第37話「バトルロイヤル!それぞれの戦い!!」
いよいよグレートフリックスカップの関東予選大会が開催された。
ルールはバトルロイヤル制で、もっとも勝ち星を獲得した上位8名が本戦に進出できる。
そして、剛志とレイジの前に早くも、親友コンビを名乗る天童と亀山と言うフリッカーがタッグ戦を挑んできた……!
「わしら二人にタッグ戦を挑んでくるとはいい度胸じゃ!」
「僕と剛志のコンビネーションを見せてあげるよ!」
フィールドを挟んで、四人が対峙する。
「憧れの二人と戦えるなんてっ!」
「楽しみだな~!」
天童はチビで早口、亀山は小太りでのんびりとした口調をしている。
(あの二人、一見凸凹コンビじゃが)
(案外そういうコンビの方がバランスが取れてるもんね)
剛志とレイジは互いに顔を見合わせながら頷いた。
((油断は禁物!))
「「「「アクティブシュート!!」」」」
四機が同時にフィールドで駆ける。
バッ!
ファントムレイダーが飛び出して遠くへ進んだ。
「よしっ!」
「良いぞレイジ!先手はもらった……」
「そうはさせないっ!!!」
シャアアアアア!!!
ぶつかって減速したはずのチャージングレディバグが、ゆっくりとフィールドの端まで進んでいた。
「なにぃ?!」
「俺のっ、チャージングレディバグは直進重視のメガダッシュシャーシ搭載!だから機動力なら負けないっ!!!」
カッ!
レディバグは、フィールド端に設置している段差に接触して自滅することなくストップした。
「先手は俺たちだっ!」
先手を取ったのは天童、亀山コンビだ。
「な、なんちゅう機動力じゃ……!」
「ファントムレイダーが、後手になるなんて」
公式大会でのチーム戦のルールは、ターンはチームごとに行い、先手はアクティブで最も遠くに進んだフリッカーの所属するチームからになる。
そして、チームのターンでは好きな順番で一回ずつシュートできるが、最初に撃ったメンバーのフリックスが停止したらその時点でターン終了となる。
なので、シュートしてから停止するまで時間がかる機体なら時間差シュートが可能だが、基本は同時にシュートした方が良い。
「じゃあ僕から~いくよ~!!」
バシュッ!!
まず、亀山がスライディングタートルをフィールド中央に向かってスピンシュートした。
「なんじゃ?一機しか撃たんのか?」
「しかも攻撃が外れてる。次のターンで狙い撃ちされるよ」
剛志とレイジがターンの準備をしようとするのを、天童が制した。
「待ったっ!まだ俺たちのターンはっ!」
「終わってないんだなぁ~~」
「え?」
言われて気づいた。
スライディングタートルはフィールドの中央でずっとスピンしている。
最初に撃ったスライディングタートルが停止するまで、チームのターンは続くのだ。
「な、なんてスピン持続力じゃ!?」
「僕のスライディングタートルはメガスピンシャーシを搭載してるから~、スピン力が高いんだ~~」
「それじゃ、タートルのスピン力が落ちないうちにっ!!」
天童がスピンを続けるタートルへ向かってレディバグをシュートした。
ガッ!!
二機がぶつかり、互いに軌道がそれる。
そしてそのままレディバグはファントムレイダーへ、スライディングタートルはグランドギガへ激突した。
しかも、フッ飛ばされた二機はそのままマインにぶつかってしまう。
「くっ!」
「そんなっ!二体同時にマインヒットされた……!」
「あの角ばったボディのサイドアタックはなかなかもんじゃな……!」
「これが僕たちの~、コンビネーションさ~」
「しかも、二体を分断したっ!これならさすがの君達でも、チームプレイできないはずっ!」
そう、レイダーとギガの位置は若干離れてしまった。しかも、タートルもレディバグも、そしてマインも若干距離が離れており攻撃がしづらい位置にある。
しかし剛志とレイジは余裕の表情だ。
「ふんっ、この程度で」
「僕たちの友情は崩せないよ!」
そう言って、剛志とレイジは、お互いの機体のパーツをバラし始めた。
「っ!?」
「パーツが分解した?」
そして、ギガとレイダーのサイドパーツを交換した。
「チーム同士でパーツを交換するなんて……!」
「そんなフリックス、初めて見た~」
「これがFXシステムの強みじゃ!見せてやるぞ!」
「僕らのコンビネーション!」
バシュッ!!
