椰月美智子著の『るり姉』
決して、タイトルに惹かれたわけではありません
るり姉とは、女子高生、女子中生、女子小生の三姉妹の母親の妹。つまり叔母さんで、三人は小さい頃から『るり姉』と呼んでいました
『あたしがちっちゃい頃からいつだって、記憶のどこかに必ず登場する、大人と子供の中間の人。それがるり姉』
この一説に惚れました。
大人と子供の中間の人。それがお姉ちゃん。素晴らしいですね
お姉ちゃんとは、少女性と母性の二つを併せ持つ、とてもいいとこどりな存在なのです
小説は、全部で第五章まであり、それぞれ三姉妹、母親、るり姉の旦那の視点で描かれている一人称小説です。
その中で、るり姉はすべての登場人物にとって大切な存在として描かれています
天真爛漫で楽しい事を見つける天才で、いつも三姉妹を可愛がってくれる、るり姉
第一章では、そんなるり姉にいきなり異変が起こってしまい……
正直、安易なお涙頂戴ものかと思ったらそんな事はなかった
一瞬切ない気持ちにさせられるけど、それ以上に心温まるような、そんな内容でした。
全体的にるり姉が中心と言えばそうなんですが、章によってはそんなに出番があるわけでもなく
それぞれの登場人物(アニメとかじゃないから『キャラ』って言うべきなのか分からん)を魅力的に描いていると思います
なんと言うか、各視点によって人物の印象がガラッと変わるんですよね
第一章の長女視点では、長女は繊細でしっかりもののな女の子として見えるんですけど
第二章の母親視点では、少し冷たい印象を受けます。
他の登場人物も各章によって受ける印象が変わります
かと言ってキャラ崩壊(キャラって言っちゃった)と言うわけではなく、ちゃんと状況や視点に応じた納得の行く描かれ方をしてるので、そこは凄いなと
全体的に文章が現代っ子風です(現代っ子の視点で描いてるから当然だけど)
ちゃんと小説小説した綺麗な文章ではないので、そういうのが苦手な人には合わないと思います
普通に『ポケモン』とか『ドラえもん』とかそういう単語出てくるんですけど、小説ってそういうの問題ないんでしたっけ?
そういえば、リング原作でも『ゴジラ』とか『仮面ライダー』って単語が出てきましたねw
当たり前ですけど。
こういう一般小説って、結構リアルに人物を描いてる感じがするんで、入り込みやすくて好きです