ、バカな……!」
驚愕するタイシ。それは観戦席で見ていたサクヤも同様だった。
「タイシのあの技を耐えただと……!」
インビンシブルソウルのターン。
「大した攻撃だが、そんなもんか」
ホウセンは、ゆっくりとシェルロードのバネギミックをセットする。
「っ!」
「しっかり防御しろよ。こっちも楽しみたいからな」
ニタリと笑うホウセン、タイシは緊張した面持ちでバリケードを構える力を強めた。
「オラァ!!」
バキィィィ!!!
シェルロードのバネギミック攻撃がモロにヒットしぶっ飛ばされるアイアンキャンサー。
タイシの構えるバリケードに激突、どうにか耐え切ったものの凄まじい衝撃にバリケードは壊され、タイシも吹っ飛ばされた。
「ぐああああああ!!!!」
「タイシ!!!」
「兄貴!!!」
つづく
CM