レイジがレイダーを若干ドリフト気味にシュートし、レディバグへアタックする。
弱い当たりだったが、レディバグはそのままするするとタートルの方へ移動する。
「あぁ、レディバグ~!!」
「機動力の強さが仇になったね!」
そして、そのタートルへはグランドギガが突っ込んでいた。
「グッドタイミングじゃ、レイジ!!」
ガッ!!!
グランドギガがタートルへ激突するとほぼ同時にレディバグもタートルの方へ近づいてきた。
バキィィ!!!
そのまま二機が吹っ飛び、フリップアウト。グランドギガはフィールド端の段差でストップした。
「二機同時にフリップアウト……!」
「これが、タッグバトル専門家の力……!」
剛志とレイジのテクニックに、天童と亀山は茫然自失。
戦意を失った二人は、その後の仕切り直しアクティブでも失敗し、あっさりと撃沈されてしまった。
「やったね、剛志!」
「わしらの勝ちじゃな」
「うん~僕たちの完敗だ~」
「でもっ、いい経験が出来たっ!ありがとう!!」
天童と亀山は潔く勝ち星を二人に渡した。
一方のリサも別のフリッカーと対峙していた。
相手はどうやら女子のようだ、弓道着を着ており、女子にしてはやや長身で、凛とした顔つきをしている。
「私の名前は、鶴巻由美。見たところ、この会場での女性の参加は私たち二人だけのようだ。ここで、女性フリッカー最強を決めるのはどうだ?」
「あ、遠山リサ…です……。う、うん、面白そう、かも」
人見知りなリサはオドオドしながら由美の提案に答えた。
(遠山リサ……どこかで聞いた事あるような。しかし、ずいぶんと気が弱そうだ。これでは戦う前から負けているも同じ)
リサと由美がフィールドにフリックスをセットする。
「赤城、推して参る!」
「ブレイズウェイバー……いくよ」
「「アクティブシュート!!」」
シュンッ!!
赤城は素早く正確なシュートで突進してきた。
「早いっ!」
「心を静め、確実に射る。それが鶴巻流奥義!」
ガッ!!
やや赤城が進んだ地点でブレイズウェイバーに接触する。
しかし、ウェイバーは反射するように軌道を変えた。
「躱された!?」
が、先手を取ったのは赤城の方だ。
「少々驚かされたが、私の先手だ」
先ほどのアクティブシュートを見たところ赤城はフリップアウトを狙えるような攻撃力を持っているように思えない。
が、マイン合戦になれば先手を取った方が圧倒的に有利だ。
「マインの位置は遠い。しかしっ!」
赤城はボディ上面の甲板のようなプレートを回転させて横向きにした。
「プレートが、回転……!?」
「これで横幅が広まり確実にマインヒットが出来る!」
カンッ!
難なくマインヒットし、反撃されないようにマインを遠くへ飛ばした。
「さぁ、これで反撃は出来ないはず」
ブレイズウェイバーから赤城を結ぶ線上にはマインが無い。ちょうどブレイズ、赤城、マインで正三角形でも結べそうな位置合いだ。普通の機体の普通のシュートではマインヒットは不可能。
「……」
リサはブレイズウェイバーを構えながら、ジッと盤面を見据えた。
その表情をみて、由美はひるむ。
(こ、この集中力……!先ほどの気弱な態度からは想像も出来ない……!)
「いけっ!」
バシュッ!!
リサはブレイズウェイバーをスピンシュートさせ、赤城に激突しその反射で見事にマインにもぶつかった。
これで一対一だ。
「……まさか、この状態でマインヒットを……」
「やったっ!」
小さく喜ぶリサの様子は、先ほどの凄まじい集中力を見せたものと同一には思えなかった。
「っ!だが、ダメージレースでは私が有利っ!」
ブレイズウェイバーの真横のやや離れた位置にマインがある。横幅を広めればギリギリ届きそうに見える距離だ。
「集中力なら、弓道で鍛えた私に分がある!」
バシュッ!!
