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ミニ四駆を通じた子供たちの成長と、それを見守りながらも自分達もそこから学んでいく大人達の物語を丁寧に描き切った爆走兄弟レッツ＆ゴー!!
　
そして、舞台を世界グランプリに移してマシンもレース内容もスケールアップ
1チーム5人、全10ヶ国のチームが、各3試合ずつ戦う総当たり戦と言うスケジュール管理も勝敗管理も難しい方式の大会を1年間描き切り
最高のレース競技作品として昇華した爆走兄弟レッツ＆ゴー!!WGP
　
そんな、ほぼ完璧ともいえる物語作品をしっかりと完結させ、これ以上何を描くねん！？って所でスタートした続編が
爆走兄弟レッツ＆ゴー!!MAX

ビクトリーズで描くべきストーリーは描き切ったので
新主人公やその他キャラクターを一新し、前二作で完成された概念を破壊し、別解釈によって再構築した作品です

まぁ、同一世界観で新主人公による続編ってのは大して珍しくもなんともないんですが
この「破壊からの再構築」って言うのがほんとによくできていて
　
よくある作品の新主人公と言うのは
大抵が「前主人公を崇拝」もしくは「前主人公を超えるために頑張る」と言うものが多いですよね？

旧作ファンからすれば、わけのわからん新主人公なんかより前作主人公の方に愛着があるわけですから、そういうキャラ設定にした方がウケは良いです
しかし、それでは完全に「新主人公が前主人公に負けてる」と認めるようなもので
新主人公で物語をスタートさせた意味がなくなります

しかし、MAX主人公二人は
「既に自分は世界一になった前作主人公よりも上だ」って豪語してるんですよね
実際はそんな事はなく、ビクトリーズの方が圧倒的に強いんですがｗ
その心意気が大事です
「超えるために頑張る」のではなく「既に上だから眼中にない」「だから前作関係なく自分達の物語で戦う！」ってくらいの気概が無ければ新主人公の物語を見せつけるに値しません
こういう表現は当時旧ファンからも嫌われてましたが（僕も最初は受け入れられなかった）
今思えば、「無難なウケの良さで落ち着くよりも良いものを追求したい」と言うスタッフの並々ならぬ英断を感じざるを得ません

「前主人公の方が実際の実力は上だけど、新主人公はそれを認めずに自分達の戦いを貫く」
この、前作を上げつつも、それに引っ張られないと言う心意気が絶妙なのです

では「破壊からの再構築」についても例をあげます

その1
MAX序盤で豪樹は世界グランプリ決勝の中継を見ながら「チームで走るののどこがおもしろいんだ？」と前作を否定します（破壊）
しかし中盤では、どうしてもチーム戦で走らないと勝てない相手とのレースに遭遇し、拒否反応を示しますが
「時には俺が俺がを捨てて走る事も必要だ」と源さんに諭されます（再構築）

その2
無印第46話で烈は大神を「空力以外の方法で性能アップさせてるんじゃないか？」と疑って大神研究所でマシン製作するものの
実は大神も空力マシンを作っていたと言う事が判明します

レツゴMAXではラキエータ、ファイヤースティンガー、Z-3など「実際に空力以外の方法でスピードアップするマシン」が多数登場します（破壊）
しかし、GJCウィンターを除いて大型公式レースで優勝するマシンはほとんど空力マシンです（再構築）
実はZ-3で烈矢は公式レースでの優勝経験がありませんが、Z-1に乗り換えてから優勝している事もそれを如実に表しているのかもしれません

その3
そして、バトルレーサーが改心していくレツゴ無印に対して
レツゴMAXはバトルレーサーが「自分の走りを見つけていく」と言う展開が多く見られます
バトルそのものの完全否定はあまりしないんですよね
レツゴ無印も、バトルを否定せずに改心……と言うレーサーはいましたが、MAXはそこを強く推している気がします

完成された前作を否定し、破壊する事によって前作と同じ結論へ、別方向から辿り着く事が出来る……
それこそがレツゴMAXの魅力だと感じます
「傑作を生みだす」と言うのはとても難しい事ですが
「完成された傑作の概念を敢えて破壊し、その先へ推し進める」と言うのはもっともっと難しい事です
そこに挑戦したレツゴMAXは怪作として評価されるべき作品ではないかなと僕は思います

まぁ、商売として考えると前作と比べれば明らかに失敗と言うのは事実ですがｗ

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