ブレイズウェイバーとマインを掠めるように撃ったはずだった。
しかし、掠めたのはブレイズウェイバーだけで、マインにはギリギリ届かない。
「な……距離が、足りなかった……この私が、見誤った!?」
しかも、勇み足過ぎてフィールドの端まで進んでしまった。
この位置ではブレイズウェイバーですらフリップアウトできてしまいそうだ。
由美は慌ててフリップバリケードをセットする。
「ブレイズウェイバー!!」
ブレイズウェイバーのストレートシュート。しかし、赤城へは若干重心をずらしてぶつけたためか、由美にとって予想外な方向へ反射したため、バリケードを躱されてしまい、そのままフリップアウトした。
「この私が、負けた……!」
由美は茫然としながらリサとブレイズウェイバーを眺める。
「ありがとう、ブレイズウェイバー」
愛おしそうに愛機を手に取るリサを見て、由美はある事に気付いた。
(遠山リサ……そうか、最近スクールを抜け出したと噂される、あの……ふっ、敵わないわけだ)
由美はリサの方へ近づき、握手を求めた。
「良いバトルだった」
リサは戸惑いながらもその手を取る。
「うん、私も、楽しかった」
「だが、これで終わったわけじゃない。リベンジは必ずさせてもらうぞ」
そう言って、由美は踵を返して別のフリッカーを求めて歩いて行った。
そして、バンは……。
「いっけぇ!!ディフィートヴィクターー!!!」
バキィィ!!
ディフィートヴィクターがスポンジと軟質透明プラとバネを搭載したフリックスを場外へフッ飛ばした。
「バカな!Fendoffの受け流しが通用しない!?」
「バネなら俺のディフィートヴィクターにだって入ってるんだぜ!!」
バンは調子よく勝ち星を稼いでいた。
「へへへ、これで星は6つ!なんだ楽勝じゃん!この調子でダントツで予選突破だぜ!」
集めた星を見ながら歩いていると、目の前に見慣れた背中を見つけた。
「あ、お前は操!!」
鷺沢操だ。操はゆっくりと振り返った。
「段田バン。やはり来ていたか」
「当然だぜ!もう星6個も手に入れちゃったもんね!お前はどうだよ?」
「ふっ、俺は7つだ」
「んなっ!べ、別に数じゃねぇだろ!!そんなんでダントツになったと思うなよ!!」
勝手な事を言い出すバンに、操はあきれ顔になる。
「先に吹っ掛けたのはお前であろう」
「うっせ!勝負だ!俺の方が上だって事を証明してやるぜ」
「当然だ。ここで話しかけておいてバトルしないという手もない」
二人がフィールドにつこうとした時だった。
「見つけたぞぉぉ!!鷺沢操ぉぉぉ!!!」
そこへ、赤毛でツンツン頭の目つきの悪そうな少年がやってきた。
「なんだ?知り合いか」
「……貴様は、紅月刃也」
操は少々渋い顔をした。あまりいい関係ではなさそうだ。
「へっへっへ。ようやく見つけたぜ!てめぇ、あの時の借りを返してやるぜ!!」
「あの時って?」
バンが聞くと操はデスガランを取り出して言いにくそうに答えた。
「かつて、俺がバトルに勝利しフリックスを奪ったものの一人だ」
つまり、そのフリックスのパーツもデスガランに使われている。
「あぁ!今度こそてめぇを倒して、奪われたフリックスの仇を取ってやる!」
もう操は相手のフリックスを奪ったりはしない。が、改心した操にとってあの過去は苦い黒歴史のようなものだろう。
しかし、操は堂々とした態度を崩さなかった。
「ふん。あの条件はバトル前に互いに承認したものだ。一度取り決めたものについて後からとやかく言われるつもりはない。恨むなら、己の弱さを恨め」
「あぁ、恨んださ!だからこそ、俺はお前を倒す力を手に入れられたんだ!!この、クリムゾンブレイズをなぁ!!!」
刃也がクリムゾンブレイズと呼ばれた赤いフリックスを見せる。
竜と刀をモチーフにしたようだが、どこかツギハギのようにも見えた。
「その機体は……」
「お前を倒すためにな!俺も修業したんだよ!片っ端からバトルを仕掛けて、奪ったフリックスから完成させたのがこいつだ!!」
「……ふっ、っはっはっはっは!!!」
その言葉を聞いて、操は笑い出した。
「何がおかしい!」
「いや……強さを得るために、恨みを持った相手の影を踏むとは……片腹痛い。良いだろう。受けて立つ!」
バンはほったらかしで、操と刃也の戦いが始まった。
「いくぞ、3・2・1・・・・」
「くらえ!クレセントエッジ!」
ピカッ!!
シュートする直前、クリムゾンブレイズの角が光を反射して操の目をくらませた。
「くっ!」
「アクティブシュート!!」
その隙にアクティブシュートする。
「ちっ!」
やや遅れてデスガランもシュート。
「その程度の小細工で俺は負けん!!」
「そうかな?ナックルストラカー!!!」
ガッ!!
クリムゾンブレイズの右サイドに取り付けられたナックルがデスガランを殴り飛ばし、先手を取った。
「この勝負、もらったぜ!」
「甘い!デスガランを簡単にフリップアウトさせられると思うな!」
マインヒットしようにもマインはやや離れた位置にある。フリップアウトを狙うしかダメージ手段はないが……。
「甘いのはお前だ!クロノウイング展開!」
右翼が広がる。
「変形した?!」
「さらに、インフェルノブリンガー展開!!」
左翼も広がる。
「そして、サムライブレード抜刀!!」
フロントに刀のようなパーツも飛び出した。
「喰らえ!トリプルブレイカー!!」
ババババ!!!!
両翼と刃を広げた状態でのスピンアタック。
広範囲攻撃によってあっさりとマインヒットしてしまった。
「くっ!」
「どうだ!これが俺様の力だ!!」
「ふ、大したものだ……だが、所詮は付け焼刃!!」
ギンッ!と刃也をにらみつける。
「なに!?」
「俺の歩んできた道……そう簡単にまねできると思うな……」
明らかに今までとは違う気迫が操を包み込む。
「な、なにが来ようが関係ない!アークディフェンダーの鎧とデュアルライナーシャーシのブレーキがあれば耐えきれる!」
「他者を糧とする道……それは決して己の力のみで成し得るものではない。それを自覚せぬものに、勝利はないっ!!」
バシュウウウウ!!!
渾身の力を込めて操はシュートした。
ガンッ!!
凄まじい衝撃によってクリムゾンブレイズがブッ飛ぶ。
「な、なんてパワーだくそ!!」
慌ててバリケードでガードする刃也だが……。
「よし、防御まにあ……」
クリムゾンブレイズがバリケードにぶつかった瞬間。
パキィィィン!と取り付けられたパーツがはじけ飛んでしまった。
「な、に……!」
砕けた欠片が細かすぎて、どこへ飛んだか分からない物もある。
破損しても負けにはならないが、パーツを紛失した場合は試合放棄扱いとなる。操の勝利だ。
「そんな、バカな……」
わかる範囲でなるべく欠片をかき集めながら、刃也はつぶやいた。
「パーツの継ぎ足しは、どうしても接着面の強度が下がる。覚悟のないものがそう簡単にまねできるものではない。ましてや、他者から奪ったパーツを自分の力だと思い込んでいるものには、到底不可能だ」
「くっ……」
刃也は、悔し気に奥歯をかみしめたが、すぐに力の抜けた表情になり、どうにかかき集めたクリムゾンブレイズを操へ差し出した。
「俺の負けだ。また持っていけよ」
「……」
それを見て、操は何も言わずに踵を返した。
「お、おい!どういうつもりだ!?」
「……俺が奪うのは、お前の時間と労力だ。それでそいつを完璧に仕上げろ。そしてもう一度俺と戦え」
それだけ言って、操は去っていった。
一方、置いてけぼりにされていたバンは……。
(う~、なんか俺場違いだな……このまま待ってるのもあれだし、別の対戦相手探すか)
そう思って歩き出したところで後ろから二人の少年に声をかけられた。
「バン!」
「やっと見つけた」
「へ?」
振り向くと、そこにはよく見知った顔があった。
「お、お前らは……オサムにマナブじゃねぇか!」
「久しぶりだね、バン」
「ここで会えるのを楽しみにしてたぜ」
思いもよらぬ知り合いに、バンは面食らってしまった。
「あ、あぁ、まさかお前らが参加してるなんて思わなかったぜ。大丈夫なのかよ、フリックスは」
オサムもマナブも、大会開催前にゲンゴにフリックスを破壊されてしまっている。精神的にもかなりダメージを受けていたはずだが……。
「……治せなかった……僕たちの力不足のせいで壊れたのに、治すことも出来なかった」
マナブとオサムは、ギュッと拳を握りしめた。
「でも、だからこそ俺達は新しいフリックスを手に入れたんだ!壊れていったあいつらに報いるためにも、今度こそ本気で強くなるために!」
そう答えるオサムとマナブの手には見た事のないフリックスが握られていた。
「だからその力を、バン。君にぶつけて、強さを確かめたいんだ」
「お前ら……へへっ、分かったぜ。お前らの気持ちは俺にだってよく分かる!勝負だぜ!!」
バンVSオサム&マナブチームのバトルが始まる!
「「「アクティブシュート!!!」」」
バキィィ!!
ディフィートヴィクターが二機のフリックスを同時に弾き、遠くへ進んだ。
「よし!俺の先手だ!」
「さすが、バン!なんてプレッシャーだ……!」
「だけど、そう簡単には負けない!」
バンのターン。
「お前らにとっちゃ負けられない戦いかもしれねぇけど。俺は手加減する気ねぇぜ!いっけぇぇ!!!!」
バンはマナブの白いフリックスへ向かってシュートした。
「いなせ!マイティリアクター!!」
「なに!?」
ガッ!
ディフィートヴィクターはマイティリアクターと呼ばれた機体のサイドに接触したかと思ったら、上へ持ち上げられ、更にマイティリアクターはスピンする事で完全に攻撃を受け流してしまった。
どうにかその先にあるマインにぶつかる事でマインヒットダメージは与えられたが、フリップアウト狙いだったためショックは大きい。
「な、なんて防御力だ……!俺の攻撃が通じねぇなんて!」
「薄い刃のようなフロント形状とスピンシャーシで相手の攻撃を受け流す。それがマイティリアクターの力さ!」
「そんじゃ、今度は俺たちのターンだな!」
オサムだけフリックスを構えている。マナブは撃つ気は無いようだ。
それを悟ったバンは、オサムからの攻撃を耐える位置でバリケードを構えた。
「いけぇ!ブーストファルコン!!!」
バシュウウウウ!!!
ブーストファルコンと呼ばれた青いフリックスが勢いよくディフィートヴィクターへ突っ込む。
途中にあったマインを弾き飛ばしながらも勢い衰えずにディフィートヴィクターをぶっ飛ばす。
「くっ!」
ガガガ!!
上手くバリケードした事でフリップアウトは免れたが、マインのダメージを受けてしまった。
「くそ、惜しい……!」
「あぶねぇ……バリケードしてなかったらフリップアウトされてたぜ。なんだよ、マジで強くなってんじゃん……面白れぇ!!」
俄然楽しくなってきたバンは張り切ってヴィクターを構える。
「だけどっ、俺はぜってぇ負けねぇ!!受け止めたお前らの強さを、何倍にでもして返してやるぜ!!」
バンは前かがみになって力を溜める。
「来るか、あれがっ!?」
そのシュートの強さはオサムもマナブもよく分かっている。
しっかりとバリケードを構えた。
「いくぜ!ブースターインパクトォォォ!!!!」
ガッ!
まず、マインにぶつかったのちにブーストファルコンにぶつかる。
「耐えてやるぜ!」
「まだまだあああ!!」
そのまま押し込み、その先にいるマイティリアクターにヒット、ブーストファルコンはマイティリアクターに掬い上げられるようにバリケードを乗り越えてフリップアウト。
マイティリアクターはマインヒット受けたので、二機ともHP1だ。
「さすが、バンだぜ……」
「うん……こんなに楽しいバトルは、初めてだよ」
「ああ!俺も、お前らと戦った中で、今日が一番楽しい!!」
仕切り直しアクティブだ。
「これで決着付けるぜ!」
「「おう!!」」
「「「アクティブシュート!!」」」
「「「いっけええええええ!!!!!!」」」
渾身のシュートを放った三人。
中央付近で三機が激突。
「ぶっとべええええ!!!!!!」
ディフィートヴィクターが一気にブーストファルコンとマイティリアクターを場外させた。
バンの勝利だ!
「ちぇ、負けちまったか」
「うん、やっぱりバンは強いね」
オサムとマナブは悔しそうに、それでいてどこかすっきりとした表情だ。
「いやぁ、でもお前ら強かったぜ!負けるかと思った!!」
「バン……」
「まだまだ大会は終わってねぇんだ!!こっからが本番だぜ!」
「うん!」
「そうだね!」
ガシッ!
三人は拳をぶつけ合い、友情を確かめ合った。
『さぁ、群雄割拠なバトルロイヤル!各地でフリッカー達の熱いバトル!壮絶なドラマが繰り広げられている!!果たして、予選を突破する上位8名になるのは誰なのか!?!?』
つづく
次回予告
「予選も中盤に差し掛かり、俺は超順調!!連戦連勝でどんどん勝ち星を手に入れてるぞ!!でも、時間制限があるからただ勝ちゃいいってわけでもないんだよなぁ。
それに、スクールの奴らの動きも気になるし……と、そんな事思ってたらそこにいたのはゲンタ!?またお前と戦うのかよ!
そして、リサが対峙しているフリッカーは……!
次回!『スクールの呪縛!リサの決別』
次回も俺が、ダントツ一番!!」